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仁比聡平議員(共産)2024年4月9日参議院法務委員会

本日行われました参・法務委員会で、仁比聡平議員が共同親権に関連して子ども代理人についての質疑をしました。
熊上先生がなさった面会交流についての大変重要な指摘も読み上げられています。

仁比議員
共産党の仁比聡平でございます。今日は、家庭裁判所の調停、審判に子ども自身がどう関われるかという問題についてお尋ねしたいと思います。
2011年の家事事件手続法で、この問題は大変重要なものと位置づけられたわけですが、まず民事局長にお尋ねしますが、どのような意義を持つ、どんな定めでしょうか。

法務省民事局長
家事事件におきましては、その結果により影響を受ける子の福祉への配慮が必要となります。
そこで、家事事件手続き法は、まず一般的に、未成年者である子がその結果により影響を受ける事件の手続きにおきましては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、子の年齢及び発達の程度に応じてその意思を考慮しなければならないとする規定を置いており、さらに、一定の場合については、必ず子の陳述を聴取しなければならないとしております。
そのうえで、子の監護に関する処分の審判事件、親権の喪失や停止の審判事件など、特に審判の結果により子が直接影響を受ける一定の事件につきましては、子の意思を可能な限り尊重する必要があるため、未成年の子であっても、法廷代理人を介さず、自ら当事者や利害関係人として手続きに参加することができることとしております。
また、このように子が自ら手続きに参加することができる場合であっても、未成年者である子の場合には現実に手続き行為をするには困難を伴うことも考えられますので、これを補うため、裁判長が弁護士を手続き代理人に選任することができるとの規定を置いております。

仁比議員
今ご答弁にあった、子ども自身が親ではなく弁護士を手続き代理人として選任するという、こういう手続きについて最高裁に資料をいただきました。
2枚目の方ですけれども、 未成年者、つまり子どもの手続き代理人が選任されたという件について、平成25年1月以降令和5年12月までの11年間のトータルで選任件数、うち裁判所の職権によって選任された数、それぞれどうなってるでしょうか。

最高裁事務総局家庭局長
各年ごとに申し上げますと、未成年者の手続き代理の選任件数ですが、各裁判所からの情報提供による実情調査の結果に基づく回数でございますが、平成25年1月から12月までが8件、うち職権によるものが4件、平成26年は…トータルですか、すいません。
トータルでいきますと、全体で340、平成25年1月から令和5年12月までのトータルが346件、うち職権によるものが226件でございます。

仁比議員
ありがとうございました。
子どもの意見表明権の実質的保証のために、この手続き代理人というのはとっても大事な仕組みだと思うんですけども、 実際に子どもの親権だったり面会交流を含む監護などの事件数の全体からすればごく一部、ほんの一部でしか選任には至ってないというのが私、現実なんではないかと思うんですね。大臣にちょっとお尋ねをしたいと思うんですけども、父母の離婚ををめぐって言うと、子どもは父母間の葛藤によって、自分の意思に反して人生が大きく変えられてしまう恐れがありますよね。面前DVという形で心理的虐待の被害者であることも少なくないわけです。この子どもの意思あるいは意向や心情というのを、この家庭裁判所の手続きの中でどういうふうに受け止めていくのかということについて、和光大学の熊上教授が面会交流の決定について次のような指摘をしています。私、重要だと思うんですが、ちょっとお聞きください。

「それは、自主的に行われる面会交流と子どもへの強制力を伴う裁判所決定による面会交流を区別することです。別居・離婚後も、子どもと別居親が子どものペースや意思を尊重し、連絡を取り合う自主的な面会交流ができれば、子どもにとって両親から関心を持たれ、愛されているという感情を抱くことができるでしょう。しかし、裁判所の決定による面会交流は、調停や審判には判決と同じ効力があり、履行しないと強制執行や間接執行が行われることもあり、子どもが行きたくない時や心身の不調の時でも、面会交流を履行しなければ、同居親に間接強制金の支払いなどが科されることがあります。
このように面会交流を裁判所命令によって強制される子どもについて、大人になってからかえって別居親との関係が疎遠になることや、 子ども時代や思春期に友人関係を諦めたり辛い思いをしたりすることがある」
と指摘をされた上で、
「ケースの解決は、子どもの意に反して強いることではなく、子どもの幸せのために、子どもの意思が尊重され、子どもの安心が保証されるように行われなければなりません。」

私はその通りだと思うんです。大臣、お聞きいただいて、ご感想いかがですか。

小泉法務大臣
裁判所が判断する際の色々な要素がありますが、子どもの意思というものも 大きな判断要素の1つである、それは間違いないと思います。そして、その子どもの声を尊重するために人格を尊重するという今回規定をしっかりと置いたわけでございまして、それは、人格の中に本人の考え方を含めて解釈をしていこうということをご答弁申し上げているわけです。
裁判所において、そういう法案、法律の趣旨を踏まえて、子どもの意思を何らかの形で汲み取り、それを総合判断の中で考えていく、そういうことが行われていくべきだろうというふうに思います。

仁比議員
共同親権をめぐる法案について、今日直接聞いているわけではないんですけども、判断要素の1つというおっしゃり方が、本当に子どもの意思を尊重し、子どもを主体として扱っていくということになっているのか、なるのかということが大問題だと思うんですね。
資料の1枚目の方は、子ども自身が虐待親の親権の停止あるいは喪失を求めて審判を申し立てるという場合の資料、数字です。
まず、最高裁、令和元年以降4年間のトータルで結構です、記載件数とその結果はどうなってるでしょうか。

