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古庄玄知議員(自民)質疑 2024年5月14日参議院法務委員会

昨日の古庄議員の質疑を文字起こししました。

古庄議員
こんにちは、自民党の古庄です。前回に続きまして質問させていただきたいと思います。
今回は共同親権、離婚後合意がない場合にも裁判所の判断で共同親権を認めるというか、認定するというか、そういう場合があるというのが大きな問題となっておりますが、まず局長の方にお伺いしたいんですけれども、共同親権にするかせんかというところで子どもの奪い合いというのが大きくクローズアップされておりますけれども、共同親権にすれば子どもの奪い合いというんですかね、子どもを連れて今住んでいるところから外に飛び出すというふうな事案というのは減るんでしょうか、それともわからんという答えになるんでしょうか。
その辺は局長のお答えをいただきたいと思います。

法務省民事局長
いわゆる離婚後単独親権制度を採用している現行民法下におきましては、親権争いを自己に有利に進めるという目的で子を連れ去っているのではないかとの指摘がされているものと認識をしております。
本改正案は、父母の離婚後もその双方を親権者とすることができることとしたほか、この子に関する権利の行使に関し、父母が互いに人格を尊重し、協力しなければならないことを明確化しており、ご指摘の問題の改善に資するものであると考えております。

古庄議員
すみません、わかりやすく言ってもらえませんか。ちょっと抽象的でよくわからなかった。資するというのはどういう意味?減るという意味ですか?

法務省民事局長
委員ご指摘の、子どもの奪い合いという中身にもよるのかと思いますが、現行民法下では離婚後は単独親権ということになりますので、その親権争いを自己に有利に進めるという目的で子を連れ去っているのではないかという指摘があるというふうな認識をしております。
本改正案でございますが、離婚後もその双方を親権者とすることができるということにしておりますので、その親権争いを有利に進めるという目的で子を奪い合う連れ去るというようなことについては、一定の効果が見込めるのではないかと考えておるということでございます。

古庄議員
そうすると法務省とすれば、この共同親権を導入することによって、子どもを連れて出ていくということは減ってくるだろうという推測だと、そういうふうに推測していると、そういうふうな理解でよろしいですね。

法務省民事局長
委員ご指摘のような子の連れ去りと言われる事案につきましては、いろいろな事情があるとは思いますが、本改正案ということで考えますと、父母の双方を親権者とすることができるという仕組みになっておりますので、その親権争いを有利に進めるという目的での子の奪い合いという事案には、一定の効果があるのではないかと考えております

古庄議員
今のが法務省の考え方ということを理解いたしましたが、今度は親子交流についてお伺いしたいと思います。
実は私が取り扱った案件で、母親が単独親権を持っていて、6歳、5歳くらいかな、小さい男の子の母親が親権者だったんですけれども、その父親に会わせないという案件がありまして、うちの事務所に来て、母親が「なんとかちゃんあんたパパに会いたくないね」って言ったら、子どもの方がパパに会いたくないという返事をするんで、じゃあ裁判所に子どもさんだけ連れて行って、パパとそのおじいちゃんおばあちゃんがいるその面会交流室というところに連れて行ったら、もう本当に子どもがそのパパに飛びついてですね、それを後ろからそのおじいちゃんおばあちゃんが見てて涙を流している、と、そういうシーンを私見たことがあります。
だからやはり、この親子交流、仮に親権があろうとなかろうと、親子の交流というのは、これは途切れさせてはいけないなというのが私の個人的な意見なんですけれども、共同親権を導入すれば親子交流というのは必ず実施されるのか、それも今と同じように人によって交流をさせないという、そういう場面もあるのか。この辺について法務省はどういうご見解でしょうか。

法務省民事局長
父母の離婚後の子と別居親との親子交流は、親権の行使として行われるものではなく、別居親の親権の有無と親子交流の頻度や方法とは別の問題として捉える必要がございます。
そのため、別居親が親権者であることのみを理由として親子交流が必ず実現されるとは限りません親子交流の頻度や方法につきましては、子の利益を最も優先して考慮して定めるべきであると考えております。

