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「じゃ、じゃあ、これはどうでしょうか」 テーブルに並べられた写真はもう10枚目になっていた。どれもこれも、いじるにしてもインパクトが薄すぎて編集に手間がかかりそうな代物ばかりだ。 「これは、何が写っているんですか」 スタッフの白井君は席を外してからもう15分戻ってこない。 「ここ見てください、靴だけ写ってるでしょ。透明人間です。もしくは透明マント。靴が見えてしまってるんですよね。裸足じゃ歩きにくいですから、靴だけ履いてる透明人間なんじゃないかというのが僕の説です
夜勤の長い一晩が明けて、駅までの道を歩いているといつもの派手なゴミ捨て場に見覚えのあるぬいぐるみが居た。 たぬきのぬいぐるみ。 そうそう、どこにでも売っているものではないはずだ。彼に間違いなかった。 ぽんすけ。 僕が4歳の時、そのぬいぐるみは叔父の彼女がプレゼントしてくれたものだった。 僕はその人とは二回だけ会ったことがあって、ぬいぐるみを貰ったのは最初に会った時だった。 叔父が遊園地のストラックアウトで高得点を出して手に入れた景品だった。それを彼女へプレゼントし