『』

ラムネ瓶が落ちた。
日差しを受けて、キラキラと光っている。
吸い込まれそうなほどに透き通ったその色は、懐かしい、暖かい昔の味を思い出させた。
高らかな音が鳴った。
バラバラに弾け、粉々になったようだ。
美しい物が、瞬間、鋭い破片となった。
柔らかい春の空気に侵略していくような繊細さで。
世界は、そこで終わりを告げた。

私は誰だ

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