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医療連携の手厚さが、介護施設の差別化につながる

出生率の下落、深刻化する高齢化。2040年問題に向けて、全国的に数が増え続けている介護施設。発端は、2000年に開始された介護保険制度にあります。

今回は、この「介護保険制度ができた背景」を考えれば、介護の現場で医療連携の有無が重要な理由がわかるよ、という話をしたいと思います。

国として医療と介護の連携を意識していることは、今回の報酬改定の骨太方針にて「医療介護」という言葉が初めて用いられたことからも明らかですから、簡単に歴史を振り返りながら理解を深めてみましょう。

介護が社会保険になったのは、たったの20年前

日本では、国民全員が社会保険に加入しています。給料などから毎月保険料を支払う代わりに、国や都道府県が整備する社会保障を受けられる仕組みですね。

社会保険は年金保険・医療保険・介護保険の3つが柱になっています。このお陰で僕らは年金をもらえたり、病院で3割負担になったり、必要なら公的介護サービスを利用する生活が保障されたりするわけです。

その3つの社会保険の中で、介護保険は最も新しい制度です。社会全体で介護を支えることを目的として、2000年に創設されました。意外かもしれませんが、介護というのはたった20数年前に社会保険に組み込まれたんです。

その理由のひとつは、経済成長だと言われています。それまでの介護は「家族が家で行うもの」でした。ところが経済成長が進んで、介護の担い手である家族がどんどん働きに出ていくようになり、誰が介護するんだ、という問題が出てきました。

そんな中、家での介護の代わりに高齢者の受け入れ先になったのは、病院でした。当時は今より介護施設の数も少なかったので、あらゆる年代の治療から看取りまでを、病院が一手に引き受けるようになったわけです。

でも病院での治療費には医療保険が使われているせいで、国の医療費は莫大な額にまで膨れ上がってしまった。そこで「患者の慢性期や看取りは医療から切り分けよう」という動きが出てきて、介護保険ができました。


介護ビジネスの差別化に求められる、医療連携

介護保険制度が創設されると、介護施設はいっきに急増しました。厚生労働省のデータによると、2000年4月末時点で52万人だった施設サービス利用者は、19年後には95万人まで増加しています。介護保険創設前と比べると、約2倍の数の高齢者が介護施設のお世話になる社会になりました。

地方自治体などの公的施設が運営している特別養護老人ホームは、比較的費用が安いことから特に多くの入所希望がありました。申し込みの多さに対してベッドの数が追いつかず、大量の入所待機者が発生するという問題を抱えるほど。

この穴を埋める形で、民間の介護付き有料老人ホームも数が増え、施設によって様々な設備・サービスが提供されるようになりました。

黎明期が終わって施設数が急増した今、介護業界は「これからちゃんと体制を整えて、他の施設との差別化をしていきましょう」というタイミングなんです。
そこで特に大事な差別化ポイントこそ「医療対応」「病院連携」ではないでしょうか。

介護保険の仕組みでは、要介護度が高い方に入所していただければ売上が出ます。しかし、介護度が高いということはそれだけ入院や通院が必要になるおそれがあり、すぐに医療に繋げることができない状況ではリスクが高いわけです。

介護施設では医師や看護師を24時間常駐させる義務は定められていません。どこまで医療体制を整えるかは施設次第で、現状はごく少数の介護施設でしか満足な医療連携は取れていないため、体制整備は差別化の大きなアドバンテージです。

常駐医師を雇うことは難しく、看護師不足の介護業界だからこそ、日中のオンライン医療相談と夜間オンコール代行は必ず力になれる。そんな確信があります。

そこからさらに、ドクターメイトが病院連携を推し進めるハブになることで、施設は加算を取得できるようになり、安心安全だけでなく経営にも良い影響を及ぼします。

手厚い医療連携で安心を創り出し、従業員の負担を減らしながら、利用者の満足度を上げて他の介護施設と差別化する。僕はこの事業を通じて、誰もが笑顔になれる、そんなWIN-WIN-WINの貢献ができると思っています。

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