大人になる。ミン・ユンギといっしょに。(SUGA: ROAD to D-DAY)

今更だけど、j-hope in the boxと同じタイミングでユンギの映画も鑑賞していました。

映り込んでて怖いのは撮影する私の手です


楽曲制作シーンが中心ということもあり、より内面にフォーカスがおかれていたドキュメンタリーだったように思う。テーマとして、"新しい夢を見つける"と手触りのいい言葉が多く登場したけど、(彼もまた同年代の)私は、もっと重くずしりとしたテーマを投げかけられた気がした。

大人になる覚悟はあるか?

いい大人として等身大の夢を見るのか?
自分の枠組みを超える、破天荒な夢を見つづけるのか?
それともどちらも両立できる、最強の選択肢を創っていくのか?

私が見る限り、劇中で明確な答えは出てこなかった。もしかしたらこの問いこそ、新生SUGA/AgustD/ミン・ユンギが語りたいことになっていくのだろうか、という気もした。


そして、この問いが現状私の感想の全てで(垂れ前髪ユンギかっこいいとか、かっこいいとかもちろんはあったよ)、出発点である。それゆえ、この先の文章の中でも結論が出ることはないのだけれど、もしよかったらそう思うに至った私のヒストリー、読んでやってください。



中学生になったあたりからか、大人になるということは、みずみずしい感受性を失って、乾いて擦り切れてしまうことだと思っていた。


当時の私は、いわゆる“ロキノン系女子"と言われるやつで、内省的で情緒的な曲を歌い上げるバンドを愛し、曲の世界観を深掘り&補足する役割として、雑誌Rocking on Japanのインタビューを擦り切れるほど読んだ。楽曲制作を担当するメンバーは、時に社会問題まで自分の内面に含んで葛藤し、その一つの結論として、もしくは過程で出てくる副産物として、アルバムなりシングルなり作品を生み出していると語っていた。自分に向き合う苦しみが大きければ大きいほど良い作品が生まれるという、なんとも大変な構図がそこには見て取れた。



しかし同時に、そんな風に体力気力が必要な、自分勝手なものの見方ができるのは、若いうちだけだ、と悟るような気持ちもあったように思う。中学生ながら。

自身の興味が勝手にうつろったことを1000%棚に上げていうと、当時お気に入りだったバンドは活動休止するかフェードアウト、もしくはより軽やかでオシャレな方向性に転換していったことが多かった気がする(偏見)。

7年以上活躍し続けるアーティストは稀だ、と劇中でユンギも言っていたように、やはり泥臭く自分の内面と向き合いさらけ出していくような活動を年を重ねながら続けることは大変なのだろうか。年相応でなく痛々しくなるのか、ニーズが無くなるのか、はたまたもっと良い感情に昇華していくのか。当時の私には全然ピンと来なかった。来なかったからこそ怖くて、好きなアーティストに置いて行かれた気がして、自分にもそういう日が来ることをめちゃくちゃに恐れていた。大人になって、自分と向き合う価値観だけじゃ生きていけなくなるタイミング。それがおそらく私にとっての"D-DAY"であった。

ただ、研究職という仕事にも恵まれたおかげか、社会人になっても30歳になっても、そんな恐れていた"D-DAY"は未だ訪れていないと見える。なんなら、自粛期間で中学生の時みたいに内省的な時間が増えて、そのタイミングでロキノン時代ぶりに人生を並走してくれるアーティストBTSにも出会って、こんなnoteだって始めてしまった。


私は、自分勝手に夢を見たまま、とうとう大人になりそびれてしまったんじゃないか。
"Young Forever"と歌いながらも確実に大人になっていくBTSメンバーを見て、そんなことも思った。
↓その時の記事です


"語るべきことがない"とスランプに陥ったユンギは、決して"全てを手にいれたから、もう夢がない"わけではないと思う。


内面にしっかり向き合いきった上で、自分のリアルな年齢や音楽シーンにおける立ち位置を考え、ちょうどいい温度感におさまるアウトプットを考えていたのではないだろうか。というのが、作業に訪れた山奥の家で、"うまくまとめなきゃ…"と呻めき悩む彼を見て感じたこと。

もしくはそれができないから、一度自分で激しい終止符"D-DAY"を打とうとしたのか?
だとするとそれは、何かを諦めるためでなく、ミュージシャンとして大好きな音楽を、支持されながら健全に続けていくため…という真っ直ぐな夢ゆえ、だと思う。海外を飛び回りミュージシャン仲間を訪問したのも、大人になるヒントが欲しかったからなんじゃないかな。

そして、ユンギがそんな風にみずみずしく、悩みながらも力強く30代を歩んで行こうとするのであれば、ぜひ私も、恐れ多くもお供したいものだな…ということで、本当に答えも結論もない記事でした。


※余談だが、ロキノン系を卒業した私はその後すぐ嵐オタクになる。サブカル一直線にもなりきれず、かと言ってキラキラアイドルオタクにもなれない私、アイドルを入り口に世界観・楽曲の沼に引き摺り込んでくれるようなグループが大好物なのです。

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