見出し画像

牧山ひろえ議員(立憲)質疑 2024年4月25日参議院法務委員会

昨日の参議院法務委員会、牧山議員の文字起こしです。
重要なところばかりで前後半に分けることができませんでした。
長いので休み休みお読みいただければと存じます。

牧山議員
立憲民主・社民の牧山ひろえです。離婚後の家族法制を中心とした民法改正案の質疑を担当いたします。よろしくお願い致します。
離婚後の家族法制に関しましては、一人ひとりの子どもの幸福に非常に大きな影響を与えるものでありまして、法制審においても非常に激しい議論が行われてきたことはご承知のとおりでございます。
途中までは慎重に議論を進めてきた印象だったんですけれども、特にパブリックコメントを取りまとめた辺りから急に拙速に走るようになって、提出された改正原案も非常に穴が多く、生煮えの印象が強いものになっています。法制審での審理不尽は委員自身が認めていたことであり、衆議院において行われた質疑において、ある程度明らかにされています。ですが、質問に対し真摯な答弁を行うのではなく、正面から回答しないケースも多く見受けられました。
そのせいもありまして、改正原案が改正趣旨を維持したまま成立した場合、どのような家族関係、そして身分関係を築くことになるのか、国民に正確に伝わっているとは言えないと思うんですね。多くの方々がむしろ不安に思ったと思います。
参議院の審議においては、慎重に熟議を行って、衆議院での審議で明らかにされてこなかった点についてしっかりと明確にしてまいりたいと思いますので、ご協力いただきたいと思います。
政府・与党におかれましても、私が述べた趣旨にご理解をいただき、そして子どもたちの利益を守るための活発な質疑にご協力をお願いしたいと思います。
さて、衆議院におきまして附則が修正され、数多くの附帯決議も付されました。特に、法律の一部である附則の修正は、非常に重要な意味を持っています。そこでまず冒頭に、衆議院における附則の修正について、修正案の発議者にお伺いしたいと思います。
修正された附則第17条では、監護について必要な事項を定めることの重要性について述べてい ます。なぜこの修正が必要だったんでしょうか。また、啓発活動を行う際に、どのような点に特に留意して行うことを想定されていましたか。

修正案提出者 衆議院議員 米山議員
父母の離婚後においても、子の利益を最大限確保するためには、養育費、親子交流も含めた子の監護に関する事項を取り決めておくことが重要であると認識しておりますが、現状では取決めを行っている割合は低い値にとどまっております。
その背景には、離婚に当たって、子の監護について必要な事項を取り決めておくことの重要性や、監護について取り決めておいた場合、取り決めておかなかった場合のそれぞれにおいてどのような 状況が生じるかについて、いまだ父母の十分な理解と関心が得られていないことにあると考えております。 加えて、本改正により、父母の離婚後もその双方を親権者と定めることができることになりますが、各家庭の事情に応じて監護者や監護の分掌について定めることがますます重要になっていくことが想定されます。
以上のような理由から、離婚を考えている父母が子の監護についての必要な事項の取決めを行うため、その重要性や影響について父母がよく理解し、関心を深めることができるよう、政府に対し必要な啓発活動を行うことを義務付けることとし たものです。
なお、政府が啓発活動を行うに当たっては、離婚を考えている父母が子どもの目線に立って子の監護について必要な事項を取り決めることができるよう、親講座、親ガイダンス等の取組の充実も含め、様々な機会を捉え、適時適切に必要な周知・広報が行われることを期待しております。

牧山議員
共同親権の場合でも監護権者を定めなくてもいい法的構成となっていますので、離婚時にしっかりとした決め事をしておかないと、様々な問題が発生するということが想定されるということだと思います。
いっそのこと、共同親権の際には必ず監護者の指定を行う運用にすれば、離婚時の各種取決めの負担も減るのではないかなと思うんですが、この辺はいかがでしょうか。

修正案提出者 衆議院議員 米山議員
委員ご指摘のとおり、離婚後、父母の双方が親権者となる場合には、子の主たる監護親が円滑に親権を行使 できるよう、必ず父母の一方を監護者に指定する旨の定めをしなければならないこととするべきとい う意見があることは承知しておりますし、またそれも十分理解できることだと思います。
しかし ながらその一方で、離婚後の子の監護をめぐる状況は家庭ごとに様々であるということもまた事実であろうかと思います。
そこで、衆議院の修正においては、このご指摘の監護者の指定を含め、子の監護に関する事項についてはそれぞれの家庭の事情に応じて必要な取決めが行われるよう、子の監護についての取決めを行うことの重要性や、監護について取り決めておいた場合、取り決めておかなかった場合のそれぞれにおいて、どのような状況が生じるかについての広報啓発活動の実施を政府に対し義務付けることとしたものです。

