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友納理緒議員(自民)質疑後半 2024年4月25日参議院法務委員会

前半の続きです。

友納議員
次に私、もともと看護師ですので、やっぱり医療現場における課題についてはお伺いしておかなければいけないと思いますので、ちょっとお伺いをさせていただきます。
医療現場でこの新しい制度が導入されることで混乱やそれによる萎縮が発生しないかという懸念です。
これまでも衆議院の質疑で多く挙げられていたかと思いますけれども、医療機関が共同親権であることを把握するタイミングですとか方法、あと説明をし同意を得る際に親権者双方との調整をするということは、すごく負担になってくると思いますので、すごく気になることが多くあります。
どの程度の急迫の事情ですとか、日常的な医療の範囲か、急迫の事情がどの程度のものかということですとか、日常的な医療の範囲って医療者によっても判断のズレというのがあると思いますので、その辺りもどう解していけばいいのかな、というところも気になるところでございます。
こういった医療機関側の懸念が少し影響したものとしては、おそらく令和4年11月16日に大津地裁で裁判例が一件ございまして、これは、面会禁止された父親に説明同意なく子どもの手術が行われたという事例で、裁判所はこれ不法行為を認めたというものになります。
これは個別の事情があると思いますけれども、やっぱりこういった事例がありますと、医療現場では単独行使できる場面かどうかの判断に慎重になっていきます。判断に窮する場面というのが出てくる、一定の混乱が生じることが想定されています。
この点、衆議院の厚生労働省のご答弁では、「今後法務省とよく相談しながら、医療現場等の実務の状況も踏まえて、医療機関に対し今般の制度改正の趣旨について適正かつ十分な周知広報に努めていく」ということでしたけれども、周知広報を具体的にもう少し進めていかないと、混乱が発生するのではないかというところで、親権の行使を受ける側、特に医療や教育などそれぞれの場において適切な処理がなされるように、個別にガイドラインなどの作成を行う必要があると考えています。
厚生労働省が主体となって、改正法の解釈を、例えば医療現場とか学校教育の現場に当てはめたものを具体的に示す必要があると考えますけれども、厚生労働省のご見解をお聞かせください。

厚生労働省大臣官房審議官
委員ご指摘のように、共同親権の導入後においても、医療現場で適切な医療の提供が行われるということは大変重要なことであると認識しております。
厚生労働省としては今後、医療機関の状況等を注視するとともに、法務省とよく相談しながら、ご指摘のガイドライン等の必要性についても検討してまいりたいと考えております。

友納議員
どうもありがとうございます。ぜひご検討いただいて、これも別の法律ですけど、例えば個人情報保護法とかもですね、やっぱり医療機関に当てはめたガイダンスとかQ&Aを見ると、こういうことなんだなということで理解して対応ができたりしますので、ぜひ法律を具体的に当てはめて、現場現場で判断ができるようなものというのを作成していただければ、というふうに思います。
あと、容易に想像できる状況としましては、医療機関でですね。離婚時は共同親権とされていたものの、例えば別居親が新たな家庭を築いてそこにお子さんができたりして、前の家庭に対する、言い方はあれですが関心がなくなってしまうとか、興味がなくなってしまうとかいうことはまあ、あるわけですね実際は、残念なことですけれども。
そういった時に、例えば医療機関が同意を得ようと連絡をしても、電話には出るものの関係ないから連絡をしないでくれとか、もう好きにしてくれ、というようなことを言われてしまう場合というのがあると思います。
こういった場合、どうしても確認を繰り返しますので、医療機関はすごく労力がかかって困ってしまうんですけれども、そこで改めて824条の2の「親権は父母が共同して行う」のこの共同して行うの意義ですけれども、親権の行使を妨げる明示の意思がなければ同意があると考えることができるのか、無関心のような事例も、黙示の同意と評価していいものなのか、そのあたりのご見解をお聞かせいただければ、と思います。

法務省民事局長
親権を共同して行うことには、例えば父母の一方が他方の親の同意を得て単独名義で親権の行使をする場合も含まれておりまして、この場合の他方の親の同意は黙示的なものもあり得ますが、このことは現行法の婚姻中の場合でも同様であると考えております。
どのような場合に黙示的な同意があったと評価されるかにつきましては、個別具体的な事案に即して判断されるべき事柄でございますが、医療機関としては、例えば父母を通じて他方の同意を得るように促すとともに、父母の一方が他方に対して連絡をしたにも拘わらず相当な期間内に何ら応答しない、または明示的に反対しない場合などでは黙示の同意があったと評価され得ると考えております。

