エクリチュール 無駄のないフォルムだった

日記 創作文

ネタが無い。

色はない

 それはまだ起こっていないことの、その潜在的な、けれど、リズムと言って了解可能なひとつのひたためく光線だった。そしてそれは躓いていたし、そうでありながら、進んでいく巨大な貨物船のように、無駄のないフォルムだった。

 ――こうべを垂れた花の青

 そのなかでぼくは、ぼくと名付け得た、そのわずかばかりのタナトスからの離脱で、空からその額に向けて(ひとつのユーモアに満ちた)、そう言ってよいのなら、あの、やはり、名付け得ない糸のような、ためらいがちな縦横のそのカタチに、邂逅していた。

 ――鳥の声の恐ろしさ

 あなたが、誰でもないもののひとつとして、名を持つことをゆるされながら、ふたたび、第一級と言ってよい溢れ出る幾何学に瞳を、超政治学的に一般的なこの瞳を、あの瞳を、そういった全景それそのものに、打ちのめされていた。言うに及ばないことなのでもあった。

 ――牛の足の裏に刻まれた暗号文字

 だから、沈黙を、小さな沈黙を、あなたに――そう思って、こう、そう、たとえながら、こう、このように。

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