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仁比聡平議員(共産) 2024年4月4日参議院法務委員会

仁比聡平議員(共産)が、参議院法務委員会で裁判員定員法改正に絡んで、共同親権についても質疑してくださったので書き起こしました。

仁比議員
日本共産党の仁比聡平でございます。
法案のポンチ絵を1枚目にお配りしましたけれども、今回の法案、31人裁判所職員の委員数を減少すると。これは、昨年夏の概算要求の時点ではプラスマイナス0でした。
これ、何がどうなったかと言いますと、最高裁の事務官を概算要求では51人プラスという要求をしていたのが、20人という今回の法案になってるっていうことなんですよね。そこで、まず最高裁に、昨年夏の最高裁事務官51人増員と、これには根拠があったんでしょう?

小野寺総務局長
令和6年度の概算要求につきましては、最高裁におきまして、裁判手続等のデジタル化の検討を準備、記録の管理の適切な運用の確保、裁判手続きに関する各手法制の検討への関与といった事務に対応するために、裁判所事務官51人の増員を要求したところでございます。
概算要求の時点においては、そのような人員が必要ではないかというふうに考えたというものでございます。

仁比議員
なんでそれを31人も減らせるんですか。最高裁には、独自に予算を確保していくっていう権限がある。ところが、その最高裁の概算要求を値引きするというのは、この政府の司法軽視も甚だしいと私は思います。これでは業務量に必要な配置ができず、結果、職員の過剰負担が生ずるのは自明ではないかと。
2枚目に、長期病休90日以上の書記官、家裁調査官、事務官の方々がどういうふうにいらっしゃるか、最高裁の資料をお配りしておりますけれども、つまり増えているんですね。90日以上の病休っていうのは、職場に増えているメンタルヘルスで苦しんでいる方々の中のごく一部、言わば氷山の一角なのであって、私はこれ深刻な実態だと思うんですよ。
この増えているっていうこと、その深刻さについて最高裁はどういう認識なんですか。

小野寺総務局長
委員から今ご指摘をいただきましたように、裁判裁判所職員の病休取得者数ということにつきましては、病気休暇取得者及び病気休職者の数が令和5年と令和4年を比較いたしますと一部増加しているというところでございます。
病気休暇及び病気休職の理由は、負傷や疾患など職員ごとに様々でありまして、業務外での病気等によるものも含まれているということもございますので、一概にこれら病気休暇取得者及び病気休職者の数が一部増加していることの原因を評価するというのはなかなか難しいというところでございます。いずれにしましても、裁判所といたしましては、これまでもすべての職員が心身ともに健康に職務に精励できるよう、職員の健康保持に取り組んできたところでございます。引き続き、そのような取り組みを継続してまいりたいと考えております。

仁比議員
微増加は難しいなんて言って済みますか。先ほども議論がありましたけども、客観的な労働時間の把握さえしてこなかった。
現に、どれだけの方々がいわゆるサービス残業、休日も、あるいは朝早く出てきてやってるかっていうこと自体把握しておられないでしょう。メンタルヘルスはこの病休者の数をはるかに超えて職場に広がってるにも拘わらず、それ評価の言葉、認識さえ語れない。それが今の最高裁の現実だと思うと、本当に悲しい思いがいたします。
実際に業務量に必要な配置ができないと、例えば最高裁でということになると、結局各地裁から定員を引き上げるということにせざるを得なくなる。本法案の予算では、下級裁はプラスマイナス0のはずです。ですが、現実には違います。
各高裁管内ごとに書記官・事務官の定員の増減について、数字をお示しいただけますか。

小野寺総務局長
各高裁管内ごとに順次お答えをいたします。
東京高裁管内は書記官の増減なし・事務官28の減、大阪高裁管内は書記官増減なし・事務官2の減、名古屋高等裁判所管内は書記官増減なし・事務官1の減、広島高等裁判所管内は書記官3の減・事務官1の減、 福岡高等裁判所管内は書記官10の減・事務官5の減、 仙台高等裁判所管内は書記官6の減・事務官3の減、札幌高等裁判所管内は書記官2の減・事務官3の減、高松高等裁判所管内は書記官・事務官ともに増減なしとなっております。

仁比議員
つまり、各地裁も、これまでも限界を超えてるのに、そこからさらに書記官事務官減らすんですよ。合計で書記官21人、事務官マイナス43人という定員減というのが現実なんですよ。
法務大臣、お尋ねしたいと思いますけれども、国家予算に占める2024年度の司法関係予算っていうのを考えてみると、総額112兆5717億円のうち、わずか3310億円で、とうとう0.3%割り込んで0.294%っていうのが我が国の司法関係予算です。定員を確保するためにも、この抜本引き上げを行うっていうことこそが法務大臣の職責なのではありませんか。

小泉法務大臣
裁判所の経費は独立して国の予算に計上するものとされておりまして、裁判所の予算の原案は、独立の機関たる最高裁判所が独自の判断に基づいて内閣に提出することになっております。 従って、法務省はこれに直接介入すべき立場にはございません。
ただし、裁判所の予算についても、最終的には予算案を作成するのは内閣の責務であり、第二に閣議の一員であり、裁判所の職務に最も近い関係にある法務を担当する法務大臣としては、裁判所と必要な情報共有を図るなどして 内閣としての意思決定の段階において裁判所の要求が正しく理解されるよう最大限努力してまいりましたし、これからもその努力を続けていきたいと思っております。