古庄議員
そうすると、共同親権にしたからといって親子交流が必ず実現されるという、そこまでは考えられないよと、こういうご見解だというふうに認識いたしました。
で、もう一個質問ですけれども、現実に離婚する場合は、仮に共同親権があろうと、どっちか片一方が子どもと一緒に生活して、どっちか片一方は子どもとは離れるという、そういう生活の仕方になるんですけれども、その共同親権にした場合、子どもと離れた、いわゆる別居親ですね、別居親が具体的に子どもをどういう形で養育することができるのか、ちょっとその辺を理解しにくいので、その辺どういうイメージを持ってるのか教えてください。

法務省民事局長
子と別居する親権者が子の養育にどのように関与するかにつきましては、そのご家庭の個別の事情により様々であると考えられますので、なかなか一概にお答えすることは困難ではございますが、離婚後の父母双方を親権者とすることによりまして、法的に安定したより望ましい状態で、子の利益の観点から父母双方が適切な形で子の養育の責任を果たすことができるようになるものと考えております。

古庄議員
すみません、あまりよく理解できなかったんですけれども、個別の事情に応じるということですね。ただ少なくとも離婚したんだから、その二人はあまり仲がいいわけじゃないと。まあむしろ仲が悪い。
そういう二人が別々のところに住んでいる、子どもは片一方だけにいるということなので、あまりイメージとして、もう片一方別居親の方が子どもをどういうふうに養育するか、というのは申し訳ないですけれども、ちょっと私イメージとして湧いてきません。
次の質問に行かせていただきます。共同親権にした場合に、養育料の不払いというのはなくなるんでしょうか。局長お願いします。

法務省民事局長
本改正案におきましては、親権の有無に関わらず、父母は子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならないこと等を明確化することとしております。
このように、別居親が親権を有することのみによって養育費の履行が確実に確保されるわけではなく、また別居親が親権を有しないからといってその支払い義務を免れるわけでもありません

古庄議員
そうすると共同親権にしたからといって、養育料の不払いがなくなるから、子どもにとってそれが経済的に利益になるというふうには言えない、というそういうご返答でしたね、今の返答は。どうぞ。

法務省民事局長
委員ご指摘のように、その親権の所在と養育費の支払い義務の有無というのは直接は関係がありませんので、共同親権にしたからといって養育費の不払いがなくなるというわけではございませんが、本改正におきましては、養育費の支払い確保あるいは履行確保のための方策を別にとっているという趣旨でございます。

古庄議員
よく理解しているのか誤解しているのかちょっとわからないんですけれども、自分に親権がないから養育料払う必要がない、とこういうふうな言い方をする方いらっしゃるんですけれども、これは正しいですか、それとも誤りですか。

法務省民事局長
あの先ほど申しましたように、親権の所在と養育費の支払い義務というのは直接関係がございませんので、委員ご指摘のような、親権がないから養育費を支払う必要はないということはない、ということは正しくないということでございます

古庄議員
もう一つ、同居親から子どもに会わせてもらえない。だから養育料を払わないんだと、こういう考えが一部にあるように聞いてますけれども、こういう考えは正しいですか、それとも正しくないですか。

法務省民事局長
親子交流が実施されていないことを理由にして、養育費の支払いを拒めるというわけではありませんので、委員ご指摘のような、同居親から子どもに会わせてもらえないから養育費を支払わないという考え方自体は正しくないと考えます。

古庄議員
今局長から、いろいろ面会交流とか養育料とか、そういう細かい点聞かせていただきましたけれども、今回のを法改正、これを実行することが子どもの利益に資するんだというお考えで今回の法改正を実行するんだということですけれども、大臣にお伺いしますけれども、今回の法改正が子どもの利益に資するというふうに考える具体的な根拠を教えていただけますでしょうか。

