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『茜色に焼かれる』完成報告会書き起こし

 4月27日、石井裕也監督の最新作、尾野真千子さんが主演を務める映画『茜色に焼かれる』の完成報告会が行われた。最初は試写会と舞台挨拶の予定だったのだが、緊急事態宣言発出に伴い、急遽無観客での「報告会」という形に変更された。それでも監督はじめ、尾野真千子さん、オダギリジョーさん、永瀬正敏さん、和田庵さん、片山友希さんが登場し、濃密なトークが繰り広げられていた。その模様がYouTubeでノーカット公開されたため、ここぞとばかりに書き起こしたのが以下の文章である。

司会)主人公の田中良子を演じました尾野真千子さんです。よろしくお願いします。
尾野)えー、えっと、田中良子を演じました尾野真千子です。完成してとても嬉しいです。今日はよろしくお願いします。
司会)ありがとうございます。続きまして、田中純平を演じました和田庵さんです。
和田)田中純平役を演じました和田庵です。本日はよろしくお願いいたします。
司会)初々しいご挨拶、どうもありがとうございます。続きまして、良子とケイを温かく見守る店長役を演じました、永瀬正敏さんです。
永瀬)永瀬です。本日はありがとうございます。大変な中集まっていただいて非常にありがたく思っています。本来ならお客さんの前で僕らは立つ予定でしたが、急遽こういう事態になりましたけど、皆さんに届けるまで頑張りたいと思いますんでよろしくお願いします。
司会)どうもありがとうございます。続きまして、良子の同僚、ケイ役を演じました、片山友希さんです。
片山)ケイ役を演じました片山友希です。今日はよろしくお願いします。
司会)お願いいたします。続きまして、交通事故で亡くなる夫の田中陽一役を演じました、オダギリジョーさんです。
オダギリ)えー、オダギリです。あの、永瀬さんもおっしゃいましたけど、あの、こういう思ってもみない場所の変更とかね、お客さんも無観客の状況で、何が起こるかわからないなあと感じる日々ですけど、そういう、コロナ、こういう社会に対して、石井監督が思っていることを詰め込んだ作品なのかなと思って、とにかく今この時代に受け取っていただきたい作品だと強く思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
司会)ありがとうございます。続きまして、石井裕也監督、ご挨拶をよろしくお願いいたします。
石井)石井です。本当に、こういう状況にもかかわらず皆さんお越しくださいまして、本当にありがとうございます。感謝してます。えー、よろしくお願いします。

司会)ありがとうございます。それではこれよりお話をうかがってまいります。まずは石井監督、撮影時期も去年の8月、テーマもコロナ下という状況でございました。今完成を迎えて、どのようなお気持ちでいらっしゃいますでしょうか。
石井)まあこういう大変な状況ではありますが、明らかに置き去りにされてる、ないがしろにされているのは人間個人の感情とか心情だと思っていて、映画監督としてはそこをどうしても描かなきゃいけないなと思ってこの映画を作ったわけなんですけど、僕も含めて、多分ほとんどの方がもう今心の中ボロボロで、マスクで隠されてはいますけど、内面からもうズタボロになってんじゃないかと思うんですよね。加えてこの世の中の凄まじい理不尽、状況なんかに対する強い怒りっていうものも抱いていると思いますし、そりゃ多分そうじゃない人なんていないんじゃないかと思うんですけど、そういう状況を、そういうリアルな状況を前提にして、今の時代にしか描けない愛とか希望とか、そういうものを映画にしたいと思いました。本当にこういう状況になってしまいまして、映画館も営業できないですし、そういう可能性が今後あるかもしれないですし、本当その不確かな状況ですけど、とにかく今日ご登壇いただいた皆さんと一緒に本当にいい映画を作れたという自負だけはありますので、なんていうんですかね、やっぱり特別な映画になりました。
司会)そんな社会を生きる女性の愛を鬼気迫る演技で演じた尾野さん、今作を、出演すると決めた、決め手は何だったんでしょう。
尾野)決め手は、台本を読んで、自分が伝えなきゃ、と思うことがたくさん詰まっていたからです。
司会)実際に演じられていて、現場ではどのような気持ちで演じていらっしゃいましたでしょうか。
尾野)結構、精神的に辛い時とか色々ありましたけど、でもそうやって自分の気持ちが変化しているのとかはすごく楽しい現場だなと思いました。
