ヒットメーカー（PIXTA #27）

　ある日の夕方、僕は夕飯の買い出しに近所のスーパーマーケットへ向かった。店内をウロウロしながら、その日の食材を商品棚から適当にカゴに放り込みながらカートを進める。カートを進めながら一通りの材料が揃ったので会計のレジへと向かう。

　レジと定番と呼ばれる商品棚の間には、大きな通路があり、そこはお客が通る通路でもあり、会計を済ますにあたって避けては通れない、並ばなければならない通路でもある。そんなレジ前には二つの大きなワゴンが並んでいた、一つ目のワゴンにはカルビーのポテトチップスがその日の売り出しとして山の様に積まれていた。そしてもう一つのワゴンには、日清のカップヌードル(プレーン)が同じく山の様に同じく売り出しとして積まれていた。

　ワゴンの内容を日にちごとに変えるのは、常連のお客を視覚的に飽きさせない為のスーパー側の手法の一つなんだろう。その手法もあってか、人々はその商品を手に取って次々と自分のカゴに放り込んでいく。誰しもが一度は口にした事のある商品だし、しかも売り出しだから￥100を下回っている。

　そこで改めて思った、何で売れるんだろう？勿論売り出しって言う低価格な目玉商品だから、誰しもが通る通路やワゴンセールと言った視覚効果も奏してなのだろうか？老舗のロングセラーだから、品質に保証があるからこそなのだろうか。カゴに放り込んだ人達は、それをその日の内に食す人もいれば、備蓄としてストックする人もいるんだろうなと脳内で勝手に一人マーケットを交錯させる。

　そんなその日の僕はそのワゴンセールには手を出さなかった、特別今欲している訳でもないし、まぁ備蓄のストックとしてあっても良いけど、無くても…って感じだったので、欲しい時に又、通常の値段で買っても良いかと思えたので、その日はスルーして会計を済ませた。

　そんなある日のPIXTAでのサイトをダラダラと閲覧していると、とあるジャンルに於ける、とあるクリエイターさんの素材が一番先頭を取っていた。元々お気に入りクリエイターさんだった一人なのですが、その数日後に同じく覗くも、まだその素材は先頭ぶっちぎりだった。そうこうして一ヶ月が過ぎようとした頃、まだそのクリエイターさんの素材は、まだ先頭突っ走っていた。

　申し訳ないが、そのジャンルに於いて他のクリエイターさんの素材には目もくれなかった自分、その先頭を取っているクリエイターさんには込々で勝算はないのは分かっていた、ただ、このジャンルの素材に於いては些か疑問を感じていた。

　この角度から攻めたらワンチャンあるかも！？…そう感じた自分は、先ずは一旦自分なりにそのメゾットに基づいて描いてみた。一日目、取り敢えず形は出来たがバーっと描いた分、一旦寝かせた。二日目、昨日寝かせたデータを開くも、昨日とは違う視点で改良点が見つかったのでチョイチョイいじって又寝かせた。

　三日目、又二日目とは違う視点で改良点が見つかったのでチョイチョイいじって寝かす。そして四日目、集中してそのデータを穴が開く程に見つめるも、もう改良の余地も生まれず、いつまでも悩んでいても…と思いながら、勝負出来るか否か。駄目で元々一期一会と思い、並行して作っていた素材と一緒に願いを込めて投下した。

　その素材には観察から自分が描いて投下するまで約1、2ヵ月の月日が流れていた。そうして審査を通過し、勿論サイトの棚の先頭では無い、かと言ってはるか後方でもなく、可もなく不可もなくと言った位置添えだった素材でしたが、日を増すごとにポツポツと売れ始めてくれた。また日によっては一日で5回や6回と言った複数回売れてくれたりするもんだから、嬉しさを超えて恐怖を感じた時もあったりしました。そして数回のEXも獲ったりしながら。

　このまま行けば、もしかして当初予想していたワンチャンがあるかも…と思いながら、そして又、時期と言うか投下のタイミングも絶妙だったのかもしれない。そんなこんなが上手く組み合わさって、その素材は重版の重版を重ね僕の中で初めてのイラストヒットメーカーとなってくれた。そして当初勝ち目が無いと思われていた、そのクリエイターさんの素材を気が付いたら追い抜いていた。

　気が付いたらなんて綺麗事で片付けるのではなく、泥臭くても追い抜きたいと言う思いなのが正直な感想だった。そんな僕の思いにまるで購入者が乗ってくれるかのように、その素材は日々弾けるように飛ぶようにジャンジャン売れてくれた。そしてありがたい事に今もなお売れ続けてくれている。

　ただそれでもそのジャンルの素材に関してはそのクリエイターさんとアップデートと言う意味で一進一退の攻防は未だ続いている。向こうもきっと僕の戦略に黙ってはいなかったのだろうか！？(そこまで考えてないか…)

　カルビーのポテトチップス、日清のカップヌードルが何故ロングセラーとして多くの人々から愛されるのか？