デジタル教科書と検定

 またまた発行法です.「教科書」となるには,発行法第二条

この法律において「教科書」とは、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及びこれらに準ずる学校において、教育課程の構成に応じて組織排列された教科の主たる教材として、教授の用に供せられる児童又は生徒用図書であつて、文部科学大臣の検定を経たもの又は文部科学省が著作の名義を有するものをいう。

にあるように,文部科学大臣の検定を受けなくてはいけないんですね.

 私は検定についてはど素人なのでたいしたことは書けないのですが,シミュレーションやインタラクティブコンテンツなどなど,様々なコンテンツを盛に盛に盛り込んだデジタル教科書を検定対象とすることは可能なのでしょうか.それを検定する体力と能力が検定をする組織にはあるのでしょうか.

 その点を考慮するためにも,付加的なコンテンツは後から追加することを前提に,最低限のコンテンツだけからなるデジタル教科書を作って,検定はそれだけを対象とするのがよいのではないかと思っています.これが前回,無償で配布する部品も,国に買い上げてもらうものには入れないという選択肢を作った理由です.紙の教科書に含まれない付加的なコンテンツまで検定に含めようとすると,それはいろいろ大変なことになりそうですからね.

 さて,ほんと検定については知らないので,詳しい方にお聞きしたいのですが,教科書検定というのはレイアウトも含めているのでしょうか.現在は紙に印刷されたものを検定しているので,そのようなこと考えたこともないかもしれませんね.ただ,検定された教科書のレイアウト,たとえば写真の位置を右上から左上に変えるのは認められないのでしょうか.それとも検定はあくまで内容だけについてで,このような変更は認められるのでしょうか.

 これ,デジタル教科書の検定をすることになった際は,大きな影響をもたらす部分なんです.いろいろ議論になっているデジタル教科書のデータ形式,たとえばHTML5を利用した場合,どうしてもビューア(ブラウザ)によって位置がずれたりするんですね.もしレイアウトも検定対象となると,ビューアとセットでの検定になってしまい,そのうち書きますがコンテンツとビューアを独立すべきという大前提が達成できなくなってしまいます.また,レイアウトまで含めた検定になると,電子書籍のようなリフローレイアウト型の教科書は認められなくなってしまいます.位置まで含めた検定を通過できるのは,画像で表現されたものだけになってしまいます.ぜひ,デジタル教科書の検定は,内容だけを対象にして欲しいところです.

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