司会)そんな尾野さんの息子役を演じたのが和田庵さんです。今回はオーディションで見事純平役を射止めたわけなんですけれども、オーディションの時から撮影にかけて、どのような気持ちで臨みましたでしょうか。
和田)カナダ留学から帰国後、約2年ぶりのオーディションということもあって、すごく緊張していたんですけど、石井監督に初めてお会いした時、すごい気さくで話しやすい方だなというふうに思って、この役を選んでいただいた時に、初めて台本を見て、すごいセリフの本当に多い役で、自分自身、本当にプレッシャーだったり不安な気持ちもあったんですけど、それ以上に選んでいただいてすごい光栄だなという気持ちで本当にいろんな感情が混じってました。
司会)今舞台上で尾野さんが本当に温かい目で見守っていらっしゃいますけれども、こうした諸先輩方との現場というのはいかがでしたか。
和田)自分の中ですごい学ぶものも多かったですし、何にも代えられない経験になったなというふうに思います。
司会)監督にもお伺いしたいんですけれども、オーディション時、そして撮影時にきらりと光る部分というのはどのあたりでしょうか。
石井)こんにちは、和田庵です、っていう一言でもう決めました。
司会)ああ、オーディションの時の最初の挨拶で。
石井)はい。やっぱり独特のこの、今も聞いてて泣きそうになりましたけど、文字に起こしても多分伝わらないであろう誠実さ、それとあとは今はもうちょっと治っちゃいましたけど、いい変声期だったんですよね、当時ね。よかったよね、あの変声期。やっぱり一生に一回しかない時期だったんですよね。それを映画にできるなと思いました。
司会)そのあたりはね、ぜひ皆さんに作品をご覧になっていただきたいです。そして永瀬さん、ぶっきらぼうでありながら、尾野さん演じる良子、片山さん演じるケイを優しく見守る風俗店店長という役どころでした。永瀬さんが思う本作品の魅力というのは、一体どういったところでしょうか。
永瀬)そうですね、僕が言ってもあれかもしれないですけど今の世の中、理不尽なことがいっぱいある、そういうことも入ってるし、監督の思いもいっぱい詰まっている作品になったんではないかと思いますんで、僕もこの作品に参加させていただいて自慢できる作品になりましたんで、見ていただいた方も、見たことを自慢できる作品になったらいいなと思ってますね。見どころは、冒頭のジョーくんが出てくるシーンから、最後まで全部ですからね。
司会)ありがとうございます。そして片山さん、尾野さん演じる良子と、まあ正反対のキャラクターでいながらも、本作で驚くほどの魅力を発揮されていましたけれども、演じるに当たってどのような挑戦があったのかを教えてください。
片山)この役は私にできるんやろかっていう不安とか恐怖があったんですけど、その恐怖とか不安に負けないように挑みました。
司会)どのように現場ではそれは乗り越えていったんですか?例えば監督に相談されたりだとか、尾野さんに相談されたりだとか、何かありましたか。
片山)でも乗り越えられたな、という達成感はないです。
司会)監督はそのあたりは感じましたか?
石井)はい。
司会)何かお声がけなどあったんでしょうか。
石井)片山さんは本当に、なんていうんですかね、もう若手女優ナンバーワンと言っても過言ではないくらいの才能を持った方なんで、そこを信じて現場ではやるだけでしたね。
司会)そしてオダギリさん、オダギリさんは、数々の作品に出演されています。もちろん石井監督の作品も何作も出演されている、この中で、もうみなさんおっしゃっていますけれども、このコロナ下での撮影、そしてコロナ下での公開ということになりましたが、このあたりはどうとらえていらっしゃいますでしょうか。
オダギリ)いやー、本当に、僕はこの作品が確か去年の8月の末くらいに撮影してたんですけど、緊急事態宣言が明けて初めて僕が参加した作品であったので、ああ今現場ってこうなってるんだ、って思うことがたくさんあって、例えば本番ギリギリまでフェイスシールドをしておくとか、ごはんも一人で食べてください、しゃべらないで食べてくださいとか、本当になんか今までのシステムがすべてひっくり返ったような、え、こんな状態で映画作っていくんだ、みたいなのを初めて感じた現場だったんですけど、現場のスタッフの数も少なくなってましたし、で、そんな中でもやっぱり監督は日々戦いながらこの作品に挑まれていて、監督も先ほどおっしゃっていましたけど、このコロナ禍だからこそ描きたいことがちゃんと描けているし、今テレビとか映画とか見てても、マスクのない世界をできるだけ描こうとしてますよね。それはきっと現実の辛さを、まあ作品を見ている時くらい忘れようよ、忘れさせてよ、っていう、そういう思いなんだとは思うんですけど、一方現実ではこういうコロナの世界の中で我々は生きているわけで、そこにやっぱり、監督もおっしゃられたような理不尽な社会、状況が待っているわけで、その中で生きてる、一生懸命もがきながら生きている人たちの姿をこうやって作品にしないで、何を作品にするんだ、と僕も思うので、本当にすごく尊い作品だなと思いますね。
