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藤井風の音楽が刺さる

藤井風の音楽が刺さる。

新曲が発表される度に、
多くの風民のように、いきなりもろ手を挙げて大絶賛、
とはいかないのだ、私には。
これまで、全部の曲が、そう。

まず、最初の遭遇のカーラジオから聞こえてきた「何なんw」。
音と曲の構成が聞いたことない感じ。
しかも岡山弁!?
よくある恋愛ソングでもない。

アルバムHelp Ever Hurt Neverは一気に聞いたから
1つ1つの衝撃は薄かったかもしれない。
でも、1曲1曲が新鮮で、約10か月聞いた今も、飽きることがない。

「へでもねーよ」
和の音階とディストーション効いたギターの音にまず虜になった。
(当方、元々、プログレッシブ&ハードロック少女)
そして、驚愕の詩が脳ミソを翻弄。
自分を取り巻く不条理や難題に立ち向かい、理想の世界を追い求める内容が
ものすごく技巧的な言葉の対比や韻で編み出されている。

「青春病」
第一印象は、「青春」と「病」を結び付けた衝撃のわりに
拍子抜けするほどのアイドル歌謡っぽく聞こえた。
でも、じわじわと刺さってきた。
私の実体験に思い当たる節があるような言葉を
どうして23歳の若者が紡ぎだせるのか。
一種の恐ろしささえ感じた。

「旅路」
ドラマの主題曲で、番組ではたいていセリフと重なっていて
よく聞き取れない。
フルコーラスでもないし。
そうして聞くことのできたオリジナルフルバージョン。
ふんふん、あ、そうね、
と聞いていたら
♬ お元気ですか ♬
で、ぶわっと涙が込み上げてきた。
大げさな話じゃなく。
そして
♬ 色んな愛を受けとって あなたに返すだろう 永久なる光の中 全てを愛すだろう ♬
完全に、涙腺崩壊。
何で泣けるのか分からないまま、
心の中に、何かものすごく温かくて重いものが残された。

そして、新曲「きらり」
これは一番とまどった曲。
風民や世間の皆さんが、ノリがいいとか、Good Groove とか大絶賛。
だけど私は“違和感”のようなものに捉われた。
インターネットで先に公開された1番だけでも
とてもとても不思議な曲に思えた。
デジタルリリースのその晩
全部聞いて、“違和感”がさらに増した。
それでいて、その魅力は絶対的で
約1時間、繰り返し聞いてしまった。
ノリノリな気分になるのに、“違和感”はぬぐえない。
”違和感“があるのに、ヘドバンもできてしまうグルーヴ。
フシギな違和感とともに限りない中毒性。
こんな音楽、聞いたことがない。

”違和感“の正体は、まだ分からない。

藤井風の音楽は
どの曲も、最初は容赦なく心に刺さってくるのに
すぐにどっぷり浸って
刺さる幸福をかみしめている。

このちぐはぐな違和感と中毒性の正体
言葉でパキっと説明できる日は来ないようにも思うけれど
ずっと考えているんだろうとも思う。

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