小泉法務大臣
あのまず親の責務を明確化しております。
あの子どもの人格の尊重あるいは扶養の義務、あるいは夫婦間の協力をするという親の義務。これ婚姻の有無に関わらず、親権の有無に関わらず、親の親たるゆえんによって立つ親の責務を明確に規定をさせていただいております。これ自体大きく子どもの利益に資するものだというふうに思います。
また、養育費の履行確保する観点からの改正、法定養育費あるいは先取り特権、こういったものも明確に規定することとなりました。また今ご議論がありました安全・安心な親子交流、これを促進する観点からの改正も織り込まれています。最後に親権に関する規定の見直しを行います。
これは離婚後、あくまで親子の安全が確保され、可能な限りにおいてということでございますが、離婚後の父母が適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことを可能とする、という点で子どもの利益の確保に繋がるものというふうに考えております。

古庄議員
今回の改正案はいろんなところで改正されていると思うんですけれども、確かに今までの法律に比べて子どもの利益に資する部分というのはかなりあると思います。
ただ、やっぱり一番争点になっているのは、合意がない場合にも裁判所の判断で共同親権にすると、その部分が一番問題になっているんじゃないかなと思うんですけれども、この今回の改正案全体じゃなくて、離婚した父母を双方に合意がなくても裁判所が共同親権を認めると、共同親権にすると、この点に関して限定して考えたときに、それは子どもの利益になっているんでしょうか。なっていると考えるのであればその根拠を示しください。

小泉法務大臣
合意ができない場合、しかし自動的に単独親権に行くということではなくて、この法案の仕組みは一度そこで、子どもの利益というものを中心において父母間で、あるいは裁判所も立ち会って、もう一回話し合っていただく、共同親権ということができないのか、その共同親権を行使するということが本当にできないのかということを、子どもの観点に立っていただいて父母が考えていただく。
そのときに、父母どちらかの合意がなければもう単独親権ですよ、というふうに決めてしまいますと、もう話し合いも何もそれは起こらないわけです。もうその答えがそこで出てしまう。しかし一応裁判所が裁量権を持っていて、そして最終的には裁判所が預かって決めますよ、というそのポジションにおいて、父母の葛藤を下げ子どもの立場にたることを促し、そこで話し合いをしてもらって、それでもなおかつ合意ができない、コミュニケーションもとれないということになれば、それは共同親権の共同行使が困難な場合でありますから、必ず単独親権にしなければならないという結論になっていくわけございます。
したがって、そのごく稀な、論理的にそういうケースがあり得るというごく稀なケースにおいて、最初は困難だったんだけども、話し合うことによってその嫌悪感は変わらないにしても、行動として共同親権の共同行使ありという道が見つかるならば、それは子どもの利益にとってプラスであるということでございます。

古庄議員
ありがとうございました。
では次局長の方にお伺いしたいんですけれども、本改正案が成立して、これが施行されたときに、家事事件は増えるでしょうか、それとも減るでしょうか。その理由についても合わせてお答えください。

法務省民事局長
今回成案におきましては、父母相互が親権者である場合の親権行使につきまして、父母の意見対立を調整するための裁判手続き等を新設することとしておりまして、家庭裁判所に申し立てられる事件数が増加する可能性はあると考えておりますが、現時点で事件数を具体的に予測することは困難でございます。

古庄議員
あのまあ事件数までは予測はできないと思うんですけれども、今回の法案が通れば家事事件が増える。家事事件が増えるということは要するに、別れた夫婦の間での争い事が家庭裁判所に持ち込まれると、そういうことをだろうと思います。それで今まで単独親権であれば離婚するときにどっちが親権者になるのかということ及び離婚するかしないかということを決めて一回だけ裁判やればよかったんですね。
母親が親権者になったということになれば、あとは母親が決めていくことができるという一回だけでよかったのが、今回はまず離婚を認めるかどうか、それから単独親権にするか共同親権にするか、おそらくこれは同じ手続きの中でやられるとは思うんですけれども、理論上は別の争いが発生していると。それと今度、もし共同親権というふうに裁判所が認定したら、その個別の論点について双方の意見承諾がいるので、双方の意見が対立したときにはその解決を目指してまた家庭裁判所に申し立てをすると。
個別の論点が3つあれば3つとも意見が対立すれば3回家庭裁判所に申し立てをしなければならないし、5つ対立があれば5回家庭裁判所に申し立てをしなければならないということで、確実に家事事件、紛争は増えていくだろうというふうに、現場でこういう争い事についてやっている人間は増えていくだろうというふうに認識しております。
争いが増える、それに必然的に子どもも待ち巻き込まれていくということになると、それはやはり子どもにとって非常に迷惑というか、子どもが非常に可哀想な立場になっていくのではないかなというふうに考えるところです。今のは私の見解でした。
次の質問にいかしていただきますけれども、改正民法の824条の2の3項では、特定の事項に関する親権の行使については協議が整わないときは家庭裁判所が決めるというふうにされています。
この特定の事項に関する親権の行使で、まず同居親だけが一人で親権行使できることなのか、やはり別居親の承諾も必要なのかで、実際にその当事者になったらわからないことがかなりあるんじゃないかなと思いますけれども、何か客観的な基準というのはあるんでしょうか。

