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石川大我議員(立憲)質疑 2024年5月16日参議院法務委員会

本日の石川大我議員の質疑を文字起こししました。

石川議員
一昨日の委員会でですね、DVや虐待から避難するために子どもを連れて別居した場合に、子どもに会わせない状況はDV加害者に対する精神的なDVに該当するのかという質問に、大臣から「DVから避難する場合のように子とともに転居することに相当の理由があり、またこれによって別居親の心身に有害な影響を及ぼしたとは認められない場合には、DVと評価されることはないものと考えております」というご答弁をいただきました。
これちょっと最後の部分引っかかるんですね。子とともに転居することに相当な理由がある場合でも、子との別居によって別居親、DVや虐待が疑われる親ですけれども、その心身に有害な影響を及ぼしたと認められる場合がある、ということの時には、これは認められないのかという問題があるというふうに思います。
分の加害行為によって生じた結果ですから、精神的なDVに該当してしまうというのは、ちょっとおかしなことになるかなと思うんですがその辺り、まずは大臣の認識を改めてお聞かせください。

小泉法務大臣
先日のご説明の時に、DVからの回避を含め、一般的な居所の急な移動みたいなことについてのご説明を申し上げる中で、別居親の心身に有害な影響を及ぼしたとは認められない場合というフレーズを継ぎましたが、DVからあるいは虐待からの避難が必要である場合については、もうストレートに単独親権の要件に急迫の事情がある要件に当てはまると思います。

石川議員
明確な答弁をいただきました。
相当な理由がある場合ということがあれば、これは加害側、この方たちの心身に有害な影響があったとしても、そういうことを主張されたとしても、それはその方に対する逃げた側からのDVではないということが明確になったと思っております。
2つ目の論点ですが、急迫制の概念です。
やはりこれ衆議院の議事録を見ても、参議院での審議を通じても、どこに基準があるのかというのが非常に曖昧だというか、そもそも基準自体がないのではないかというような思いも感じているところで、まだまだ議論を続けるべきだと思います。
パスポート、進学、就職、ワクチン接種、輸血手術、転校と、いろいろ子どもの利益にかなうのかかなわないのか、非常に難しい問題がたくさんあるなと思っているところです。
そこの中でパスポートの問題、我が会派の福山委員が質問しましたけれども、パスポートの取得というのは日常の行為なので共同親権なんだというふうに、両方の親の許可がないといけないんだ、というような答弁があったわけですけれども、離婚後、共同親権で一方の親がパスポートの申請をある意味いじわるをして認めない。これが何ヶ月も前でまだ時間的な余裕がある場合もありますけれども、今日明日中に申請をしなければ間に合わない。
逆に言えば、今日明日中に申請すれば、まだ修学旅行に間に合うと、1週間ぐらいでパスポートが出るようですから、そういったこともあると思います。
さしたる理由もなくて一方的に親が拒むと、別居親が拒むというような場合は、やはり修学旅行という成長に有益な行事、そして一生の思い出に残る行事だと思いますけれども、それを不容易に不必要に拒む、それはちょっとなかなか納得しがたいものがあると思います。
先日福山哲郎委員への答弁で外務省と協議するということでしたが、この協議の進捗状況はどうでしょうか。やはりこれは同居している親の決定で、それが尊重されるべきと思うんですが。

法務省民事局長
委員お尋ねの件につきまして、外務省との間ではこれまでも必要に応じて協議を行ってきたところでありますが、旅券法に基づく旅権の発給申請に必要な具体的な手続きにつきましては、第一次的には当該手続きを所管する関係省庁において検討されるべき事があることをご理解いただきたいと思います。
その上で、父母双方が親権者である場合における未成年者の旅権発給申請につきましては、現行法のもとにおいても親権者である両親のいずれか一方の法定代理人署名欄への署名をもって申請を受け付けているものと承知をしております。
旅券法に基づく旅券の発給申請は広報上の行為でありますため、本改正案によって今申し上げたような現行法上の取扱いを直ちに変更する必要があるものとは考えておりませんが、いずれにせよ本改正案を踏まえまして、外務省をはじめとする関係府省庁等と連携してまいりたいと考えております。

石川議員
結局今のご答弁で、状況変わってないわけです。
それが果たして本当に子の利益になるのかということを、やっぱりここでしっかりと考えて外務省さんもご理解をいただいて、この場合は修学旅行とかあるいは留学というようなことの場合は、やはり同居している親がこれを決定できるんだ、という方向にしっかりとこの場で確認をする、議論をしていくということが必要だというふうに思います。
現状で、これじゃあ、どうやって解決をするのかということですけれども、何か方策というのはあるでしょうか。

法務省民事局長
現行法の下におきましても、未成年者からパスポートの取得を求められていた親権者がその協力を拒んでいることなどを理由といたしまして、家庭裁判所の手続により親権者の職務の執行を停止された審判令もあるものと承知をしております。
このように、親権者による不当な拒否権等の行使がされた場合には、親権の停止等の審判申立によって対応することも可能な他、親権者の変更や本改正案において新設をされました特定事項の親権行使者の指定の審判等によって対応することも可能と考えられます。

