ETと空中浮遊

#映画にまつわる思い出

1982年公開の「E.T.」、日本でも一大ブームとなり、映画館は人であふれていました。
当時の映画館は、指定席や入れ替え制はなく、入れる時にいつでも館内に入り、人が出て行ったら席を奪い合う方式でした。
映画の途中から観劇するのは普通のことで、見始めた箇所が放映されたら映画の途中でも退席することが多かったです。
また、入れ替え制ではない為、一日に何度も同じ映画を見続けることも可能でした。
「E.T.」以前の映画館はいつ入っても座れるのが常識でしたが、この映画だけは違っていました。
職場の仲間たちと映画館に行ったところ、5階の映画館に入る行列が1階まで伸びていました。
どうせ客は入れ替わるから座れるだろうとタカをくくっていたのですが、映画を見終わっても退席する人が少ないうえに入っていく客は増える一方でした。
私たちが上映場所に入れたのはE.T.とエリオットが自転車で空を飛ぶクライマックスシーンでした。
しかし、現場は映画を鑑賞するどころか、立すいの余地もないほど混み合っており東京の満員電車のような状態で、「押すな!」の怒号が飛び交う映画館では押されて足が浮くほどの圧迫感に包まれていました。
E.T.が浮遊する場面で、私たちは人ごみに押し上げられて浮遊感を味わうという二度と味わいたくない経験でした。
その後、映画館は事前予約、指定席制、完全入れ替え制が当たり前となり、とても快適になりました。


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