まだ夜は来ないので

こんにちは。こんばんは。

寒くなってくると、このふたつの間の、ほんの少しの隙間を埋めてくれる言葉があればいいのにな、とよく思います。秋あたりから、このふたつの言葉の繋がりが滑らかさを失い始める気がするので。「既に日の傾きを感じる午後4時に、なんと挨拶をすればいいか困っています」という人に、わたしはなんと言うべきかわかりません。間違いではない答えとしては、「その時間は誰にも会わないように、部屋に閉じこもっておきましょう」とかしか浮かばないけど、これは、「間違いではない」というだけで、正解でもないと思います。

どこか遠くの国には、夕方の挨拶もあったりするのでしょうか。深夜の挨拶とか、寝坊したときの挨拶とかも。

言葉は、なにかに名前をつけたくて生まれるものです。名前をつけたいのは、それをほかのあらゆるものとは区別して扱いたい、ということです。いろいろな挨拶があるのは、いろいろな仕方で相手とのその日の出会いを作りたいからだと思うとなんだか素敵です。ものやことに名前をつけることなく「あれ」とか「それ」とか言うことがありますが、これは「ほかのものと区別はしたいけど、名前をつけるほどでもない」ときとかでしょう。あらためて振り返ると、わたしたちが「あれ」「これ」という言葉をいかに多用しているかがわかります。ひょっとしたら、なにかに名前をつけるって、とても特別な行為かもしれません。子供の頃はぬいぐるみのひとつひとつに名前をつけたりもしたものだけど、もうそんな機会もほとんどないように思います。

それが悲しいような、どうでもいいような どうでもいいことが悲しいような。


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