石川議員
結局この件に関して、裁判所で決めなければいけないというのは確かに技術論的にはできるのかもしれませんけれども、実際シングルマザーでお子さん育てていて、また裁判をしてパスポートを出せ出せ、というようなことを裁判所通じてやらなきゃいけないというのは非常に大変だと思うんですね。
昨日いろいろお話を事前に聞きましたけれども、例えば中学生に上がった時に、もう修学旅行があらかじめ想定されているのであれば、中学校1年生の段階でパスポートを申請すると、そうすると5年間有効のパスポートですから、そうなると13歳から18歳まで、18歳を超えてしまえば自分の意思でパスポートを取れますから、その申請をするんだと。
それでもし、親が拒否した場合はそうした裁判手続き、審判申立てということをして、ある意味じっくり備えるということもできるんだというようなお話があったんですけれども、普通我々は、海外に行くとなれば、海外に行くちょっと前にパスポートを取って、そこから5年なり10年なり、というパスポートを取るわけですよね。
パスポートはそんな安いものでありませんから、そう考えた時に高校3年生の時の修学旅行を見越してあらかじめ何年も前から取っておくというと、そこでまたそのパスポートを更新しなければいけないというのと、またそこでお金がかかると、これはそもそも嫌がらせをされている側がこれだけの負担をしなければならないということに関して、大臣どう思われますでしょうか。やっぱりここを改善すべきじゃないでしょうか。

小泉法務大臣
裁判所の審判においてそもそも単独親権にするのか共同親権にするのか、その話し合い調整をする時に、これ一つのテーマだと思うんですよね。
その事態が起こってから話し合うのではなくて、まさにそういう時にしっかりと適切に対応してくれますよねと、両方の親ともども。
子どもの小学旅行、海外も含めてパスポートの取得、しっかり対応できますよねということも含めて、子どもの共同親権の共同行使に進めるかどうかの判断、そういったものを裁判所がすることが可能であり、もしそれが可能であれば、そういう方法を取ることも一つの防止策に私はなると思います。
いきなり決定されるわけではなくて、様々なシミュレーション話し合いの中でそういう時はちゃんと対応します、という確証が得られて初めて共同親権に進むものだというふうに考えますので、そのように考えます。

石川議員
パスポートの件だけでも、これだけ大臣がご説明をしなければならないという、他にも様々あるわけですから、やっぱり日常の問題に関してはしっかりどちらかが優先的に決められるんだというふうに、しっかりパスポートの問題はぜひ解決をしてから、ここですっきりしてから前に進まなければならないんじゃないかな、というふうに思っております。
そしてまた、福山委員の問題意識ですけれども、子どもの氏、苗字の問題です。15歳以下ですけれども、これについても離婚後共同親権となった場合、子どもの氏、現行法でしたらさして手間もかからず変更ができるということですけれども、本法案が施行されますと、基本的に父母とともに合意をしてお子さんの氏の変更の申し立てをしなければならないということで、裁判所にも確認をしておりますけれども、そうなった場合どれくらい時間を要するのか検討もつかない、というようなことでした。
もちろん双方が合意していればこれスムーズにいくわけですけれども、先ほどのパスポートの件ではありませんけれども、どちらかが絶対に認めないというふうになった場合、これどのような方法で弊害を防いでいくのか対処することができるのか、見解を伺います。

法務省民事局長
子が父または母と氏を異にする場合には、子は家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届けていることによってその父または母の氏を証することができます。
また、子が15歳未満であるときは、その法定代理人が当該公用することができますところ、父母の双方が親権者であるときは、父母の双方が法定代理人となり、父母が共同して行うこととなります。
この場合において、父母の意見が対立したときは、家庭裁判所が父母の一方を当該事項、氏の変更についての親権公使者と定めることができます。
委員からは、こうした親権公使者の指定のための裁判手続に時間を要すること等へのご懸念をお示しいただいたものと承知をいたしますが、本改正案では、裁判所の離婚の手続の中で、裁判所が当事者の申立てにより、離婚判決の附帯処分としてあらかじめこの氏の変更に関する親権公使者を定めることができることとしております。
こうした附帯処分の手続を活用することにより、ご指摘のような懸念を解消することができると考えておりまして、本改正案が成立した際には、この点を含め適切かつ十分な周知広報に努めたいと考えております。

石川議員
まだまだ疑問があるのですが、時間の関係で次にいきます。
大臣は、共同親権への合意がない高葛藤の父母について、「子どもの利益のために立ち止まってもらう場面、そういう過程、これはぜひ踏ませていただきたい」というふうにご答弁をされているのですが、しかしこれでは同居親、特にDV被害者への負担を増していくのではないかと思っています。ひいては、子どもの利益が侵害をされてしまうという懸念があると思います。
一方の親が、私は共同親権に反対ですと言っても、一旦立ち止まり、子どもの利益のために考え直してくださいということを言われると、高葛藤状態にもあるにもかかわらず単独親権を求めているのに考えなさい、考えなさいと言われると、これを長引かせるということで、ご本人ももう根負けしてしまうというような状況もあるんじゃないかと思いますし、果たしてそれを第三者がその決定を長引かせる必要があるのかと思います。
大臣、どのようにお考えになるのかお聞かせいただきたいと思います。
関係省庁連絡会議でも先頭に立って改善をする。そして、この法案が真に子の利益に資するものとなるまでは、やっぱり議論を続けていくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

