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風の強さ

藤井風 という人

ライブストリーミング配信などで見られるほわほわ・もちもちの話し方からは想像できないほど
強い人
だと思う。
私がその強さを見た2つのエピソードをご紹介しよう。

エピソード 1:
2020年、日本人アーティストとして初めて取り上げられたYouTube のArtist on the Rise で語っていたこと。(以下、要旨)
    自分は歌う人になりたいと思っていたが、親はピアニストになると
    思っていたので、バチバチがあったが、高校最後のコンサートに親
    を呼んで披露したら、本気出したら歌えるんじゃのう、と言っても
    らった。
そして、風さんは地元で「プロ」になった。

風さんの行った高校は、県立高校で音楽学類というコースがある城東高校。
県内有数の進学校で、音楽学類も偏差値55らしい。
つまり、全教科平均点以上ということ。
(実技試験の部分はわかりません。)
このコースからは、東京芸大をはじめ、音楽大学や教育学部の音楽専攻に進む人が大部分だと思う。
でも風さんは進学していない。
いわゆる、普通の就職もしていない。
進学校で進学しないのは、なかなかのプレッシャー。
これは、塾講師の経験から見る実感。
ご両親とのバチバチというのは、進学も就職もしないで「プロ」になるとの意思表明に対する親御さんの反応ということもあったのかなあと、
これも実体験から見た感想。

これらすべてを踏まえて
信念を貫く強さ。

エピソード2:
作品を作り上げるためには、監督ともプロデューサーともガチでぶつかる。
まず、何なんwのMVの最初の方で I don’t want to show my face clearly at the beginning.「最初は顔をばきっと見せたくないんじゃ」と言っていた。
新人アーティストが現場でこんなこと言うの?
とちょっとびっくりしたが、
“何なんw”って何なん(YouTube)で
直前になって監督が交替し、しかもこの撮影の時には「監督」がいなかった
ということが明かされた。
そんな背景があったとしても、全くの新人が、ニューヨークで、現地のカメラマンに、自分のイメージを真正面からぶつける。
自分がやりたいと思っているイメージに自信がなければできないこと。

サウンドプロデューサーのYaffleさんとも、
出会ったばかりの、今のような信頼関係を築く前は、価値観の違いから、何でも言う通り、という訳ではなかったようだし、
公式アプリのスタッフダイアリーには
もうええわで出会ったSpikey John監督とは、相当のバチバチを経て
最終的に「マイメン」と呼べるほどの理解と信頼を寄せるに至ったことが書かれている。

ガチでぶつかるからこそ築くことのできる関係というものがあるだろうが、
そこに至るまでの面倒くささをものともしない熱意と自信。
その自信を生むに至る明確な目的意識と、
それに沿って努力してきたことに対する100%の自負。

こんなに強い人があろうか。


そして、2021年7月21日に発表された“Free” Live の企画。
「日本一大きな会場の日産スタジアム」(公式アプリ、staff diary より)での、無料ライブ。

2020年10月には、公式デビューから1年も経たない時期で武道館ワンマンライブ。
会場の7,000人と配信の数万人にあらゆる角度から見つめられるステージだった。
会場を見て、「よーやらんわ、でかいわ、怖い、怖い、怖い」(Blu-ray、Running for Budokan より)と言いながらも、見事に大成功を収めた。
その経験も、風さんをさらに強くしたに違いない。
日産スタジアムのライブでは、正真正銘、風さん1人とピアノだけになるらしい。
広大なスタジアムに、たった1人。
その光景を想像しただけで、部外者の私でも身がすくむ。
配信組も含めると膨大な数の注目を一身に受けて立つ風さん。

あぁ、受けて立つんじゃないんだ。
たぶん、いつもの部屋からのライブストリーミング配信と同じで
「みんなが喜んでくれるから、わし、やるんじゃ」(Blu-ray、Running for Budokan より)という気持ちで、
自然体で臨むのだろう。

そう、風さんの強さは
2020年9月の報道ステーションで語っていたように
「誰かがちょっといい気分で人生を送れたりするために音楽やっとる」「それがわしにとってすべて」
という信念に基づいて
やりたい音楽を追求する姿勢から生まれているんだ。
どれだけの葛藤や不安があっても、それと折り合いをつけて前進する強さを
風さんはこれからも見せてくれるだろう
ほわほわ・もちもちの話し方と超絶美形の姿に包んで。


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