友納議員
ありがとうございます。
なるべく同意があったということにきちんと無理やりではなくて、ある程度合理的に判断できる場合には判断していただかないと、審判になると。審判が増えてスピード感も必要になりますけど、今の裁判所の体制でどれくらい対応ができるのかという、いろいろな問題が発生してくるかと思いますので、そのあたりも適切に対応ができるように、これからの指針ですとか、いろんなものを示していただければ、と考えます。
次に、子の意見表明についてお伺いいたします。
改正法819条の7項は、共同か単独かを判断するにあたっては、子の利益のために父母と子との関係、父と母との関係、その他一切の事情を考慮しなければならないとされています。
先ほど、この点は森まさこ先生もお伺いになっていましたけれども、こども基本法3条3項4項に、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会が確保されること、その年齢及び発達の程度に応じてその意見が尊重されることが規定されています。
令和4年にアドボケイトに関する児童福祉法の改正もありました。
共同になるのか単独になるのかというのは、子どもにとって重大な事柄ですから、その子の知らないところでその子のことを勝手に決められてしまうということがないように、子の意見表明権を保障すべきだと考えています。
これはもちろん子どもに決めなさいと責めるものでもないですし、子の意向通りにこちらが決めなければいけないというわけではなくてですね、やっぱり、離婚に伴って不安な状況に置かれているお子さんの意見を真摯に聞く、説明をするということがとても重要だという趣旨でございます。
先ほどのご回答にも、その点については家事事件手続法おそらく65条だと思いますけど、その規定にもう既にあるということと、改正法817条の12の1項の父母が子の人格を尊重とあることに含まれているんだというご回答なんだと思うんですが、家事事件手続法は手続法ですから、子どもの意見を聞くと確認するということは単に手続の問題ではなくて、実態法上においても適切に規定をして適切に認めていく子どもの権利ではないかなというふうに考えるのですけれども、親権を判断するにあたって子どもの意向を考慮することを819条7項の考慮要素にその年齢及び発達の程度に応じた子の意向心情を明示すべきではないかと考えるんですが、この点についてどのようにお考えになるでしょうか。

法務省民事局長
委員ご指摘になった本改正案の民法第819条7項でございますが、家庭裁判所が離婚後の親権者の指定または変更の裁判をするにあたり、父母と子との関係その他一切の事情を考慮しなければならないこととしておりまして、これは子が意見を表明した場合にはその意見を適切な形で考慮することを含むものであります。
そしてこれも委員ご指摘になさったところですが、家事事件手続法におきましては、家庭裁判所は親権等に関する事件では家庭裁判所調査官の活用その他適切な方法により子の意思を把握するよう努め、子の年齢及び発達の程度に応じてその意思を考慮しなければならないこととされております。
加えて本改正案では、父母が子の人格を尊重すべきことを明確化することとしておりまして、ここに言う子の人格の尊重には、子の意見が適切な形で考慮され尊重されるべきであるという趣旨を含むものでございます。
そのため、協議上の離婚の際に父母が親権者の定めをする時にも、父母は子の意見を適切な形で考慮することを含め、子の人格を尊重しなければならないこととなります。このように、本改正案は委員の問題意識に沿うものとなっていると考えております。

友納議員
ありがとうございます。
問題意識には沿っているんですけど、もう少し踏み込んでいただければというお願いでしたので、今後検討していただければ大変ありがたいと思います。
あとは子ども手続き代理人の活用の促進をぜひしていただきたいということがございます。
将来的には、国費で対応しているものと、弁護士会で対応しているものがあるかと思いますけれども、やはりとても大切な制度ですから、ただ今は活用促進が一番だと思いますので、そういった手立てをしっかりとっていただければと思っています。
次に、裁判所の審理期間の短縮の必要性についてお伺いいたします。
改正法が施行された場合、親権の行使の合意ができない場合に審判がされていくことになりますけれども、こういった審判、他もですけれども、短期間で行われる必要があると思います。
ちょっと医療現場の方に話を聞いたら、審判というのは数日で降りるんだよねということを言われましていや、数日ではなかなか降りない。
そうすると、一般の方の認識と私の場合は法曹ですけれども、感覚と少し乖離があるのかな、というふうに感じています。
親権者を定める審判、親権変更の審判、面会交流の審判もございます。
子どもの意向を十分に確認し、家庭の状況を詳細に調査して丁寧に判断をする必要がございます。
ただ、現状においても増加する家事事件に裁判所が対応しきれていないという状況があるように感じます。
衆議院の議事録を拝見しますと、着実に家裁の体制の充実を進めてきたということですけれども、実際そういう面もあるかと思いますが、ただ私の感覚ですと、先ほども申し上げましたけれども、申し立ての日から最初の期日までに大体1ヶ月くらいかかって、その後の期日も1ヶ月くらい先になっていくわけですね。
先ほどの「数日で出るんでしょ、審判は」という一般の方の乖離というのはそういうところですごく大きくあると思うんですけれども、子どもの利益の確保のためにも早急な対応が必要になっていくと考えます。
まず、現状の家事審判、特に監護者指定の審判の平均審理期間を教えていただけますでしょうか。