牧山議員
ありがとうございます。
監護者が指定されていない場合、手当の給付など日常生活の混乱、そして不利益が生じることも 想定されます。
離婚に際して監護者を定めることが不可欠ではないでしょうか。
監護の分掌も同様ではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

小泉法務大臣
父母の離婚に直面する子どもの利益を確保するために、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが重要であります。
その父母の離婚後に子の身上監護をどのように分担するか、それは各ご家庭によって様々な事情 があり、それぞれ形が異なってくるというふうに考えられます。そのためご指摘のように、離婚後の父母の一方を監護者と定めるか監護の分掌を定めることを必須とすることは相当ではないと考えております。

牧山議員
監護権者を指定することが離婚の障害になるならば、現在、離婚の際に父母いずれかから親権者を指定することになっていることも離婚への障害となるのではないかなという、そういう考え方もあると思うんですね。
現状そうなっているようには思えないので、監護者を指定することだけがなぜ離婚の障害になるのかよく分からないです。
では、修正された附則18条では、急迫や日常の行為の趣旨及び内容についての国民の周知の必要性を規定しています。
なぜこの修正が必要だったんでしょうか。そして、この修正がどのような意味を持つのでしょうか。

修正案提出者 衆議院議員 米山議員
委員ご指摘のとお り、父母の双方が親権者である場合であっても、 親権の単独行使が認められる場合の要件である子の利益のための急迫の事情があるときや、また監護及び教育に関する日常の行為については、必ずしもその意義や具体的場面における適用が明確でないとの指摘がありました。
これらの意義や適用場面については、衆議院における審議において様々な具体例を挙げて質問され、答弁によってその解釈はかなりの程度明らかにされたと考えておりますが、なお法施行までに国民に対する周知が不可欠であると考えてこのような修正を行ったものです。
なお、これらの語句の意味や適用場面を明確にすることは、すなわち親権を単独で行使できる範囲が明らかになるとともに、社会全体でも共有されるということであり、親権者にとって有益であるのは当然として、親権者と取引を行う相手方の保護にも資するものであり、それらが全体となって共同親権が適切に運用されることにつながると考えております。

牧山議員
本来は法文に書き込まれて然るべき重要概念の趣旨、また内容が定められて いないために、それを補足する必要性からきているというわけですね。
新しい制度では、共同して親権行使が困難であると認められたときは、単独親権であるとして、典型的な事例としてDVの事例が挙げられています。いずれとするかについて家庭裁判所で争う場合、共同親権を求める現に監護をしていない別居親は、親権の共同行使が困難でないことを説明する必要があるのか、それとも困難であるとの相手方の証明を防げばいいのか、DVの事例で言いますと、共同親権を得るためにDVをしていないことの証明を要するのか、あるいは自分がDVをしている証明をさせなければいいのか、あるいは相手と比較して少しでも分がある裁判所の心証を取れば共同親権者になり得るのか、どちらでしょうか、法務省。

法務省民事局長
家事審判の手続における資料収集は、当事者のみに任されているわけではございませんで、家庭裁判所は、職権で事実の調査をし、かつ申立てにより、又は職権で必要と認める証拠調べをしなければならないこととされております。
改正後の民法第819条第7項の規定は、当事者の一方に各考慮要素、例えば委員ご指摘のような親権の共同行使が困難であるかどうかなどについての立証責任を負わせる趣旨のものではありません。
いずれにしましても、離婚後の親権者をどのように定めるかにつきましては、個別の事案における具体的な事情に即して、家庭裁判所において、子の利益の観点から最善の判断がされるものと考えております。

牧山議員
客観的な証拠に基づいた厳密な証明まで双方とも至らない場合、子の利益や虐待、DVのおそれという、曖昧というかファジーな基準に基づいて家裁が審判を下すということのように聞こえるんですけれども、共同か単独かという親権の判断において、双方とも証明に至らないときはどうするのかなと思うんですが、共同親権が原則的な取扱いを受けるわけではないということを確認したいんですけれども、いかがでしょうか、大臣。