法務省民事局長
父母の双方が親権者と定められた場合に、その親権行使に当たりましては、委員ご指摘のような他方の父母と相談をするかなどにつきまして、第一次的には親権者自身が子の利益のために判断すべきこととなってまいりますが、委員ご指摘の共同親権の親の間での争いのケースにつきましては、現行法での婚姻中の父母について生じ得るところでございまして、第一次的に親権者自身が判断すべきとということについては、現行民法のもとで父母双方が親権者である場合と異ならないものと考えております。
なお、先ほど委員ご指摘になりましたけれども、本改正案は現行民法の解釈を明確化する観点から、父母の双方が親権者と定められた場合でも、子の利益のため急迫の事情があるときや、監護及び教育に関する日常の行為をするときは親権を単独で行使することができることとしておりまして、この規定によって混乱が生じるとは考えていないところでございます。
いずれにしましても、本改正案が成立した際には、広く国民においてその趣旨や内容が正しく理解されるよう国会における法案審議の中で明らかになった解釈とも含めまして、関係府省庁等とも連携して適切かつ十分な周知に努めてまいりたいと考えております。

古庄議員
争いある場合は基本的に家庭裁判所の方に決めてもらうということだろうと思いますし、その争いがずっと一審二審三審というふうに続いていけば、その間争いがずっと続いていくということだろうと思います。
今まで衆議院とか参議院の本会議とかで聞いた範囲ですけれども、単独でできることは、子どもを急迫性のない病気治療のために入院させるとか、短期の留学をさせるとか、ワクチン接種をさせるとか、こういう場合が単独でできるけれども、再婚相手と養子縁組をするとか、名字を変更するとか、転校や転居をするとか、あるいは進路を決めるとか、あるいは子どもが連帯保証人になるとか、そういう場合は二人の承諾が必要ということになってきますので、一般の人はこれは私だけでできるんだろうか、別れた旦那の承諾までもらわなきゃならないんだろうかということで、非常に悩むケースが多いと思いますので、その辺ぜひ法務省の方で、こういう場合はいいんだよ、こういう場合は二人なんだよというふうに、法案が通った暁にはそういうような広報というか、それをきちんとやって一般国民が悩まないようにしていただければ、というふうに思っております。
そういう点について法務省の方で何かご検討されてますか。

たけうちみんじきょくちょう
委員ご指摘のような、子の要育の過程で親権を行使すべき場面には様々なものがありまして、日常の行為ですとか、急迫の事情があると認められる具体的な事例をなかなかこう網羅的に説明することには限界もあるところではございますが、委員ご指摘のように本改正案が成立した際には、その趣旨内容が正しく理解されるよう、関係府省庁等とも連携して適切かつ十分な周知・広報に努めてまいりたいと考えております。

古庄議員
今度もう単独で親権を行使できると思って単独で親権を行使したら、それを本当は共同親権じゃなければならなかったという場合に、それの取引の相手方というか第三者はその辺がよくわからないと思うんですけれども、その辺の第三者保護の必要性があるんじゃないかという点と、その取引の相手方はその離婚した両親のうち単独親権でいいのか、共同親権まで必要なのかという、そういうのを確認するにはどうすればいいのか。皆万が一違ってたら取引を取り消したりということに巻き込まれるので、なるべく取引はしない方がいいみたいに思って、委縮効果をもたらすんじゃないか。
その点については法務省の方はどういうふうにお考えでしょうか。

