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区議会議員の再就職先?選挙管理委員会の実態について

選挙管理委員会とは

SNSで話題の選挙管理委員会。「そうえいば選挙管理委員会と…?」と疑問がつきないので、まずは北区のウェブサイトに掲載されている選挙管理委員会の定義を確認してみました。

選挙管理委員会とは、公正な選挙を行うため、地方公共団体の長から独立して設置された合議制の執行機関で、選挙に関する事務を管理しています。
委員会は議会の選挙により選ばれた4名の委員で構成されており、委員の任期は4年です。

地方自治法
第百八十一条 普通地方公共団体に選挙管理委員会を置く。
2 選挙管理委員会は、四人の選挙管理委員を以てこれを組織する。

https://www.city.kita.tokyo.jp/senkan/sennkaniin/sennkyokannriiinnkaitoha.html

いろいろ難解なキーワードが羅列していますが、簡単に言えば選挙管理委員会は「選挙の門番」です。民主主義の根幹である選挙が公平・公正に執行されるようにする仕事で、東京都のウェブサイトによると5種類の業務があるようです。

1.選挙の適正な管理執行事務
公正かつ中立な立場で、都知事選挙、都議会議員選挙、衆議院議員選挙、参議院議員選挙に関わる事務などを管理・執行しています。

2.選挙の啓発普及事務
選挙に対する都民の関心を高め、明るくきれいな選挙を実現するため、日常では明るい選挙推進事業、選挙時には投票日の周知及び投票参加のPR活動などさまざまな啓発活動を行っています。

3.区市町村選挙管理委員会に対する助言・連絡調整事務
区市町村選挙について、選挙執行事由の発生時から選挙終了時までの諸手続(立候補届出、選挙運動、投票、開票、当選人の決定など)や選挙管理についてさまざまな助言などを行っています。

4.政治資金規正に関する事務
政治資金の公明、公正の確保を図るため、政治資金規正法に基づく各種手続(政治団体などに関する諸届や収支報告書の受理など)を行うとともに、その公表や一般都民に対する閲覧などの事務を行っています。

5.選挙争訟事務
選挙に関する異議申出・審査申立(選挙無効・当選無効)に対する決定、裁決及び訴訟事件の処理などの選挙争訟に関連する事務を行っています。

https://www.saiyou2.metro.tokyo.lg.jp/pc/work/senkyo.html

選挙管理委員の経歴

そんな「選挙の門番」である選挙管理委員会ですが、委員会を構成する各委員の経歴を確認してみるとひとつの共通項が浮かびあがります。北区では選挙管理委員の定員4名のなか、少なくとも3名が元区議会議員なのです。でも元区議会議員が選挙管理委員を務めることは自然ですよね。大多数の区民は選挙に立候補したこともなければ、選挙でどのような事務作業が発生するか元区議会議員ほど知識はないのは当然です。

でも選挙管理委員の報酬を確認してみると様相が異なります。例えば北区の令和2年度決算(正式名称は東京都北区各会計歳入歳出決算書)を確認すると、選挙管理委員4名の報酬として約1,235万円が計上されています。下部ある給料は常勤職員への対価で、報酬は非常勤職員——選挙管理委員への対価となります。)逆算すると選挙管理委員1名あたりの報酬は平均309万円になります

選挙管理委員の仕事量

この309万円という金額ですが、高額だとおもいますか?もちろん北区の選挙管理委員が北区のサラリーマンや自営業者のように早朝から夜間まで働いているのであれば高額だとはおもいません。でも一般区民の業務量と比較して選挙管理委員の業務量はほとんどゼロだという指摘も多数あります

「あんな気楽な仕事はありませんわ」。ある自治体の選挙管理委員を最近辞めた男性はこう話す。この男性は、選挙管理委員を1期4年務めた。毎月2回開かれる予定の委員会では、会議の題目がなければ、中止になる時もあったという。役所に行っても2時間ほど話すだけで、それで月額報酬は約30万円だった。時給に換算すれば約8万円。まさに「おいしい仕事」なのだ。

https://facta.co.jp/article/200905062.html

もちろん正確なことは調査されなければわかりません。でも、少なくとも多数の区民が電気料金高騰等の生活難に直面している北区で、説明責任を果たさないという選択肢はないとおもいます

前述のとおり選挙は民主主義の根幹であり、選挙管理委員会の使命は大変重要なものだということは十分理解していますが、それが高額報酬を正当化する理由にはならないとおもいます。であるとすれば北区に求められるのは「選挙管理委員の報酬は適正水準である」という根拠の提出ではないでしょうか

ちなみに北区のウェブサイトを確認すると、「平成31年4月21日執行北区議会議員選挙・北区長選挙」の業務量は1年で18日だけです。もちろん活動には事前準備が必要だとおもわれますが、それでも1年に18日だけという数字は区民感覚から乖離しています。

おわりに

日本の素晴らしさのひとつに「縁」を大切にするということがあります。近所づきあいや幼稚園のママ友達等、「縁」を大切にする日本だからこそ実現できる地域社会があるとおもいます。一方、「縁」を不正使用すると縁故主義になります。区議会議員であれば業務量がほとんどない役職に就くことができ、しかも年間309万円の報酬が支給されるというは縁故主義の典型例ではないでしょうか

もちろん選挙管理委員は激務という実態があるかもしれません。なので「それは違うよ!」とか「選挙管理委員の実態を教えてあげる!」という人がいれば、コメントをいただければ大変嬉しくおもいます。

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