小泉法務大臣
立ち止まって子どもの利益を考える場面をぜひ踏ませてください。そういうご説明をしました。
その大前提は、DVのおそれ、あるいは過去にDVがあったことによる将来に向かってのDVのおそれ、そういった問題意識を含んだDVの被害を受ける可能性がある方々は立ち止まるまでもなく、それは単独親権にしなければならないと、法文上・制度上、そういう仕組みになっています。そういう恐れがある方をまず守りましょう。まず守った上で、それ以外の理由で私は嫌だ、共同親権は嫌だ。様々な理由があるわけです、DV以外にも
そういう方々については、話し合う機会を、考え直す機会を、高葛藤を沈める機会を裁判所が入って、それは子どもの利益のためです。そのためにそういう仕組みを作りましょう。
そういうご提案を申し上げています。繰り返しになりますけど、大前提としてまずDVのおそれがある。DVが過去にあった。将来の可能性もある。
そういう方々はまず守られます。まず、その仕組みからは外れていって、単独親権という道をしっかり明記してあるわけでございます。そこをぜひご理解をいただきたい。

石川議員
まさにそのDVがきちんとしっかりと裁判所で判断できるのかという問題があると思うわけですけれども、次行きますけれども、最後に最高裁にお伺いをしたいと思います。
まさにDVであるのかないのか、そういったところを判断する非常に重要な立場になるというふうに思いますけれども裁判所がですね。
家庭裁判所が様々な案件を抱えパンク状態というような状態になっていると。今離婚後単独親権でさえパンク状態という中で、本法案を施行したら共同親権を求め、さらなる件数が増加をするというのは間違いないというふうに思います。
現在、家庭裁判所の調査官が一案件を調査し、報告書を提出するまでにどのくらいの時間がかかっているのでしょうか。長すぎても、ということもありますけれども、ただしっかりと調べていただいて、DVや虐待を見抜くということが必要だと思いますが、これどのくらいの時間がかかっているのでしょうか、データをお示しください。

最高裁事務総局家庭局長
離婚や面会交流、養育費等の事件における調査に要する時間や期間につきましては、統計を有しておらず、正確な数値をお示しすることは困難ですがその上で、調査期間は事案の性質や調査の内容に応じて長短がありますところ、およその間隔で申し上げると、裁判官から調査命令を受けてから調査報告書を提出するまでの期間は、多くの場合おおむね1、2ヶ月程度であるのではないかと思っております。
いずれの場合も、家庭裁判所調査官が調査を実施するにあたっては、調査命令の趣旨、すなわち何を明らかにするための調査かといった調査の目的を踏まえ、調査方法、調査内容、調査対象、調査報告書の提出期限を含む調査期間等について裁判官または調停委員会と十分に打ち合わせを行った上で調査計画を立てており、事案に応じて適切な調査期間が設定されているものと認識しております。

石川議員
大臣、時間がないので端的にお話をしたいと思いますけれども、今ご答弁があったように、どのぐらいの調査がされているのか、時間的な統計というのは取られていないということで、やっぱりここは客観的にどのぐらいの時間が取られていて、そして適切な判断が適切だというお話が出ましたけれども、出ているのかというのは必要だと思うんですね。
ですから、調査官が調査に要した時間とか当事者から聞き取りをどのぐらいしたのかということで、これ運用をぜひ変えていただいて、今後どのぐらい時間をかけているのか、それが適切なのかというのを客観的に分かるようにしていただきたいというふうに思っております。
そうした意味で、調査に要した時間、これをしっかり把握するように運用を変えるべきだというふうに提案をしたいと思うんですが、大臣いかがでしょうか。

小泉法務大臣
問題意識はよく承知しました。
これは最高裁の裁判所の所管でありますので、よく意思疎通をしながら、目的は一緒でありますから、どういうことができるか考えていきたいと思います。

石川議員
調査時間を測っていないということは、大体1ヶ月から2ヶ月程度で報告書が出てくるということなんですが、これなんかブラックボックスなわけで、いくら適切にやってますと言ってもじゃあ、その適切な内容をどのぐらい時間をかけて聞き取りしているんだとか、調査しているんだとか分からないというのは、大臣ちょっとこれは驚きというか分からないな、というふうに思うんですけど、大臣もそのように思いませんか。

小泉法務大臣
もう少し詳しく状況を裁判所からも聞かせていただいて、問題意識を共有していきたいと、先生も含めて問題意識は共有していきたいと思います。

石川議員
ぜひこの時間をしっかりと明らかにしていただきたいということをお願いして、時間になりましたので終わりたいと思います。
まだまだ議論をすべきだということを申し上げて終わりたいと思います。
ありがとうございました。

以上
誤字脱字がありましたらすみません。

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