法務省民事局長
現行民法によれば、父母双方が親権者である場合は法定代理権の行使を含め親権は父母が共同して行うこととされており、本改正案はこのような枠組みを変更するものではありません。
そして本改正案では、民法第824条の2第1項及び第2項によりまして、親権の単独行使が許容される場合を規定しておりますが、この規定は現行民法の解釈を踏まえて親権の単独行使が許容される場合を明確化する趣旨のものでございます。
また父母双方が親権者である場合において、その一方が単独で親権を行うことができると誤信して親権を単独の名義で行使してしまうことは現行民法のもとでも生じる問題ではありますが、現行の民法のもとでも解釈によりまして取引の保護が図られ、他方の親権者からの取り消しができる場合が制限されておりまして、この点も本改正案によって変更が生ずるものではありません。
そのため本改正案は父母双方が親権者である場合において、未成年者と取引をしようとする第三者に対し、現行法のもとでの実務と異なる対応を必要とするものではないと考えております。
法務省としては、取引実務に混乱が生ずることがないように、関係府省庁等と連携して適切かつ十分な周知に努めたいと考えております。

古庄議員
次の質問に行かせていただきます。
前回もかなり聞いたと思うんですけれども、裁判所というところは時間がかかりすぎると。スピーディな解決が図られないと、こういうふうな国民の意見がかなり多いし、実際に私もそうじゃないかというふうに体験をずっとしておりますんですが。
この裁判、あるいは裁判所は時間がかかりすぎるというこの国民の声に対しては、どのように考えるのか。現在、これ探しに聞いた方がいいかわからないんですけれども、現在の家裁の体制で、的確にスピーディに共同親権者間の紛争を処理できるのであろうかという点につきまして、大臣の方にお尋ねしたいと思います。

小泉法務大臣
我々も法案をこの構成してくる過程において、最高裁とそうした点についての意思疎通、情報交換、認識の共有、これは図ってきております。
まあ、その上で申し上げますけれども、離婚訴訟を含む人事訴訟事件について、審理の長期化といった問題が指摘されております。これは我々も承知しております。
この裁判所における審理期間のあり方、これはまず裁判所において検討されるべき問題ではありますが、法務省としても本改正案が成立した際には、その施行までの間に裁判手続の利便性向上といった支援策等の環境整備について、最高裁判所を含む関係府省庁等ともしっかりと連携をして対応を図っていきたいと思います。

古庄議員
夫婦が別居するときで子どもさんが一人いらっしゃるときに、子どもを置いたまま自分一人で家を飛び出すということはあまり考えにくいと。
やはり母親の方が小さい子どもさんを置きっぱなしにして出るということは考えにくいので、いわゆる子連れ別居というのが大半であろうと思うんです。
で、この場合に相手方、旦那さんなら旦那さんの承諾がないのが一般的です。こういうふうな相手方の承諾なくして子どもを連れて別居に至った場合、その子どもを連れて外に出た母親というのは、何らかの不利益を被るのか、そして親権者を決するときにそれは不利益に考慮されるのか、それから子どもを連れずに一人だけで出ていくことは子どもの利益に合致するのか
ちょっと質問の数多いんですけども、局長の方にお願いしたいと思います。

