フジノオーの事。

1960年代に障害競走で活躍したフジノオーについて書かれた、
【そしてフジノオーは「世界」を飛んだ】を読みました。

【フジノオー】
79戦25勝[平地23戦1勝 障害40戦22勝 海外16戦2勝]
1963年秋~1965年春にかけては、当時年に2度、春と秋に行われていた中山大障害を4連覇しています。
名前や存在、どんな馬だったかというのは知っていましたが、これまであまり深く語られる事は少なかった印象です。中山大障害のルール変更や海外遠征の事などが書かれていて非常に興味深い内容でした。

昔あった天皇賞や中山大障害の1度勝った馬は出走出来なくなるという規定はどう考えても違うと思いますし、中山大障害の優勝馬に対する斤量の事もおかしい話だと思います。(もともと優勝経験馬2㎏増から1度の優勝ごとに2㎏増への変更)
※そもそも獲得賞金に応じて斤量が増えたりするので、実績のある馬と他馬との差が10㎏近くになったり、極端に斤量が重すぎる。それでも勝ってしまうので恐ろしい。

中山大障害のルール変更などの影響もあり、イギリスのグランドナショナルを目指し、1966年から約2年、ヨーロッパへ遠征(滞在)し、グランドナショナルでは完走なりませんでしたが大きな挑戦でした。そして、2年目の1967年にフランスで2勝を挙げました。

海外遠征の話と言えば、日本馬として初勝利をおさめたハクチカラの話が日本競馬の海外遠征の出発地点として良く語られますが、フジノオーの海外遠征、2つの勝利は十分過ぎる快挙のはずです。まして、グランドナショナルへ挑戦している訳ですから、もっと取り上げられてもいいと思います。

ヨーロッパでは平地競走より障害競走の方が人気だという事も聞きますが、日本ではまだまだそこまでではないのは事実です。
もちろん競馬場へ足を運んだり、よく中継を見る方は障害競走が好きな方も多いのですが、あまり見ない方や詳しくない方は、障害競走を見たことがない方、知らない方も多いかと思います。
それは、平地のGⅠ競走は一般メディアでも取り上げていただける事が多いですが、2つのJ-GⅠは取り上げられる事がほとんどない事や、2つのJ-GⅠ含めて障害重賞競走は、基本的に土曜日の開催になっている事など、JRAの番組編成等も影響しているのではないかと思います。

唯一、障害競走を中心として活躍した馬では、グランドマーチスが顕彰馬に選出されていますが、フジノオーが顕彰馬に選出されていないのも疑問です。中山大障害5勝のバローネターフの名前も挙がってもおかしくありません。最優秀障害馬というタイトルはありますが、障害競走は評価されにくい印象です。
(グランドマーチスは、平地競走の馬を含めた当時の獲得賞金額が大きく評価された物だと思います)

近年の障害競走でいうと、スーパースター的存在のオジュウチョウサンがいますが、オジュウチョウサンには2018年の有馬記念の後、2019年以降はヨーロッパの障害レースを狙って欲しかった気持ちがあります。それは、勝利する事以外にも、ヨーロッパは障害競走が人気だと聞いていたので、もしかしたらオジュウチョウサン自身の馬生や今後活躍馬が生まれた際の障害馬の選択肢が増えるのではないかという期待と願望があったからです。

フジノオーしかいない海外障害競走の勝利ですが、この先、障害競走でも海外へ遠征、勝利する事があれば、改めてフジノオーの快挙が取り上げられる事になると思いますし、そんな時が来て欲しいと思っています。
その為にもまず、改めて日本の障害競走への注目はもちろんですが、グランドナショナルをはじめ、海外の障害競走が身近に感じれる事があればと感じています。
とにかく、フジノオーの事は、もっと評価されていいはずです。

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