司会)非常に難しい撮影期間、そして公開ということになりました5月21日、その公開が非常に楽しみです。そして主演の尾野さん、尾野さんの鬼気迫る愛の演技についてもうかがってまいりたいんですけれども、間近でご覧になっていた、まず永瀬さんから、尾野さんの演技の印象をお伺いしてもよろしいでしょうか。
永瀬)鬼気迫っていましたね。でもまあ尾野さんは、監督とともに、なんですけど、何かこう、現場を温かくして、頑張りましょう、って言いながら進めていっているような雰囲気でしたね。お芝居の中では鬼気迫るお芝居なんですけど、それ以外は、この現場をなんとか守り続けようとしている感じをすごく、ご一緒していて感じました。監督とともに。
司会)片山さんも、共演シーンが非常に多かったんですけれども、尾野さんの演技はいかがでしたか。
片山)演技はいかがでしたかって私は全然言えないんですけど、でもやっぱりめちゃくちゃかっこよかった、というのは、近くで見てすごく思って。
司会)女性から見て感じるかっこよさというのは、どういったところなんでしょうか。
片山)(尾野さんを覗き込んで)女性から見て感じるかっこよさ?
司会)女性から見てもかっこよさを感じたわけですよね。演技に、ということでしょうか、それともお人柄でしょうか。
片山)演技もそうなんですけど、人柄がすごく、私は尾野さんの明るさにすごく救われたので、ご一緒できてよかった、って思いました。
司会)永瀬さんからは、こう優しく包むように、と、優しさという言葉がありましたけれども、尾野さんはどのようなことを感じながら現場に臨み、田中良子という役を演じましたでしょうか。
尾野)うーん、あんまりこう、主役ということを気にせず、楽しくやろうと思って。こんな時だから、ただ気をつけましょう、これに気をつけましょう、あれに気をつけましょう、いっぱい気をつけなくてはいけないことがある中で、だけど、そんなことしてても何にも面白くないやん、って思って、だったら遠くても、距離が遠くてもニコニコしてれば、楽しくやっていれば、きっといいものになると思うし、そんな、気をつけなくてはならない私たちのもどかしい気持ちが、少しでも晴れるんじゃないか、この現場に来たら楽しくやれるとか、いろんなことを思ってもらえるじゃないか、なんかそんなことも思いながら、あとはもう良子を伝えたいってずっと思ってやってました。
司会)田中良子という女性像に対してはどのようにとらえていらっしゃいますか。
尾野)いやー、ほんと大変。もう大変という一言しかないですけど、でも、こう、ちょっとずつこの作品を撮り進めて行くたんびに、良子の大変さが納得できてくるんですよね。きっと、台本だけ読むだけ、とか、あらすじだけ読むと、どうしてそんな仕事するの?とか、どうしてそんなことができるの、って思うかもしれないですけど、でも、母ってそうなんです。母ってこんなに一生懸命なんです、みたいな。なんか、だんだんこう、母になったことないですけど、母になった気分になってくるし、母の気持ちがなんか少しでもわかれたのかなって思ったりしました。
司会)その母の一生懸命さを和田さんは一身に受けるという役どころでしたけれども、現場での尾野さんとの共演というのはいかがでしたか。
和田)本当になんか、お会いする前は、本当に勝手なイメージなんですけど、怖い人だなという印象があって、初めてご挨拶した時にすごい緊張してたんですけど、実際はそんなことなくて、すごい優しくて、すごい明るくて、面白い人だなという風に思ってて、一緒に共演したシーンで、土手沿いを自転車で二人乗りして走るっていうシーンがあって、で、カットのたびにまた元の場所に戻るんですけど、戻る時とかも、二人乗りしたままで漕いで戻ってくださったりして、いやもう悪いんで降りますよって言っても、そのまま乗ってていいよ、みたいな感じで、すごい本当の親子のように接してくださって、そういう面でも久しぶりの現場ですごい緊張してたのに、すごい自然に演技ができた理由かなって思いますね。
司会)お二人は本当に共演シーンの多い親子役でしたけれども、オダギリさんは尾野さんの夫役ですが共演シーンが実はそんなにないという不思議な関係でもありますけれども。
