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“スーパーアプリ”で占有時間をより長く

11/18(月)に正式発表された“Yahoo!とLINEの統合ニュース”。私自身もビックリですし、業界的にも“ビックリニュース”です。

その後、様々なメディアで、“狙いや目的”が議論され、色々な視点での解釈があるんだなぁ~と、勉強になりました。。

そういった議論がある程度収束した今、私なりに整理してみた。


両社ともにマネタイズ方法は“広告”が主なので、

統合の本質は、やっぱり

“ユーザーによるサービス活用の占有時間をより長くする”

ということです。

この占有時間がある程度ないと、広告を中心としたビジネスモデルを構築することは難しいですから。。

分かりやすい事例として、中国が挙げられます。中国では、チャット機能を中心とした「WeChat」が機能の拡大を続けたことで、情報収集/コミュニケーション/ショッピング/決済などなどまで含めた“スーパーアプリ化”し、デジタルにおけるユーザー活動において、一気に“インフラ化(=占有時間の拡大)”しましたので、中国国内でのビジネスを有利に進めているだけでなく、中国国外にまで影響を与えることができ始めています。

一方で、米国はちょっと違います。“スーパーアプリ化”より先に“単体アプリ”を武器に、一気に全世界にサービス拡大していきました。情報収集はInstagtam、コミュニケーションはFacebookやTwitter、ショッピングはAmazonやeBay、決済はPayPalなどなど。米国内でもこれから“スーパーアプリ化”が進んでいくのでしょうか?企業買収や合併、機能統合などなど楽しみです。

今回のYahoo!とLINEの統合は、前者の“中国方式”を採用した動きです。日本における“ユーザー活動のデジタル化”はまだまだ進んでいませんので、思い切った統合で良い判断ですね。

孫さんに説明に行かれた際の反応が印象的です。「100%賛成。やるからには今までできなかったような大きな課題解決につながるようなことをやらないと意味がない」⇒ まさに、あらゆるデジタルサービスにおける“インフラになれ!”ということだと理解しました。


“統合の本質”を実現するための手段&課題として

以下のようなことが語られています。

1、○○Pay戦争を終わらせる必要性

2、既存の両社提供サービスの補完関係

3、膨大なデータによって網羅性あるマーケティング施策実現の可能性

4、東南アジアを中心とした海外進出への試み

5、優秀な人材を含めたリソース確保の課題解決

6、世界をリードするAIテックカンパニーを目指す心意気

7、ソフトバンクグループの影響力拡大議論

8、米国&中国の巨大企業を前にしての公正取引委員会の判断

すべては、“占有時間を長く”という統合の本質に向けた内容です。

これらの(今回の統合においては)細かい手段&課題に関しては、正直、まだ何も話がされていないのだろう。青写真すらないのだろう。あくまで、両社の経営層トップでのみ共有されていたにすぎず、現場レベルではまさに“寝耳に水”だったのだろう。


(ここから余談的ですが、、)

「“対等の精神”に基づく経営統合で合意」は本当か?

今回の記者会見でも述べられていた、この“対等の精神”。そういった“精神”はあるが、決して“対等ではない”のが一般的だろう。

今回に関しても、「ソフトバンクグループがLINEを買収した」と見るのが一般的です。

となると、これから大事なのが、“統合作業”です。特に、両社の社員向け情報共有(コミュニケーション)です。両社ともにすでに大企業です。今回の“統合戦略に対する理解/合意/実行”を全社に張り巡らすのはすごく難しいだろう。この統合作業の結果次第で、よく言われる“シナジーの結果”も大きく変わってきます。


統合作業における“どこまで情報共有するのか問題”

情報共有がなぜ必要か?経営層はもちろん言います。「対等の精神で」とか、「ウィンウィンを目指して」と。ただし、“対等の精神”や“ウィンウィンを目指して”自体は、決して“事実”ではなく、経営層からの“思い”であったり、“評価”でしかありません。経営層が交渉過程や結果をそのような“思い”で取り組み、”評価”しましたよ。と。。ただのそれだけでしかないのです。

“思い”や“評価”は人によって変わるのです。どういう基準で、“対等の精神”とか、“ウィンウィンを目指して”と言っているのか。。

「どういう交渉過程を経たのか?」「なぜそういう結果に至ったのか?」の情報共有がなかったら、理解/合意/実行が生まれませんし。。最悪の場合、経営者の“思い”や“評価”自体を信用できなくなったりする。。これで不利益を被るのは誰か?笑い話ではすまないです。。

だからこそ、できる限り、情報共有をすることによって議論を巻き起こし、だからこそ現場レベルでも積極的に理解/合意/実行していかないといけないね。。という土壌を形成していく必要があるのです。

もし、それらを情報共有しないという姿勢になってしまうと、“大きな問題=統合の失敗”に至ってしまうことになる可能性が高いです。。