法務省民事局長
本改正案におきましては、裁判上の離婚では、子の利益を害すると認められるときには必ず父母の一方を親権者と定めなければならないこととしております。子の利益を害すると認められるかどうかの判断は、父母と子との関係、父と母との関係、その他一切の事情を考慮して、裁判所において実質的、総合的にされるものでありまして、当事者の一方が立証責任を負うものではありませんので、御指摘のように証明に至らない場合の原則的な扱いが あるわけではございません。

牧山議員
先ほどのようなDV加害者には、親権を付与しないこととされています。
これが裁判基準である以上、家裁におけるDVの判定がとても重要になります。ですが、DVに関しては判断が非常に難しく、家裁で必ず適正な判断がなされるとは限らないことはご承知のとおりでございます。その上、裁判所に掛かる業務負荷もかなりのレベルになることが想定されています。
そこで、お伺いしますけれども、DVを証明するには婦人相談所で相談することで証明書が発行されるんですけれども、婦人相談所は、DV防止法に基づき配偶者暴力相談支援センターの役割を果たす公的な窓口の一つなんですね。この証明書を持っていれば、家裁におけるDVの認定の根拠となり得るということでよろしいでしょうか

小泉法務大臣
本改正案では、父母の一方が他の一方から身体に対する暴力、その他心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれがある場合には単独親権としなければならないと定めております。
この要件でありますけれども、裁判所において、個別の事件ごとにそれを基礎付ける方向の事実と、それを否定する方向の事実を総合的に勘案し判断されることになります。また、その判断においては、客観的な証拠の有無に限らず諸般の状況が考慮されることになると考えております。

牧山議員
私の質問は、今の配偶者暴力相談支援センター、これ公的な窓口なんですけど、これを、証明書を持っていれば家裁におけるDVの認定の根拠となり得るということでよろしいでしょうか。

法務省民事局長
裁判所において、どのような証拠でどのような事実を認定するかということにつきましては、裁判所の判断ということになりますが、裁判所におきま しては、個別の事案ごとに暴力等の有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれを基礎付ける事実と、それを否定する方向の事実とを総合的に考慮して最終的に判断するということになるものと考えております。
その判断におきましては、客観的な証拠の有無に限らず諸般の状況が考慮されることになってまいりますので、個別の事案にもよるのですが、委員ご指摘のような書類につきましても裁判所の事実認定において考慮され得るものと考えておりま す。

牧山議員
寄せられる全ての案件について、家裁がゼロからDVの認定をするとすると、家裁の負荷は非常に重いものになります。
DVに関しましては、数多くの行政部局や相談センターがございます。
そのような組織にはDVに関する情報ですとか、評価が積み重ねられておりますので、各種のDV関連組織とも連携の上で、それらの情報を有効に活用することも私は検討すべきではないかと考えますが、この提案についての法 務大臣のご所見をお願いします。

法務省民事局長
先ほど述べましたとおり、裁判所の判断におきましては、個々の事案において適切に対応されるべきであるというふうに認識をしております。
一般論といたしましては、家庭裁判所においては、当事者から提出された主張や証拠のほか、必要に応じて調査嘱託等の活用により、関係機関等から情報を収集するなどして適切に対応されているものと承知をしております。
法務省といたしましては、本法律案が成立した場合には、適切かつ十分な周知、広報に努めるとともに、関係府省庁等としっかり連携をして取り組んでまいりたいと考えております。

牧山議員
そうするとすみません、それらの情報を、このDV関連組織とも連携の上で情報を有効に活用することも検討するべきかと考えますが、いかがですか、大臣。

小泉法務大臣
ここでご指摘をいただいております当事者から提出をされた主張、証拠、必要に応じて調査委託などの活用により関係機関等から情報を収集するなど、こういった情報は、先ほど相談所の話もありましたけれども、基本的な事実をDVがあるという方向に裏付ける要素として大きな重要な要素として勘案されるものと考えております。

牧山議員
個人情報の保護に十二分に留意するのは当然です。ですが、DVの被害者は、転居や退去を繰り返すうちにDVの記録や証拠を失ってしまって、DVの証明に苦労するケースも多く見受けられます。そのようなケースに対する支援にもなり得ると思います。
さて、共同親権は先ほど述べましたように、一方が決めたことに対して他方が拒否権を発動できるということを意味します。また、親権に関する家裁での審判について、判断の根拠として厳密な証明を求めない以上、仮に誤判でなくとも、ある一定割合は家庭裁判所というハードルをくぐり抜けてDV加害者に共同親権が付与されることになります
ハードルをくぐり抜けてDV・虐待加害者が共同親権者となった場合、離婚後共同親権がこの方に拒否権、介入権、支配権を与えることにならないかなと思うんです。
リーガルハラスメントという行為に対して、親権という強力な武器を与えてしまうおそれはないでしょうか、大臣。