オダギリ)ですね。今回は一緒のシーンはなかったんですけども、なんとなく、10年以上前から共演したりしてきて、まあ大袈裟に言うと、同期みたいな、なんて言うんですかね、同じ時代を歩んできた仲間のような気もするんですよね。そういううちの一人なのかな、っていう中で、今回の尾野真千子さんはもう、大変素晴らしかったですね。もう今までの尾野さんの作品は、もう全部見ましたけれど、その中でもこれが一番ですよね。まああんまり本人にはこういうことは言わなかったですけど、やっぱり書いてほしいので。ただあの、一つちょっと嘘を申し上げたのは、尾野さんの作品を全部見たっていうのは嘘です(一同爆笑)。ただこの作品は一番でしょう。ダントツでしょうね。見てて自分の母親とかのことをちらっと思ったりして。母親のことって全然知らないじゃないですか。母親の青春とかも聞いたことないし、母親の恋愛とか、なんかそういうことも全然聞いてこなかったなあと思って。ただこの作品の尾野さんの役を見てると、自分の母親も、ああやって一生懸命生きて、楽しくもあり苦しくもあり、人生を謳歌したのかなと思うと、少しなんか安心したりして、そういう気持ちを感じさせてくれたのもやっぱり尾野さんのおかげだと思うんですよね。あと尾野さんに最後に悪いことも言ってくれとさっき言われたので、一つちょっと申し上げますと、どうしても眉間にシワがよるクセがあるんですよ。で、眉毛がこうちょっと低めに流れる眉毛になっちゃうんですね。それがマスクしてるとより目立っちゃうんですけど、それが、そのクセがまあ一つ気になるところかなあ、とは思うんですけど、ただ、この作品においてはそれが戦う表情に見えるので、この作品に関してはアリかなあ、と、そう思ってます。
なので悪いところはないということですね。(一同笑)
司会)尾野さんいかがでしょう。同期のような存在というオダギリさんからの言葉、いかがですか。
尾野)いや、先輩やと思ってたんですけど。前にもお仕事させてもらったりとかして、近い存在にはやっぱり感じてしまうというか。でもなんかそういう、ちょっとしたね、眉間のシワとか、そんなんでもなんか嬉しいですね。
司会)その眉間のシワというのは、ご自身では意識されることってあるんですか。
尾野)ないです。なんだろ、言われたことはあるんですよ。あるんですけど、こうやって言ってくれる人っていないです。大概褒めるしかしないじゃないですか。ありがたいことに。でもそうやって、ねえ、言ってくれると、なんかね、いいのよ。なんだか。
司会)それはもう同期のような関係性ということですね。
尾野)もうちょっとね、後で聞くから。

司会)さあ、そして、本作はどんなことに対してでも何事もなかったかのように気丈に振る舞い、もがきながらも懸命に生きようとする母の生き様をとらえた、圧倒的な愛と希望の物語でございます。そこで皆様にご質問です。皆様にとって、どんな時でも絶対に手放さない、大切にしていることはなんでしょうか。お一人ずつ教えていただきたいと思います。もうこれは指名でいいですか。では、監督から行きましょうか。監督から順番にお伺いしてまいります。
石井)あれですよね、だから、手放しちゃう可能性もあるから愛おしいっていうかね、大事なわけであって、質問がちょっと難しいんですけど、きれいごとになっちゃうかもしんないですけど、映画作りはね、やっぱりもう、オダギリさんもちょっとおっしゃってましたけど、もう当たり前ではなくなってしまったので、今まで当たり前のように映画作ってましたけど、もうそうじゃないという状況の中で、本当に貴重なものだし、大切なものだと改めて思わされましたね、去年から今年にかけて。
司会)この状況だからこそ感じるものでありますし。
石井)そうですね、だからいい気づきにはなった、コロナで唯一良かった点なのかなと思います。
司会)はい。片山さんいかがでしょうか。
片山)そうですね、さっき前室でみんなにぬいぐるみですかね、と言ったらちょっとブーイングが来たんで、ぬいぐるみはやめて、日頃の小さい幸せっていうか、太陽に布団を干して気持ちいいなあ。
司会)太陽に布団。太陽が当たってということですか。
片山)布団を干した時に、太陽の匂いがいっぱいで、すごく幸せな気分になったりとかするじゃないですか。
司会)干したての布団で寝る時ですね。
片山)はい。そういう時とかの幸せだなあっていう気持ちはずっと、おばあちゃんになっても持っておきたいなあとは思います。
司会)些細なことでも幸せだなあと感じる気持ちを。
片山)はい。
司会)はい、ありがとうございます。さあ和田さん、絶対に手放したくない大切なもの、なんでしょうか。
