デジタル教科書と教科書

 もうすぐ26年度も終わり,27年度がやってきます.27年度は4年に一度の小学校の教科書の改訂の年です.教科書が改定されますので,もちろんその内容に合わせて作られているデジタル教科書も改訂です.これまでコツコツ集めてきたデジタル教科書は,その元となる教科書の使用が終了した時点で,著作権の関係で使用が認められなくなります.新しいデジタル教科書を再び揃えるには何百万もかかるため,ひじょーに困っている今日このごろです.

 さて,27年度のデジタル教科書の各出版社のwebページを見てみると,今までとちょっと違うところがあります.それは“学習者用”という文字があちらこちらに書かれている点です.そう,これまでデジタル教科書といえば,先生がたとえば電子黒板で利用していた“指導者用デジタル教科書”のことだったのですが,27年度からは児童・生徒がiPadやTabetPCで使う“学習者用デジタル教科書”も販売されるのです.時代は進んでいます.

 さてさて,デジタル教科書,デジタル教科書と言いますが,これ,実は教科書じゃないんです.教科書は,教科書の発行に関する臨時措置法(通称:発行法)という法律の第二条で次のように定義されているんですね.

この法律において「教科書」とは、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及びこれらに準ずる学校において、教育課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童又は生徒用図書であつて、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作の名義を有するものをいう。

なので,文部科学大臣の検定を経ておらず,文部科学省が著作の名義も有していない現在のデジタル教科書は教科書じゃないんです.

 じゃあ,大学の授業で教科書に指定されている加藤先生が書いた本は教科書じゃないじゃんということになりますが,確かにこの発行法における教科書ではありません.でも,教科書の一般的な意味(三省堂の国語辞典では,教科の教材として編集した書物と書いてあります)では教科書でよいでしょう.デジタル教科書もこの意味では教科書ですね.

 なんか書いていることがめちゃくちゃになってきた気がしますので,そろそろ終わりにしたいと思いますが,要は発行法における教科書ではないということです.この“発行法における”が,デジタル教科書について議論する上で,しばらくの間は重要なのです.それはまた次回

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