最高裁事務総局家庭局長
子がその父また母に対する親権停止または親権喪失の審判を申し立てた件数、 平成31年ないし令和元年ないし令和4年までに終局した事件として、各裁判所から情報提供による実情調査の結果に基づく回数として申し上げますと、 まず、親権喪失事件、記載件数16件、うち任用が3件、却下が1件、取り下げが12件となっておりまして、親権停止事件につきましては、記載件数108件、うち任用48件、却下12件、取り下げ46件、その他2件となっております。

仁比議員
子ども自身が、親の親権を停止してほしい、あるいは喪失させてほしいということを自ら子どもが申し立てて、 124件のうち51件が任用されているということは、これとても重いことだと思うんですね。同時に、この現れている件数っていうのは、実際社会の中で親子関係において色んな問題がある中での氷山の一角なのではないかという思いもいたします。
子どもが自らの親子関係や家族の関係などについて裁判の申し立てをする、あるいは申し立てられている手続きについて、親とは別の自らの利益や権利や意思をしっかりと関与していく、その中で必要な法的な手続きを進めていくと。このことを保証するっていうのは、子どもの意見表明権を始めとした権利、福祉の実質性の保証の上でとても重要なことなのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

小泉法務大臣
今度の共同親権の話になってしまいますが、子どもの利益をまず考える、そして子どもの人格を尊重する。今までになかった規定が、子どもが主役になる、そういう考え方が法案の中にしっかりと織り込まれているわけです。
ですから、そこをしっかりと実施していくということ、法案が通った時にはそれをしっかりと実施する体制を考えていくということ、それは当然必要なことでありますし、また重要なことだと思います。

仁比議員
法案が子どもが主役になるっていうふうにきちんとなってるのかということについては、またいずれ議論をしていきたいと思うんですけども、 その子どもが主役のためにですね、弁護士を代理人として子ども自身が頼めるようにするということ、私とても重要だと思うんです。
民事局長にお尋ねをしますけれども、 子どもは一般的にお金がありません。無資力です。ですから、弁護士費用自らは負担ができません。
虐待親が典型ですけども、親子関係が対立関係にあるっていう場合に、親に費用を負担する、してもらうっていうことは期待もできません。
この費用を子ども本人に負担させずに代理人弁護士を選任できるようにすると、こういう方策を考えるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

法務省民事局長
裁判長によって子どもの手続き代理人が選任された場合には、子が裁判所の定める相当額の報酬を手続き代理人に支払わなければならないとされておりますが、 子に支払う能力がない場合には、子は手続き上の救助の制度によりまして手続き代理人に対する報酬の支払いの猶予を受けることができるとされております。また、委員ご指摘の通り、この費用については、家庭裁判所の判断により父母に対して負担させることもできます。
このように、現行の家事事件手続法におきましても、子の手続き代理人の選任に伴う子の負担を軽減するための仕組みが設けられているところでございます。
委員ご指摘のように、子どもの手続き代理人の報酬等を公費で負担するという考え方につきましては、私人間の紛争の処理のために要する費用を公費で賄うということについて国民の理解、納得を得られるかなどの問題があることから、慎重に検討する必要があるものと考えております。

仁比議員
これまでそうやって慎重に検討するっていうふうに言ってきたんですけど、先ほど大臣が子どもが主役になるっていうふうにおっしゃいましたよね。
そうした議論がされている時に、慎重に検討すると言ってて本当にいいのかと思うんですけれども。今日はこども家庭庁にもおいでいただいていまして、 児童福祉の現場でもですね、近年、子どもに代理人弁護士が選任されて、子ども代理人などと呼ばれることがあると思いますけども、児童相談所に同行していろんなやり取りをしたり、中にはケース会議に参加をしたり、 あるいは学費など、親に対して扶養をしっかりしなさいと求める交渉をしたり、 一時保護中などの学校の欠席が学校において不利益に取り扱われないように交渉を進めるといった取り組みが行われています。
こうした弁護士の代理人の活動っていうのは、現実には声を上げにくい被虐待児の意思を代弁するという積極的な意義を持っていると思いますが、いかがですか。

こども家庭庁長官官房審議官
今先生からご紹介があったようなケースについては、私どもも耳にしたりしているところでございますけども、全ての子どもが意見を表明する機会が確保されるということは極めて重要でございまして、ただご指摘あったように、なかなか声を上げにくい子どもが実際いると、そういうケースにおいて弁護士の方が子どもの代理になっているケースがあるということは承知してございまして、私どもとしても、本年3月に一時保護ガイドライン、これこども家庭庁の支援局長通知でお示ししてるものでございますが、このガイドラインを改正いたしまして、児童相談所や一時保護施設は、子どもの代理人弁護士の意見も勘案しつつ、子どもの権利擁護を図る観点から、子どもの最善の利益を考慮して必要な対応を行う旨をお示ししたところでございまして、引き続き子どもの権利擁護の推進に努めてまいりたいというふうに考えております。

仁比議員
ありがとうございました。大臣、最後1問だけ。
ところがですね、現行の民事法律扶助では、 今の児童相談所への行政手続き代理っていうのは、これ代理援助の対象になっていないんですよね。
あるいは、未成年子どもが自ら、法律扶助の利用契約を結ぶっていうことはできないと、のちに取り消される恐れがあるからということで民事法律扶助の対象にはならない、これは改めるべきじゃないかと思うんですよ。
子どもが弁護士の活動を必要とするニーズをちゃんと把握して検討すべきじゃないかと思いますが、いかがですか。

小泉法務大臣
今度の法改正に伴って、様々な支援措置についての必要性のご議論があります。先生の今のご指摘もその中の1つだと思います。
今回の法律を成立させていただく中で、今度はその後の作業として様々な支援措置の充実という議論は当然起こりうると思いますし、また我々もそれは視野に入れて検討していかなければならない、そのように思います。

仁比議員
今日は終わります。ありがとうございました。

以上
誤字脱字がありましたらすみません。


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