和田)去年の誕生日に仲のいい先輩から頂いたものなんですけど、ワイヤレスイヤホン、ずっと大事に使ってます。
司会)本当に大切にしている物質というかね、物ですね、アイテムですね。
和田)はい。
司会)ちなみに、先輩というのは役者さんの先輩…。
和田)ああもう全然関係ない…。
司会)ああ、お友だちの大切な先輩から。大切にしていらっしゃると。
和田)はい。
司会)続いて尾野さん。絶対に手放したくない、大切にしているもの、教えてください。
尾野)難しいねえ。うーん、でもー、あのー、うーん、もうわかれへん。でもねえ、えっとねえ、そうやって考えると、いつもそんな思ってないですけど、やっぱり手放したら嫌なものって家族になりますよね。何かこう、いつかもしかしたら父母もいなくなってしまうかもしれないけど、でも死んでも何しても自分の父母なわけで、なんかその家族の今、今の幸せな気持ち、そして自分がもし今後結婚とかなんかしたりとかした時に、自分の家族ができた時、やっぱりその、自分の家族というものは、今後、今までも、仕事に関しては一番大事なものだったから、お芝居にも色々助けてもらった部分もあるから、やっぱりこれからも手放せないものですかね。
司会)はい、ありがとうございます。続いて永瀬さん、絶対に手放したくない大切なもの、教えてください。
永瀬)難しいっすよねえ。まあええと、映画とぬいぐるみとワイヤレスイヤホンと家族ですか。まあ物質的なものはいっぱいありますけど、うーん、思いですかね。信じるとか、そういうのを強引に引き剥がされる時が来たら嫌かもしれないですね。そりゃまあ映画を信じていますし、人との出会いを信じてますし。そういう思考というか、信じるっていう思いを誰かに、何かに引き剥がされると嫌なので、まあそうですかね。あとはまあ、猫ですかね、自宅の。
オダギリ)いやあこれ順番が悪いなあと思って。しかも猫って。もうなんか答えることがないかなあと思うんですけど。いやあきついなあ、どうしよう。手放したくない…今手放したくないもの、かっこいいことになっちゃうんですけど、このマイクですかね。
司会)しゃべり続ける、と。
オダギリ)まあそうですね、このマイクを離したらちょっと死んじゃうんじゃないかなと思います。
司会)ありがとうございます。たくさんお話もしていただいて、本当にありがとうございました。いよいよですね、5月21日金曜日、全国の映画館にて公開となります。まさに今見るべき作品でございます。最後にですね、監督と尾野さんからメッセージをいただきたいと思います。まずは監督から、お願いいたします。
石井)さっきちょっと、映画づくりがもはや当たり前じゃなくなってきてるというお話をさせていただいたんですが、まあその中でも、本当に、おべっかでもなんでもなく、こういう素晴らしいキャストの方、スタッフの方々と一緒に映画を作れたっていうことはすごく貴重でしたし、何より尾野さんが、尾野さんというのはなかなかわからない人なんですけど、ずーっと冒頭第一声めから目をウルウルさせてまして、グッと来てるのかどうなのか、ちょっとわからないんですけど、とにかく尾野さんが全力で、命がけでこの映画に携わってくれたことはわかってますし、すごく感謝してますし、尾野さんだけじゃなく、皆さんの強い気持ちが乗り移ったような映画になってますんで、是非楽しみにしていただければなと思います。
司会)ありがとうございます。続いて尾野さん、最後に皆さんにメッセージをお願いします。
尾野)はい。えーと、先ほど監督からもお話がありました通り、監督とこの映画を撮る前にですね、命がけで頑張ります、って言いました。なんかそれは、今の時代、コロナとかでもう私は仕事ができないんじゃないかとか、色んなことを考えている中で、この台本が飛び込んできて、ああ、今やらんと無理やん、ここで止まってたらあかんやん、って自分の背中を押してくれた作品でした。それだけ自分にとってすごく大切で、この田中良子や、皆さん、出演者皆さんのお気持ちを、皆さんに届けたいと、すごく、力強く思った作品です。
その中でみんなで力を合わせて、もがいて、頑張って、ジタバタしながら撮りました。
自分にとって最高の映画だと思ってます。是非、観れるようになってほしい。映画館で観れるようになってほしい。そういう気持ちです。どうぞよろしくお願いします。

司会)どうもありがとうございました。以上を持ちまして、映画『茜色に焼かれる』完成報告会を終了とさせていただきます。キャスト、監督の皆様がご降壇されます。どうか大きな拍手でお送りください。ありがとうございました。


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