法務省民事局長
委員お尋ねのような、夫婦の一方が相手方の承諾なく子を連れて別居するケースは、現行の法の下でも生じ得るところでございますが、本改正案では婚姻中を含め父母双方が親権者である場合は、子の居所の変更を含めて親権は夫婦が共同して行うとした上で、急迫の事情があるときは父母の一方が親権を単独で行うことができるとし、父母の意見対立を調整するための裁判手続きを新設することで親権行使のルールを整理しているところでございます。
また、本改正案では、子に関する権利の行使に関し、夫婦が互いに人格を尊重し協力しなければならないとしており、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、父母の一方が何ら理由なく、すなわち急迫の事情もないのに他方に無断で子の居所を変更するなどの行為は、個別の事情によってはこの規定の趣旨にも反すると評価され得ると考えております。
そしてこれもあくまで一般論としてお答えいたしますと、父母の一方が父母相互の人格尊重義務や協力義務等に違反した場合、親権者の指定変更の審判において、その違反の内容が考慮される可能性があると考えております。
他方で、別居の際に子どもを連れずに一人だけで出ていくことが子の利益となるのかという委員のおたずねにつきましては、個別具体的な事情によるため、一概にお答えすることは困難ではございますが、あくまで一般論としてお答えをいたしますと、DVや虐待の場合はもちろん、子の年齢が低いような場合において夫婦の一方がこれまで子の監護を行っており、他の一方がこれに関わっていなかったようなときは、監護を行っていた父母の一方が子を置いて別居することが子の利益を害することはあり得ると考えております。

古庄議員
そうすると、個別の案件で判断というか結果は違うんだけれども、子どもを連れて出て行ったことそのこと自体が、何らかの不利益を必ず不利益に斟酌されるというわけではないと。総合的に諸般の事情を考えて、場合によったらそれが子どもの利益に資する場合もあるし、場合によったらそれが子どもの利益に違反するという場合もあると、そういうお答えだと理解してよろしいですね。

法務省民事局長
まあ「子の連れ去り」と言われるような事案でも、いろいろなものがあるかと思います。
先ほど申し上げましたとおり、まあ急迫の事情がある場合は、DVからの避難あるいは虐待からの避難として単独行使をすることができますので、それが何か不利益に評価されることはないと思います。
先ほど申し上げましたような、何ら理由なく急迫の事情もないのに他方に無断で子の居所を変更するといういうような行為は、個別の事情によりましては、人格の尊重義務ですとか、協力義務にも反する可能性があるということでございます。

古庄議員
はい、ありがとうございます。
最後に大臣の方にお伺いしたいんですけれども、今回のこの改正案につきましては、様々な懸念やあるいは不安の声が寄せられております。
そういう中で大臣があえて本法案の成立を実現させたいというふうに考えている一番の根拠についてを教えてください。これが第一点。
第二点目として、特に不安を抱えているのは、DVなどを原因として子連れ離婚をしたという女性の方たちです。本法案が通ってもその女性の人たちを国として守るんだと、そういうふうな大臣の強い決意をお示しいただければ、そういう不安に思っている方々も安心だと、大臣が守ってくれる、あるいはその国が守ってくれるんだと、そういうふうに思える部分があろうかと思うんですけれども、それについて大臣の強い決意をぜひお示しください。

小泉法務大臣
まずこの法案の成立、施行が必要だと思う理由でありますが、離婚というのは父母の関係、その婚姻関係は壊れてしまうわけでありますけど、家族というのはもう一つ親子関係いうのがあって、縦糸・横糸で家族というのは紡ぎ出されているものだと思うんですね。その縦糸が切れてしまうと横糸も自然に切れる、そういうものではなくて、今回の考え方は、横糸が切れてもその中で縦糸が残る道はないのかということを探ろうとする、まあいろんなケースがありますけど、できるだけそれを包含してその仕組みを作ろうとするものであります。
つまり子どもの利益のために家族というものを守ろう。少し大げさですけど、そういう考え方に立脚しています。
ですからDVで苦しんでおられる、現に傷ついたそういう方々を守るというのも全くそれはもう根本中の根本命題でありまして、子どもを守ると同時に、DVで傷ついた方々、傷つく恐れがある方々は何をおいても守らなきゃいけないと私は思います。
それによって始めて縦糸、横糸が紡がれる。そういう家庭というものを家族というものを、我々はその先に描き出せる。そういう思いでいるところでございまして、ちょっと説明が抽象的になって恐縮でありますけども、その思いをあのご理解いただきたいと思います。
必ず守らなければならない。DVから。それはもう至上命題だと思っています。

古庄議員
大臣の力強いお言葉、本当にありがとうございました。
時間が参りましたので、これで終わらせていただきたいと思います。ありがとうございます。

以上
誤字脱字がありましたらすみません

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