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僕が人生をかけてやりたい、高齢化と介護の問題解決

持続的な介護の実現に向け、ITの力で施設の課題を解決する医師、青柳です。

自分が生まれた頃からずっと「少子高齢化」だと言われている日本社会ですが、学生のうちはその実感はありませんでした。
「まあ医療も進歩してるし。寿命が伸びて高齢者が増えるのは普通で、仕方ないことだよね」という程度の認識。

危機感のなかった僕ですが、医師になって初めて「高齢化」を肌で感じるようになりました。患者さんの年齢層が異様に高いんです。

少子高齢化問題について知っておかなければいけないと思って色々調べ、改めてデータを見た時、僕は愕然としました。
今回はその話をしたいと思います。


2025年には、国民の5人に1人が75歳以上になる

「2025年問題」という言葉をご存知でしょうか。

すぐそこに迫る近未来では、国民の5分の1が後期高齢者(75歳以上)になります。さらに、2040年には人口が1000万人減少するらしい。東北地方の人口が868万人、神奈川県の人口が905万人ですから、どれだけのインパクトか計り知れません。

若者が減って、高齢者が増える。この超高齢化社会にあたって年金・医療・介護のニーズが急増するし、社会保障費も相当必要になるぞ!というのが2025年問題です。

これを知った時、状況はこれからずっと悪化していくんだと思いましたし、今の医療体制ではとても支えられない!と、落ち込むを通り越して絶望しました。

医療者はもうすでに本気で忙しいし、目の前のことに必死。未来に向けた長期的な投資をして、仕組みや社会を変えていく余裕はないんです。

医療者が長時間働くことで解決できるレベルはすぐに超えてしまう。
人の努力だけでは「持続可能な仕組み」にはならない。

迫り来る問題に対して適切な手を打てないまま、首が締まるのを待っているような状態に、もやもやする日々を送りました。

けれども、そこからさらに調べていくうちに、ある気づきを得ました。
「医療者が足りない」と言われているけれど、実は人口に対して医療者の数は足りているぞ、と。

ただ、ドクターは地域偏在で首都圏に集まってしまっているから、地方都市にいない。ナース資格を持つ人は多いけれど、医療現場で働いていない潜在看護師が70万人にものぼっている。
ここに、現状打破の鍵があると思いました。


リソースの適正化ができれば、医療は社会を支えていける

そうした「首都圏に集まるドクター」と「現場にいないナース」をうまくワークさせることができれば……。

そう考えていた時に、ちょうど「オンライン診療」「デジタル化」といった話をあちこちから耳にするようになりました。IT技術を使えば、リソースの適正化・仕組み化ができるんじゃないか? と思い、希望が持てたんです。

もちろんオンライン診療にはデメリットもあります。直接診察する方が、そりゃ情報量も多い。ただ現実、日々の診療の中には直接来ていただかなくても良いものが、一定数混ざっていると感じています。

受診するほどではない病状で不安を抱えていらっしゃる方には、オンラインカウンセリングで安心いただくことができるし、経過観察ならオンライン診療を挟んでも問題ありません。

リアルとオンライン、どちらのほうが優れていると考えるのではなく、共存させて使い分けることで医療の幅は広がりますし、不要な受診をスクリーニングできます。

患者にとっても、大きなメリットがあります。

まず高齢者にとって、むしろ病気をもらってしまうかもしれない受診はリスクです。体力が落ちていると動くのも大変ですし、付き添いが必要になって気軽ではないと感じる人も多いでしょう。

また地方に住む人にとっても、受診というのは労力の要ること。家から遠いと「なかなか病院に行けないから」と言って、我慢して悪化させてしまうケースも少なくありません。

そうした理由で、病院から足が遠のき、重い病状になってから来院されるのでは、やはり予後もよくなく……。回復が遅くなってしまうから、医療費もかさむし手もかかる。軽度のうちにオンライン相談することで、病院に行くべきタイミングが分かるだけでも大きな価値があります。

オンラインでの診療や医療相談が一般化すれば、医療において場所の概念は飛び越えられます。現場のリソースにだけ頼る状態から脱却し、全国の医療リソースで現場を支える「全国包括ケア」に変えられると思うんです。場所の概念が無くなればドクターは足りるし、ナースも復職しやすくなるでしょう。

それが、僕が人生をかけてやりたいこと。

医療者がどこにいても医療を提供できる未来。
すべての人が安心して医療にアクセスできる未来。
社会全体が無理なく、持続的に支え合える未来。

そこに到達するために、今できることを全力でやりたいと思っています。

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