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誰のためのアンバサダー?北区アンバサダー制度を検証する

北区アンバサダー制度

みなさんこんにちは!齋藤尚哉(さいとうなおや)です。ESCP Business School(フランスの大学院)でマーケティングの修士号を取得し、現在にいたるまでマーケティングの専門職として働いていることから、マーケティングについては比較的知識・経験があります。

そうした観点から、今日は「誰のためのアンバサダー?北区アンバサダー制度を検証する」というテーマについて議論したいとおもいます。

北区アンバサダー制度とは?

北区イメージ戦略ビジョン(KISS)第2次行動計画』によると、マーケティング活動のターゲットは首都圏の若年層およびファミリー層であり、「北区を現役世代に選ばれる都市にしたい」という自分自身の目標ともマッチしています。

当該目標を達成すべく、北区のシティプロモーション推進担当課は多種多様なマーケティング施策を計画・実施しており、そのひとつが北区アンバサダー制度です

北区にゆかりのある著名人・文化人に、「北区アンバサダー(大使)」を委嘱し、北区の知名度や文化的なイメージを高めていこうというものです。
アンバサダーには、ご自身の活動の中で折りに触れ、北区とのつながりを紹介していただき、様々なメディアを通じて、北区の魅力をPRしていただきます。また、講演会やコンサートなど、北区のイベントに参加していただくことで、イベントを通したPRにもご協力いただいております。

https://www.city.kita.tokyo.jp/citypr/kuse/koho/ambassador2018.html

現在の北区アンバサダーは倍賞千恵子さん・弦哲也さん・水森かおりさんの3名で、北区ゆかりの人物が選定されています。生前のドナルド・キーンさんや内田康夫さん、つかこうへいさんや羽田健太郎さんも北区アンバサダーでした。

北区アンバサダー制度の検証

この北区アンバサダー制度ですが、令和3年10月に発表された『北区民意識・意向調査報告書』によれば、区民からはあまり評価されていないようです。

● アンバサダー制度を知らない。不要な制度と感じる。【4件】
● アンバサダー制度は、広い層をターゲットにするべき。【2件】
● 北区アンバサダーの人選の見直し(若者に人気な人物、文化人、子育て世代の母親など)。【2件】

「北区の知名度や地域イメージを向上させるために、どのような取組みが効果的だと思いますか。次の中からあてはまるものすべてに○をつけてください。」という質問について、39歳未満のなかでは「北区アンバサダー制度の充実」は第5位にもランクインしませんでした。

アンバサダーは①ターゲットに影響力があり、②構築したいブランドイメージを体現できる人物という2条件を満たさなければなりません。例えば高級化粧品のSK-IIは「成熟した女性を対象にした美肌のための化粧品」というブランドイメージを「若い女性にも選ばれる美肌のための化粧品」というブランドイメージに転換するため、桃井かおりに追加して綾瀬はるかをアンバサダーに起用しました。綾瀬はるかはターゲットの若年女性層に影響力があり、SK-IIが構築したい「若い女性にも選ばれる美肌のための化粧品」というブランドイメージを体現できることが理由でした。

前述のとおり、シティプロモーション推進担当課が展開しているマーケティング活動のターゲットは首都圏の若年層およびファミリー層です。倍賞千恵子さん・弦哲也さん・水森かおりさんは首都圏の若年層およびファミリー層に影響力があるでしょうか?もちろん皆様のことは比類なき圧倒的才能がある一流の人間だとおもいますし、たくさんのファンがいることも理解しています。一方、北区のマーケティング活動のターゲットに影響力があるかどうかについては徹底検証しなければなりません

また、前述の『北区イメージ戦略ビジョン(KISS)第2次行動計画』に北区が構築したいブランドイメージが記載してあるのですが、内容が曖昧なため倍賞千恵子さん・弦哲也さん・水森かおりさんがマッチしているかどうか判断できません。

北区アンバサダー制度の改善案

北区アンバサダー制度については3つの改善案があるとかんがえています。

第1に、北区が構築したいブランドイメージを明確に定義することです。ターゲットである首都圏の若年層およびファミリーのなかで、北区がどのように想起されたいのか定義する必要があります。一般に行政機関が考案するブランドイメージは総花的になりがちですが(多種多様なステークホルダーの意見を集約するため)、総花的なブランドイメージが記憶に残りつづけることは困難です。

第2に、若年層およびファミリー層に影響力のある人物の起用です。ターゲットに影響力のない人物をアンバサダーにしても効果がないので、例えば広告代理店等の民間企業のナレッジを参考にしつつ、適当な人物を選定する必要があります。

第3に、アンバサダーという継続活動にくわえて、インフルエンサーマーケティングというプロジェクトベースの活動を実施することです。若年層になるにつれて情報収集のタッチポイントは多様化しています。YouTubeの動画やTikTokの動画等、少数のアンバサダーではカバーできないタッチポイントがたくさんあります。これに対応するためにもインフルエンサー(ex. YouTuber、TikToker、Instagrammer)をプロジェクトベースで起用し、継続的に情報発信することが期待されます。

おわりに

今日は北区アンバサダー制度について議論をしてみました。賛否両論あるとおもうので、是非御意見いただければ幸いです。ちなみに私は倍賞美津子のファンです(『OUT』の演技が圧巻でした)。誰かサインください!!

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