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ひまわりで届けたかったこと。

お花は寡黙にメッセージを伝えてくれるところがいい。

前回のnoteでもふれた近所のでっかい紫陽花。梅雨明け後のギンギラな日差しに晒されて、うす茶色のドライフラワーと化しています(それはそれで味がある)。

夏、真っ盛りの今となっては…がぜん、街の主役はひまわりですね。

幼い頃は太陽を描くときに赤いクレヨンを手にとったものだけど、燦々とした日差しも加味すると感覚的には黄色のほうがしっくりくる。

ひまわりと太陽。直視できないほどの眩い光に、あえて顔を向けて大きく咲いてる「ひまわり」の姿。黄色ってパワフルだ。豪快かつ繊細にひまわりや風景画を黄色(を中心とした色味で)描写していたゴッホは正解◎だと思う。


先日、お花やさんでバスケットブーケをあつらえてもらった。プレゼント用に。ご家族を亡くされた方にお渡ししたくて。「明るいお色味がいいですね、元気が出るような」と店員さん。「黄色はいかがですか?たぶん、ひまわりが入ると思います」

お仏壇にひまわりってあまり見ないかもしれないけど。シンプルな明るさや希望みたいなものを届けたい思いがあった。なので、変じゃないですよね?という言葉に同意くださった店員さんのやさしさやセンスがうれしかった。


久しぶりにサロンにお越しくださったWさまはわたしの心配をよそにお元気そうだった。いつお会いしてもお風呂上がりみたいにツヤツヤしたほっぺが、笑顔を浮かべるとともにぷっくりと膨らむ。定番スマイルすら影を潜めてしまった時期もあったとお聞きしていたから、お花はさりげなく渡そうと思っていた。

弔いのため、というよりはたまたま通りかかったらキレイなお花が目について、くらいなライトさで。

「なんでお花なんてくれるのー?」

驚きとともに屈託なく尋ねられると、差し上げたいと思った本当の理由を口にするのがより一層憚れる。もう1年以上も前のことだし、思い出させちゃったりもするのかしら?なんて余計な気遣いすらしてしまう。

わたしが拙い言葉を紡ぐより、今日はひまわりさんにすべてをゆだねてしまおうと最初から思っていた。励まそうとか、元気付けようとかしなくても。ただそうして咲いているその姿に、ひたすら人は癒される。「ありがとう」と、こちらの心中を察するかのように静かに返してくださった言葉が逆にありがたかった。


人をお花に例えてみる、というゲームをしていたときのこと。わたしは「ひまわり」と言われて驚いたことがある。一度なら気のせいとかかたまたま、で流せる。でも何回か同じことがあったので、ん?と首を捻ってしまった。

ひまわりといったら、ギラギラの夏の定番の花であり、否応がなしに目立つ花だ。言いたくないけど、特に秀でたものもないし(笑)人目を引くルックスでもなく(笑)率先して誰かを引っ張っていくタイプでもない(笑)。むしろ、はらっぱの隅っこで人知れず咲いているスミレだと自負していたもので。

自分が思っている自分と、他者が思っている自分との落差の随分と大きなことといったら!

自分はひとからどう見えているか、本当はどういうタイプかの議論は、ひとまずここでは置いておいて。自分という存在が、誰かや何かにそっと寄り添い励ますものであれるならそれで十分ではないかと思う。


つい何かをする、ことで欠けてるモノを埋めたくなるし、そうすることが正しいことだとずっと思っていた。

けれど、何もできない(と思っている)自分が、「何かをすることでOKになる」というストーリーは、いつまでたっても「ダメな自分」をどうにかして成長させようと必死になってしまう。

成長することが悪い、ということではない(むしろ成長は生命として当たり前の衝動だ)。今、ここに立っている自分にもちゃんとマルをつけてあげられてる?という自己認識の話なのだ。

自分への採点が辛口になりがちな人は、お花の佇まいを思い出してほしいって思う。お花に優劣なんてつけられないし、美しさを競い合って咲いてるわけじゃないことをわたしたちはちゃんと知っている。

同じ生命あるものとして生まれている時点で。こうして存在できている時点で。「ここにいていい」をゆるされているモノ同士として。美しく、心地よく「ただあれる」存在でもあるのだ、わたしたちは。

お花はわたしにとって、生命の本質を思い出させてくれる。だから、何かの折に贈ったり、自分への励ましとして愛でたくなるのだろう。「わたし」という存在を「ひまわり」とみなしてくれるのもうれしいけど、そもそもひとりひとりが知らず知らずに誰かを励まし、寄り添い、元気や笑顔を送っている存在なのだと思う。

どんな色で、どんな姿形であろうとも。すくすく明るい方を見ながら生きていきたい。今日も暑かった。夏よ、こんなにも夏らしい1日をありがとう。あなたもわたしも、「らしく」あろう。




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