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新宿Baby Devil episode002出逢い       

Based on the novel episode002出逢いby河野直人



出逢った瞬間体温が2℃上がると噂になるほど
人間界での初LIVEで禁じ手の魔術を使い
すっかり全世界の人間を虜にさせた
アリス、ゼロ、ミリィ新メンバーのアイル
話題となった新宿ASTORON HALLでのLIVEは瞬く間にSNSで拡散され
4人はショービジネスの世界でたった1日のLIVEで成功を納めていた。

僕は鳴かず飛ばずの映画監督橘薫(たちばなかおる29歳)愛媛県松山市から
18歳の時、単身ボストンバック1つで上京。映画監督としてのキャリアは
鳴かず飛ばず。うだつの上がらない日々を送っていた。たまにくる母親からの電話は
「早く孫の顔が見たいわね」と母親は繰り返す。
「もうちょっともうちょっと頑張ってみたいんだ」と僕はいう。
30歳までと決めてもう今年で29歳と10ヶ月タイムリミットまであと2ヶ月というところ。
親友は家庭を持ち家を建て綺麗な妻と可愛い子供がいて順風満帆な日々を送っている。

橘も新宿Baby Devil の存在をゴールデンタイムの音楽TV番組を見て認知していた。
次の映画を出世作にするべく不思議な魅力の彼女達にオファーをと考える様になっていた。
事務所を通して連絡を取ろうと試みたが不思議と彼女達に繋がる事務所が存在しない。

助監督水野学(みずのまなぶ27歳)イケメンと協力し
彼女達の調査を開始した。
学は大学時代からの女友達の水垣怜(みずがきれい27歳)に協力を依頼した。
彼女は同級生の間のヒロインで大学時代オカルト研究会の部長だった。
変わった部活に所属しているところもミステリアスな魅力でクラスの人気者だった。

学は怜から不思議なダーツバーの噂を耳にする。
そこは堕天使がいる酒場として有名で
一度訪れた客は常連となり願いを叶えて貰えるがちょっだけ不幸が舞い降りるというなんとも
不思議な都市伝説があるという。
彼女達に悪意はない。

日付は変わって翌日、出前の自転車が横をすばやくすり抜けていく
夏の終わりの昼下がりアスファルトには陽炎が舞っている。
橘は映画撮影のロケハンの為新宿大ガードの階段を降りていた。
そこで小腹がすいた時用にと、ミリタリージャケットに潜ませていた林檎を落としてしまう。

林檎が転がり落ちた先に不思議な少女が立っている。

彼女はおもむろに手をかざし何かを唱えた瞬間
瞬く間に落とした林檎が逆再生を始め階段を登り始めた。
「なんじゃこりゃ〜〜っつ」僕の口は昭和の名作刑事ドラマのような声が漏れていた。

そう、そこにいたのはアリスだったのだ。

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