有常

机に止まった一匹の蝿が、薄ら寒いこの空間をねっとりと押し潰してゆく。
私はそれを殺すでもなく、ただ見つめて一日を終える。

「笑った顔が好き」
だなんて常套句は通用しない。
どう考えても当たり前でしかないから。
だけど、私は貴方の笑った顔がこの世で一番嫌いだった。何故だろう。

この消費社会に私も消費されてゆく。
需要はないのに、漠然と消費だけされていくのだからたまったもんじゃない。

月光浴をしたいと考えていたのに、いつの間にか時間が経ってしまっていた。これで全てが救われると本気で思っていた。何も分かっていない。
私の、人生の汚点。

窓越しの空を見ると、月の光は存在しない。
私の精神を体現したような雲が退いてくれない。
今週末、雨は降る。きっと。

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