仁比議員
独自だとか自立的だとか言ってですね、結局そうやって努力すると言いながら、結果がこれじゃないですか。こんなことで本当に憲法に保障された国民の権利を個々の司法の現場で実現をしていく・守っていくってことができるんですか。
加えて、最高裁あれこれ、例えば共同親権の問題などについても適切に対処していくんだという趣旨のことをこれまで繰り返しおっしゃってきました。成年後見を導入した時だって、2011年に子の利益をと民法改正を行った時だっておっしゃってきたけども、現実に対応するのは裁判官だけではないでしょう。
もう1点聞いておきますけど、加えて、予算の定員と実際に配置されている定員で、それぞれ書記官、事務官、100人ぐらいの差があります。
定員通り実数で配置されてるわけじゃない。これは私は本当に活用していかなきゃいけないと思うんですが、最高裁、いかがですか。

小野寺総務局長
委員から今ご指摘をいただきました各高裁管内の裁判所に配置されていない部分につきましては、これは欠員としている、そういう形になっているものでございますが、これらの欠員部分につきましては、産前産後期間中の職員の代替職員の確保のために活用したり、あるいは事件数の急激な増加があった場合等の機動的な対応のために活用するなどしているものでございます。
こういった欠員につきましては、それぞれ全体の1パーセント程度ということになっており、各庁の事件処理等に支障を生じてるものではないというふうに考えております。

仁比議員
年度通してみれば、この定員法の定員がきちんとどこかに配置されて活用されなきゃいけないと私は思います。
資料の3枚目に、共同親権の問題での全司法労働組合の機関誌から引用させていただいた文書を紹介しています。
ちょっと紹介しますと、現在の家裁の現場での実態に照らしてですね、真ん中らへんですが、「離婚に際して葛藤が高まった父母の場合には、そもそも協力体制を築くことが難しく、相手方や子どもを支配したり、 あえて行動を妨害し攻撃するための手段として用いられる懸念が強くあります。」
飛ばしますが、「これまでは監護親が判断していた様々な事項について、協議ができないことを理由に、調停などの裁判所の手続きで決めるよう求められる可能性があります。双方の価値観の違いが裁判所に持ち込まれ、その間、実態としては紛争がずっと続いていくことになりかねません。」
最後のあたりですが、「施行当初からの事件像が考えられるとともに、いわば事件が事件を生むような事態も懸念されることから、 家庭裁判所の抜本的な人的、物的体制の整備が必要不可欠です。また、離婚をめぐる事件が今よりさらに複雑困難になることが想定され、とりわけ当事者対応は困難を極めることが予想されることから、現場の職員が困ることがないような運用のあり方を検討する必要があると考えます」と。
私、その通りだと思うんですが、最高裁はどんなご認識ですか。

小野寺総務局長
現時点においては、法案が今審議していただいているという段階でございます。裁判所として、確たる今後の状況についてご説明をすることはできないというふうに思っております。
いずれにしましても、今般の家族法の改正がされれば、裁判所に期待される役割というのがこれまで以上に大きくなるということについては、私どもも認識しているところでございます。

仁比議員
私は、現在の家裁の実態に基づく裁判所職員の皆さんの指摘してる懸念についての認識を聞いてるんですよ。これから先の話じゃない、施行されての話じゃない。
つまり、葛藤の高い父母の場合、協力体制を築くことは難しいし、事件が事件を生むような事態っていうのも、現にその実態からすると懸念されるでしょう。それから、当事者対応が 極めて困難になることが予想されると。
それはそうなんじゃないですか。裁判官が法の趣旨に基づいて適切に判断されていきますって言って済む話じゃないでしょ、と。裁判官だけで裁判やってるわけじゃないでしょ。子どもの最善の利益を本当に見極めていこうと思ったら専門家としての調査官、絶対必要でしょう。どうなんですか。

小野寺総務局長
新しい制度が導入されるというようなことになった時に、裁判官だけが何かをすれば足りるというものではないということは委員ご指摘の通りだと思っております。家庭裁判所調査官あるいは裁判所書記官等、各職種の裁判所職員それぞれが重要な役割を今後とも担っていくということは、私どももそのように認識しているところでございます。裁判官だけの体制整備を考えているというわけではございません。

仁比議員
だったら抜本増員なんですよ。
先だって、公明党の伊藤議員からの児童相談所の一時保護についての司法審査の質問がございました。家庭局長が、この施行1年後に向けてですね、こども家庭庁と連携しながら様々協力していくと、例えば申し立ての書類のありようとか、そういうご答弁されたけど、そうしたやり取りするのは裁判所職員でしょ。裁判官が直接やるわけじゃないじゃないですか。
それを裁判が適切に行えるというふうに言い張って増員も求めないと。あり得ないと私は思いますが、いかがですか。

小野寺総務局長
最高裁といたしましては、これまでも、適正かつ迅速な事件処理を安定的に行うために必要な人的、物的体制の整備及びこれに必要な予算の確保に努めてきたところでございます。各裁判所におきましても、家事事件を担当する裁判官あるいは書記官や調査官等、必要に応じた増員を行うことで、事件数増も見据えて、家事事件処理のために着実に家裁の体制を充実させてきたところでございます。
今後とも、事件動向等を踏まえて適切な体制の整備に努めてまいります。

仁比議員
それが足りないと、何倍も増やさなきゃいけないっていうのが国民の声だということを厳しく指摘して、質問を終わります。


この暖簾に腕押し感よ。。
以上、誤字脱字がありましたらすみません。

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