はな

去年父が、今年は母があの世に逝ってしまいました。 幼い日の思い出や日々の出来事を、つらつらと書いていきます。

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    本にまつわるエッセイをまとめてみました。

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紫陽花とカタツムリ

子どもの頃はよく走り回っていた。幅が微妙に違う石段や、傾斜15度の坂道をピョンピョンどれだけ早く走れるか。昨日の自分をいかに超えるか、みたいな。 今では、グルグルグルグルグルコサミンをいくら飲んでも膝の関節がもたない自信があるけれど。 雨上がり、例のごとく走り回っていたらパリッパリッと足元から音がする。ふと見て「 ギャー! 」悲鳴をあげてしまう。 地面には無残にも打ち砕かれたカタツムリの残骸があちこちに転がっていた。ごめん、ごめんよ。 災難を逃れた大小のカタツムリは、

    • 感情の波に溺れないよう必死に泳いでいる。昔、思いを寄せていた人との偶然の再会。十年一昔と言うなら、いくつ昔だろうか。肩先にそっと触れたあの人の指が、心に波紋を投げかける。懐かしいのはあの頃のふたり?戻りたいのは若かった私?サザンの「さよならベイビー」を聴きながら今宵も眠られぬ夜。

      • 勤めている病院で、職員の送迎をしていた運転手のおじさんがいた。去年退職され、最後の挨拶もできないままサヨナラ。私はちょっぴり寂しかった。今日温泉施設の送迎バスに乗ったらそのおじさんが運転手をされていた!十年近く、バスの中でおじさんと他愛もないおしゃべりをしていた日々を思い出した。

        • 『光る君へ 三十二話』を観て三つの独り言

          その一。とうとうまひろが藤壺へ女房として仕えることになりました、道長の娘である彰子中宮に仕えるまひろ。道長には賢子も一緒にきてもいいと言われるけれど、それはまひろ的にはどうでしょう。同じ父を持つ子どもなのにこの扱いの差。彰子は中宮、賢子は召使い。それは側室として生きていくことを拒んだまひろのせいです。しかも、道長は賢子が自分の子だと知らないのでしょうがありませんが。また、北の方と側室との子どもてすら格差が大きいですね。それを愚痴った側室の元には、道長は通わなくなった過去もあり

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        紫陽花とカタツムリ

        • 感情の波に溺れないよう必死に泳いでいる。昔、思いを寄せていた人との偶然の再会。十年一昔と言うなら、いくつ昔だろうか。肩先にそっと触れたあの人の指が、心に波紋を投げかける。懐かしいのはあの頃のふたり?戻りたいのは若かった私?サザンの「さよならベイビー」を聴きながら今宵も眠られぬ夜。

        • 勤めている病院で、職員の送迎をしていた運転手のおじさんがいた。去年退職され、最後の挨拶もできないままサヨナラ。私はちょっぴり寂しかった。今日温泉施設の送迎バスに乗ったらそのおじさんが運転手をされていた!十年近く、バスの中でおじさんと他愛もないおしゃべりをしていた日々を思い出した。

        • 『光る君へ 三十二話』を観て三つの独り言

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          幼馴染と久しぶりに会った。お互い十代から二十代の恋愛体験はほぼ知り尽くしているが、今では淡い水のような付き合いだ。子どもの話やパートナーの話などこちらから聞くことはしない。彼女もそう。ドラマや音楽の話、たまに仕事の愚痴。そのくらいの会話でも安心して一緒にいられる、心地よい関係だ。

          幼馴染と久しぶりに会った。お互い十代から二十代の恋愛体験はほぼ知り尽くしているが、今では淡い水のような付き合いだ。子どもの話やパートナーの話などこちらから聞くことはしない。彼女もそう。ドラマや音楽の話、たまに仕事の愚痴。そのくらいの会話でも安心して一緒にいられる、心地よい関係だ。

          高橋克典さんの「大岡越前」が好き。映像美、カメラのアングルがさすが京都の太秦だ!越前に襲いかかる盗賊の顔のアップから、越前が盗賊を打ちすえる姿を横から引いて撮り、盗賊の後ろ姿のアップ、そして倒れ込みフェードアウトすると凛々しい越前の姿が現れる。高橋さんはじめ、皆さんの演技も素敵!

          高橋克典さんの「大岡越前」が好き。映像美、カメラのアングルがさすが京都の太秦だ!越前に襲いかかる盗賊の顔のアップから、越前が盗賊を打ちすえる姿を横から引いて撮り、盗賊の後ろ姿のアップ、そして倒れ込みフェードアウトすると凛々しい越前の姿が現れる。高橋さんはじめ、皆さんの演技も素敵!

          淋しさって孤独な時よりも誰かと大切な時間を過ごし別れた後に突然襲ってくる。孤独な時は心をしっかり閉ざして、充たされなくても淋しくはない。だけど、誰かと過ごす楽しい時間は、二度と戻れない淋しさに満ちている。その愛しい空気が萎む前に、胸に閉じ込めてそっと蓋をしよう。色褪せないように。

          淋しさって孤独な時よりも誰かと大切な時間を過ごし別れた後に突然襲ってくる。孤独な時は心をしっかり閉ざして、充たされなくても淋しくはない。だけど、誰かと過ごす楽しい時間は、二度と戻れない淋しさに満ちている。その愛しい空気が萎む前に、胸に閉じ込めてそっと蓋をしよう。色褪せないように。

          コトコトとスープを煮詰めたり、砂糖水に熱を加えてかき混ぜて、べっこう飴が生まれる様な、そんな濃密な時間を共に過ごせた日、知り合いは、大切な友人に変わった。これからも、ゆるくて長い関係が続くように、距離感を大事にしていこう。恋という言葉は当てはまらない。尊敬する人、ただ、それだけ。

