見出し画像

行政組織改革!ソニーの平井一夫に学んでみた PART 1

みなさんこんにちは!さいとう尚哉です。私はソニー株式会社でカメラ関連製品のマーケティングに従事しています。今でこそ成長著しいソニーですが、2012年までは倒産寸前と言われていたことを御存知ですか?そんなソニーを改革•再生させたのが平井一夫氏です。さて、今日はそんな平井一夫氏の改革手法の一部を紹介します。北区の行政組織を一層進化させるためのインスピレーションになるとおもうので御一読ください。

平井一夫氏が社長に就任したとき、ソニーは倒産寸前でした。販売台数拡大から収益性追求へと事業戦略を転換し、一部では人員削減や事業売却等の「痛みを伴う改革」も断行しました。その結果、ソニーは経営破綻の危機を回避し、日本有数のグローバルカンパニーに復活しました。

平井一夫氏が推進した改革。事業戦略の転換に注目されがちですが、もうひとつ重要な改革があります。それはソニーという組織の風土改革です。長年にわたり経営危機に直面していた会社では、新しい挑戦をするという風土が失われていました。一方、それだけでは熱意のある若手社員や野心のある社員を引きとめられません。また、挑戦することがDNAのソニーにおいて、そうした組織風土は放置していいものではありませんでした

「いまは忙しく仕事に追われ、さらに、本業に関係ないアイデアをもっていても、上司に言うと『いまは会社の存続が最優先。まずは与えられた仕事をしろ』と言われ、新しいアイデアをどうしていいかわからない」というもの。このまま放っておくと、いいアイデアが日の目を見ずに埋もれてしまい、どうしても具現化したい社員は辞めてしまうかもしれない

https://forbesjapan.com/articles/detail/13486/1/1/1

ここで平井一夫氏は考えました。ソニーのDNAでもある"挑戦の精神"を、新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program(SAP)」で浸透させようとします。

既存の事業領域ではカバーできない新規事業のアイデアを社内から募集し、事業化に必要な資金・人材・ノウハウを提供するプログラムになります。定期開催されるオーディションを通過すると事業化に挑戦できる仕組みで、これまで多数の起業家やビジネスモデルを創出してきました。

比較的ありきたりなプログラムと思われるかもしれませんが、こうしたプログラムが機能するには3条件があります。

第一に、打ち上げ花火にしないこと。こうしたプログラムは開始するのは比較的簡単ですが、継続するのは困難です。担当者がいなくなり自然消滅したりすることは日常茶飯事です。こうした「打ち上げ花火」は社員の士気を減退させることになるため、継続可能な体制を構築する必要があります。平井一夫氏はこのプログラムが継続可能だと判断するできるまで、社内関係者と徹底的に協議を重ねました。

第二に、社長直轄のプログラムにすること。会社のトップである社長直轄のプログラムにすることで、「ソニーは挑戦の精神を最重要視する」というメッセージを組織全体に伝播させることができます。プログラムが◯◯部や◯◯課の管轄だとしたら、それが組織全体に重要だとは理解できません。

第三に、予算や権限をあたえてプログラムの実績をつくること。いかに社長がコミットしたとしても、実績がなければ社員はついてきません。そこで実績をあげてもらうために必要な予算と権限をあたえて、組織としてこのプログラムへの本気であることを伝播させる必要があります。

これらの条件のもとプログラムが機能し、ソニーは挑戦する組織風土をとりもとしました。

実は北区にも政策課題研究会ROSÉという同様のプログラムがあります。意欲ある若手職員が、「北区を良くしたい」という熱意のもと政策研究していることが理解できます。

北区では、区の課題解決のための調査研究を行う政策課題研究会を設置しています。

研究会の名称である「ROSÉ(ロゼ)」とは、「道筋(ROute)を研究する(reSEarch)会議(SEssion)」を意味しており、多様な醸造手法をもち、製造に工夫が凝らされているロゼワインのように、創意工夫し知恵を絞りながら北区独自の方向性や政策を研究・実践するための場となることを目指して名づけました。

この研究会は、若手職員の政策形成能力の向上と創造的な区政運営を目指し、平成22年度に設置されて以来、部局を横断する様々な職場から集まった若手職員(概ね入区4年目から10年目の職員)が、多様な感性や現場感覚を融合させながら、時代に即した様々な課題に対し取り組んできました。

https://www.city.kita.tokyo.jp/kikaku/kuse/shisaku/seisakukadaikenkyukai.html

一方、区長直轄のプログラムではないこと、予算や権限がつかないことからプログラムの実績がないことが課題としてあげられます。平成22年度から実施しているとのことで「打ち上げ花火」ではありませんが、プログラムとして北区役所の組織風土を改革するまでにはいたっていないようにおもいます。

行政組織改革は、民間企業の成功事例を応用すれば十分実現可能です。知恵を結集して北区役所の理想像を議論していきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?