小泉法務大臣
本改正案では、父母の間の人格尊重義務、また協力義務の規定が新設をされます。親権は子の利益のために行使をしなければならないということも明確に規定をされます。
したがって、離婚後の父母双方が親権者となっ た場合においても、その別居の親が急に態度を変えて介入するというようなこと、不当な干渉、そういったものを許容するものではありません。もしそういうことがあれば、それは人格尊重義務、協力義務に違反をすることになります。
親権者の変更という申立てをすることもできるわけでございまして、予防措置はしっかりと組み込まれていると思います。

牧山議員
我が党の石川議員への答弁で、小泉法務大臣は、父母相互の人格尊重義務を新たに定めたことについて、別居の親権者に同居親への不当な拒否権や介入権、支配権を与えるものではないと説明されておられました。
共同での子育ての不当な拒否とは、では、どのような理由による拒否のことを指すのでしょうか、大臣。

小泉法務大臣
今月19日の参議院本会議において、本改正案は、別居の親権者に同居親による養育への不当な拒否権や介入権等を与えるものではないという趣旨の答弁を行いました。
この答弁は、本改正案では、子への虐待のおそれがある場合や、DV等のおそれがあり、共同して親権を行うことが困難であると認められる事案において、裁判所で父母の双方が親権者とされることはないこと、また父母相互の人格尊重義務等が定められるとともに親権の行使、これは子の利益のために行使されるべきことが定められてい ることから、本改正案が不当な親権の行使を許容するものではないという趣旨を述べたものでございます。
この答弁で、不当な拒否とは、父母相互の人格尊重義務に違反する行為や子の利益を害するような親権行使を念頭に置いております。

牧山議員
不当との要素が客観的に判定できるものでもなく、動機などの主観面に存在する場合、すなわち例えば、同居親の教育方針に反対する別居親の本当の動機が、同居親に対する嫌がらせや妨害であったとしても、子どものためだというふうに言って理論武装するのは簡単だと思 うんですね。
そのような場合に、家裁が人の心の中まで踏み入って、不当かどうかという判定できるとは到底思えないと思うんですね。この点につ いても気を付けていただければと思います。
さて、法務省の答弁では、離婚後共同親権はDV・虐待ケースについては除外と当然のことのよ うに言われますけれども、果たして除外を正確に 実行できるかが課題となります。DV、虐待ケー スに当たるかの判断がまず問題となり、幾つかの基準を擦り抜けてDV・虐待ケースに共同親権が適用されることが強く危惧されております。
二つ質問があるんですけど、DV・虐待ケースを除外する方法を具体的にお示しいただきたいのと、DV・虐待加害者が共同親権者となることを排除できると当局は保証できるのでしょうか

小泉法務大臣
協議離婚の際に、仮にDVなどを背景とする不適正な合意によって親権者の定めがなされた場合には、子にとって不利益となるおそれがあるため、それを是正する必要があります。そこで本改正案では、家庭裁判所の手続による親権者の変更を可能とするとともに、その際に家庭裁判所が父母の協議の経過、その他の事情を考慮すべきことを明確化することとしております。
また本改正案では、裁判離婚の際にも、裁判所が必ず父母の一方を親権者と定めなければならない場合の例として、虐待等のおそれがあると認められるとき、DV被害を受けるおそれ等の事情を考慮して父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるときを挙げております。
したがって、DV被害を受けるおそれ等がある場合には、父母双方が親権者と定められることはないと考えております。
これまでも実務上、裁判手続等においては、DV等が資料等に基づき適切に認定、判断されてきているものと認識しており、本改正案についても、裁判所において研修等を通じて運用のあり方を検討されるものと承知をしております。
親権者の指定等に当たっては、子の利益が害されることのないよう、本改正案の趣旨・内容が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知広報に努めるとともに、本改正案を円滑に施行し、子の利益を確保するための環境整備について、裁判所の取組への協力を含め、関係府省庁としっかりと連携してまいりたいと思います。