          コトコトとスープを煮詰めたり、砂糖水に熱を加えてかき混ぜて、べっこう飴が生まれる様な、そんな濃密な時間を共に過ごせた日、知り合いは、大切な友人に変わった。これからも、ゆるくて長い関係が続くように、距離感を大事にしていこう。恋という言葉は当てはまらない。尊敬する人、ただ、それだけ。

          日々の記録 

           今日は天気がよいので、両親のお墓参りへ行ってきた。今月は母の一周忌。月末にまた行くので、お供えする花は定番の萎れにくい菊ではなく、白いガーベラと黄色いバラの花を持っていった。水色の空の下、風にそよぐ白や黄色の花たち。お墓らしからぬ爽やかさを感じながらお線香をあげる。 「私は幸せだから心配しないで。ふたりあの世で仲良く暮らしてね」 と、いつものように目を閉じる。  お墓の近所にある、もう誰もいない実家には寄らずに帰った。そこには、まだ二人の息吹が残っているようで、閉じかけた淋

          日々の記録 

          光る君へ 旅立ち

           今日は雨。遠くの台風が梅雨の気配を連れてきました。久しぶりの飲み会の帰り、ロングスカートの裾を濡らしながら急いで家へ戻るのは、録画していた「光る君へ」を観るためです。以下、ネタバレを含みます。  〜春はあけぼの〜からうたわれる、枕草子の物語の生い立ちを、今さらながら知りました。道隆(井浦新)が亡くなってから一年ちょっとの月日で、伊周(三浦翔平)は太宰府へ、隆家(竜星涼)は出雲へ、定子(高畑充希)は出家し、母の貴子(板谷由夏)は一人きりになるという、一家離散の憂き目にあって

          光る君へ 旅立ち

          光る君へ 望みの先に

           今週の「光る君へ」も面白かったです!以下ネタバレあります。  藤原伊周(三浦翔平)と弟の隆家(竜星涼)が勘違いから前の天皇・花山院に矢を放ってしまい、帝から謹慎を命じられます。伊周の妹である中宮の定子(高畑充希)も帝から内裏を出るよう命じられ、ここから、故・藤原道隆(井浦新)の一族の怒涛の没落が始まるのですね。  三浦翔平さんの平身低頭し涙する姿が素晴らしかったです。昔は何をしても許されていた権力側の人間が、力を無くすとこうも変わるのですね。ただの無法者として検非違使に

          光る君へ 望みの先に

          水出しコーヒーを飲む。雑味がなく、すっきりと喉が潤う。人間関係も一緒だ。情熱だけで一緒になるよりも、つかず離れず身近にいた人の方が、長い付き合いになっている。焦らず慌てず、ゆっくりと自分の道を歩いていこう。走りたければそれもまたその人の人生。私は私、人は人。私の幸せは私が決める。

          水出しコーヒーを飲む。雑味がなく、すっきりと喉が潤う。人間関係も一緒だ。情熱だけで一緒になるよりも、つかず離れず身近にいた人の方が、長い付き合いになっている。焦らず慌てず、ゆっくりと自分の道を歩いていこう。走りたければそれもまたその人の人生。私は私、人は人。私の幸せは私が決める。

          苺ジャムを作る休日

             今日、スーパーで二百九十八円の苺が山積みされていた。親指程もない大きさで、そろそろ終わりを迎える苺だろう。  昔、団地に住んでいた頃、鉢植えの苺をベランダに置いたことがあった。まだ、若い葉だけで頼りなさげだったが、単純に水をやるだけで苺は実をつけてくれた。小粒だが日に日に赤く色づいくる苺の実。  しかし、それを食べることはなかった。ベランダを自由に行き来していた鳩の羽や糞が苺を直撃していたから。なすすべもなく(ネットを張れば良かったのだろうが)観賞用として一生を終え

          苺ジャムを作る休日

          小さなトゲ

           もっと自分の世界を広げたい、そんな思いに抗えず私はその扉を押した。手に持ったバッグが、書店の中に仕舞われた木製の看板に当たり、ガタガタと音をたてた。カウンターには見知らぬ男性が四、五人座っていて、薄暗いカウンターの奥にいた店主が、私に声をかけた。 「すいません、今日の営業はもう終わりました」    世界には色々な本屋がある。  例えばシェイクスピア&カンパニーは現在もパリにある書店である。今は亡き二代目の店主は、貧しい作家や詩人たちに食事とベッドを提供していて、いつも店に

          小さなトゲ

          岐路

           今夜は大河ドラマ「光る君へ」がありました!早速リアタイで観て、録画で好きな場面を繰りかえし観ています。  ざざっとふたりのこれまでを振り返ってみます。    まひろ(紫式部)と三郎(藤原道長)は幼いころ出会いました。まひろは読み書きができる賢い子で、三郎はどちらかというとボーっとした優しい少年でした。何度かことばを交わすうちにふたりは打ちとけあい、もう一度会う約束をします。しかし、約束の日、まひろは早く三郎に会いたいが為に、駆け足で道に飛び出してしまい、馬に乗った藤原道兼

          一歩も外へでない休日

           夜勤の疲れは齢を重ねるごとに身体に蓄積されやすくなり、休日の今日はずっと家でゴロゴロしていた。ようやくの晴れ日、ここぞとばかりにシーツ類を洗濯した後、今度読書会で紹介する本を読み終えた。  読書会は最近の私のルーティンのひとつで、もっぱらオンラインで参加している。もともと本やテレビが好きで、できれば職場でも話したいのだけど、なかなか読書好きの人はいない。人の噂を熱く話す人が多いのは、女性がメインの職場からだろうか。人の噂などは面白くもないし、巻き込まれるのはまっぴらごめん

          一歩も外へでない休日