最高裁判所事務総局家庭局長
令和5年の速報値でございますが、子の監護者の指定事件の調停・審判の手継ぎを通じた平均審理期間は約9.1ヶ月となっております。

友納議員
ありがとうございます。
9.1ヶ月と言いますと、やっぱりかなりの期間長いなという印象がありまして、今回の制度が始まっても親権を決める審判等にその期間がかかっていくというのは、あまりそぐわないのではないかなというふうに感じます。
この審理期間を短くするための対策として、どのようなことをお考えになっているでしょうか。

最高裁判所事務総局家庭局長
各地の家庭裁判所では、適正迅速な紛争の解決に向けて、期日の持ち方の工夫、評議等を通じた裁判官の効果的な関与、調停室の有効活用等を含む調停運営改善の取組を進めてきておりまして、最高裁としても、そうした取組は推ししてきているところでございます。
その上で、審理期間は期日回数と期日間隔との相関関係によりますが、最高裁におきましては先日、各家庭裁判所における調停運営改善の一層の取組を支援するために、家事調停の期日間隔の長期化の点に焦点を当て、その長期化要因の分析やあり得る対策を提示するなどの情報提供を行ったところでございます。
これを踏まえ、今後各庁において、それぞれの長期化要因に応じた事項的な対策を検討、実践していく取組がより一層進展していくものと考えておりまして、最高裁としても、そうした取組についても後押ししていきたいと考えているところでございます。

友納議員
ありがとうございます。裁判所としても様々な取組を行ってくださるということですので、ぜひ進めていただきたいというところと、あとは、今度申し立てる側もできれば、私たち代理人が申し立てるというよりも、ご本人ができるようにすればご本人のスケジュールで進めていくことができると思うんです。
私達代理人を、複雑な事例はぜひ利益のためにも入れていただきたいと思うんですけれども、やっぱり代理人の日程が入ることもありますので、ご本人ができるというのが一番いいのかなと思うんですが、ご本人が審判を申し立てるというのはやっぱり今、様々な審判がありますけれども、結構ハードルが高いなという印象がございますが、本人が申し立てしやすいようにどのような取組をされる予定がありますでしょうか。

最高裁判所事務総局家庭局長
本人申し立ての割合が相対的に多い家事事件におきまして、審理期間の問題にかかわらず、本人申立ての利便性を高めるということは重要であると考えておりまして、現在も子の監護者の指定や親権者変更等の家事事件手続については、裁判所のウェブサイトにおきまして、申し立て書の書式及び記載例、手続の内容に関する説明等を掲載しているところでございまして、裁判手続の利便性の向上の観点から、ウェブサイトにおける手続案内の内容については、これを更に充実させることも含めて、今後も検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

友納議員
ありがとうございます。今でも裁判所に昔よりは書式がたくさん載っていて、ご本人でも対応しやすくなってきたのかなと思いますので、ぜひその取り組みを進めていただければというように考えております。
次に附則19条についてとても大切だと思いますので、協議離婚制度が父母任せになっているところで、ちゃんと真意の確認がするというところでとても大切だと思いましたので質問させていただこうと思っていたのですけれど、次の先生方が質問してくださるようなので、一問飛ばさせていただきまして、共同親権制度の周知啓発について、最後大臣にお伺いをいたします。
本法律案が施行された場合、やはり国として共同親権の行使方法や法制度について周知徹底をして、先ほどの附則19条にも関係してくるかと思いますけれども、離婚する夫婦がちゃんと共同親権がどういうものかを理解した上で真意に基づいてそれを選択することができるようにということがとても重要だと考えています。
共同親権は、父母が子どものために建設的な意見交換をすることが大前提だと思っています。あと、どのような場合に裁判所への申し立てが必要なのか、どのような場合には日常の行為に係る親権行使と言えるのか周知研修が必要だと考えますけれども、この点について具体的にどのような対応をすることを予定されているでしょうか。

小泉法務大臣
あらゆる制度はそうでございますけれども、制度とそれを理解してくださる国民の受け止め方、受け入れ方、理解ですね。それで制度というのは成り立っている、と思いますし、なかなか今回の民法改正は家族法制に関わるものでもあり、非常に国民の理解というものが重要だと思います。
それはその仕組みを理解していただくだけではなくて、そこにある精神、子どもの利益のためにやるんだ、という考え方。そういう思い、そういったものも含めて国民に理解をしていただくことが非常に重要だ、と思います。
広報は3つポイントがあると思います。分かりやすさ。2番目に多様な媒体、そして最後に積極的に能動的にやる、プッシュ型でやる。
この3つを柱にして関係省庁とも連携しながらベストを尽くしたいと思います。

友納議員
ありがとうございます。ぜひベストを尽くして行って頂ければと思います。質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。


以上
誤字脱字がありましたらすみません。

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