牧山議員
除外という言葉に戻りますけれども、行政文書に除外というふうに書けば、そのままそれが実現するというふうに思わないんですね。
人間は不完全な存在なので、裁判官といえども間違えますし、またDVや虐待の加害者も一定数は除外しきれずに共同親権に擦り抜けてくると思うんです。
それを前提にして、擦り抜けを少しでも減らす工夫と努力を、また擦り抜けてきた加害者による被害をフォローすることに全力を尽くしていただきたいなと思います。
特に問題となりますのが、協議離婚で真意に反して共同離婚に同意せざるを得なかったケースです。DVや虐待のケースですと、その弊害は著しいものとなります。特に、日本では離婚の9割が協議離婚です。弱い者が対等ではない不本意な合意を飲まざるを得ない日本の特徴を背景として、 例えば、絶対に嫌だと思っている共同親権での離婚に仕方がなく合意してしまうこと、こういったことだって多々想定できると思うんですね。
また、共同親権にしなかったら別れないと言っ たり、また養育費を払わないとか、そういった無理な条件を出してきて、まあバーターというか、 何らかの強制が生じるということも起こり得ると思うんです。 なので、このような真意ではない合意によって、共同親権となったケースの救済策はどのような手段が考えられるか、ご答弁いただければと思います、大臣。

小泉法務大臣
子の利益を確保するためには、真意によらない不適正な合意、これを防ぐ必要があります。
本改正案では、親権者変更の際に、裁判所は協議の経過を考慮することとされ、不適正な合意がされた場合には事後的に是正をすることとしております。
加えて衆議院では、その附則において、施行日までに父母が協議上の離婚をする場合における親権者の定めが父母双方の真意に出たものであることを確認するための措置について検討を加え、必要な措置を講ずるものとする検討条項が改正により追加されました。法務省としては、この附則の条項の趣旨を踏まえ、適切に対応してまいりた いと思います。
具体的な措置については、衆議院法務委員会における法案審議では、例えば、離婚届出書の書式 を見直し、離婚後も共同で親権を行使することの 意味を理解したか等を確認する欄を追加すること などが考えられるとの指摘もございましたが、この点も含め、いずれにしても、施行日までに附則の趣旨を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。

牧山議員
ぜひお願いしたいと思います。
このようなケースでは、救済策が親権者変更の申立てぐらいしかないのかなって今までの答弁聞いていると思うんですけれども、ぜひご検討いただきたいと思います。
このような真意ではない共同親権の合意によるケースでも、必ずしも家裁の判断で非真意側の親に単独親権が付与されるとは限らないのではないでしょうか。なぜならば、真意でなければ共同親権の合意がないことになって、家裁による子どもの利益を基準とした判断が行われることになるはずです。
その際に、共同親権を望んだ側に悪質性が認められない可能性もかなりあるんではないで しょうか。大臣、いかがでしょうか。

法務省民事局長
先ほど大臣からもご答弁ありましたとおり、本改正案民法第819条の8項におきましては、裁判所が親権者変更の判断をするに当たって、協議の経過等を考慮することとしております。
裁判所が協議の経過等を考慮した結果、協議離婚の際に親権者を定めた合意が真意でないと判断した場合には、改めて子の利益の観点から親権者を定め ることになるのでありまして、当然に父母のいずれかを親権者と定めなければならないことになるわけではございません。

牧山議員
親権が取れるかどうか分からない事後的な対応策では、救済策として不十分だと思うんですね。極めて不安定な状況となりまして、子どもの利益にもならないと思うんです。やはり、入口から真意ではない共同親権の合意の成立を抑止するべきであり、具体的には共同親権を選択した場合の真意の確認を、他の国でもやっている ように、ちゃんと裁判所で協議離婚の際にも組み 込む必要があると思いますが、大臣、いかがでし ょうか。

法務省民事局長
これも先ほど大臣からご答弁ありましたとおり、ご指摘の点に関しましては、本改正案について衆議院における審議の結果といたしまして、附則に「政府は、施行日までに、父母が協議上の離婚をする場合における新民法第819条第1項の規定による親権者の定めが父母の双方の真意に出たものであることを確認するための措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。」との条項が設けられたところでございます。
本改正案が成立した際には、この附帯決議の趣旨を十分に踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

牧山議員
大臣、いかがでしょうか。

小泉法務大臣
この衆議院の審議の結果としての附則、これは全会一致で我々がまた、 いや、我々じゃないです、委員会で決めていただいたものであります。
先生がご指摘されるこの真の合意があるのか、真意に基づいた合意なのか、これが大きな意味を持っている、重要な意味を持っている、非常にまた切実な意味を持っているということは、この国会、衆議院の審議において共有されています。政府も含めて共有されております。
したがって、この趣旨をしっかりと踏まえて、具体的な方策を創出するべく最大限の努力を速やかに進めたいと思います。

牧山議員
ぜひお願い申し上げます。 時間となりましたので終わります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?