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『カーネーション』第1週「あこがれ」

 BS12で『カーネーション』の再放送が始まった。再放送はこれで3度目であり、いかにこの朝ドラが特別なものかがわかる。今回は、月曜日に一週間分、連続6回の放送なので、見終わったらもう頭の中がパンパンになるのだが、せっかくなので週ごとにあらすじをまとめていくことにした。「時は大正、岸和田に、生まれた一人の女の子、名前を小原糸子と申します。着物の時代にドレスに出会い、夢見て、愛して、駆け抜けた、これはそのお話」の始まりである。

1)大正13年(1924)9月、だんじりの朝
 四人いる子の中で一人寝相が悪い女の子が目覚める。(足をにょっきり見せたところから起き直る顔が、のちの「8時ー?」の糸子と同じだ。)だんじりの朝、男は祭りに走り、女はごちそうを作る。お母さんはちょっと浮世離れしたぼーっとしたところがある人で、カニをひっくり返してしまったりもする。
 長男の泰蔵が大工方を務める、というハレの日に、顔を引きつらせて玉枝さんがやってくる。みんなが泰蔵に見惚れる中、だんじりが通る時に息を止めていてひっくり返ってしまう。息子への思いの深さ、神経の細さがすでに見える。泰蔵は大工方の大役を見事にこなし、糸子は自分も続きたいと憧れるが、「女は大工方になれるか!」と言われてしまう。祭りが終わり、玉枝さんは泰蔵におぶわれて帰る。

 日常が戻り、糸子は足で戸を閉めて「その足か!」と物差しを持った善作に追いかけられる。一転、吉田屋の奈津が登場。奈津は「毎日ちゃう着物を着てきます。うちは呉服屋の娘やけど、着物は毎日おんなじです。」蛙を持って男の子に迫る糸子を見て、呆れたようにため息をつく奈津。泰蔵を見て居ずまいを正す奈津と、だんじりを連想する糸子という、二人の少女の対比が明確に描かれる。「うちの頭の中は、勉強よりも、着物よりも、だんじりでいっぱいです。」

2)学校で名の由来を聞かれた糸子、「一生糸で食べていけるように。」と発表する。その意味が分からず先生に「婿さんに努めてもらうため」と言う先生に、糸子は「お嫁さんなんかにはなりません、大工になります、大工方になりたいさかい」と叫んで「女のくせに」と野次を飛ばされる。
 先生は「女は常に男の一歩後ろを歩く、男と同じ仕事をしてはいけない、そんなもんやと決まってる」と言い、奈津はほくそ笑む。次に先生に指名された奈津は「立派なおかみになって、お婿さんを一流の料理屋の主人にする」と答え、先生をいたく満足させる。一方、料理屋ではなく呉服屋の主人はというと、商売気がなく集金もできず、ハルさんに「商売に向かん」と一蹴される。そこをニッコリと聞く千代さんは、どうやら今でも夫にぞっこんらしい。

 奈津は日焼けが嫌で傘をさして帰り、糸子は男の子と喧嘩する。棒をもっていきり立ち、おっちゃんを突き飛ばし、先生が家まで来て叱られるが、糸子は意に介さない。千代さんに善作に言われて初めて糸子は狼狽するが、ハルさんが止める。「火に油や、家燃えてしまうわ。」糸子は相変わらず男の子を仕切って大工方の役をするが、吉田屋の集金に行くよう善作に命じられ、「うちが集金に行って手ぶらで帰ったことなんかないさかい。」と引き受ける。「ここを使うて行け」、と善作は頭を指す。糸子はあえなく門前払いを食らうも、「子どもの使いとちゃう」と言って「うちは手ぶらで帰ったことがありません。」と何かを企む。

3)嘘も巧みに使って見事集金に成功し、糸子は橋で待っているお父ちゃんに抱きつく。善作は「キュキュキュやで」と糸子を可愛がり「お前が男やったら、どんだけおもろかったやろ」「お前くらいの頭と根性があったら、いっぱしの商売人になれる」と言う。「女かて商売人になれる」と言う糸子に、「ええとこ嫁に行ってむこさんにあんじょう仕えるのが幸せや」と善作は言う。

大正14年(1925)お正月
糸子を無条件に可愛がる神戸のおじいちゃん、おばあちゃんが登場する。厚かましくも栗を独り占めしようとして「ちゃんと食べさせてんのか」と父親に聞かれ、千代さんは「はあ、まあ」。自分は母親に「千代ちゃん」と呼ばれ、チョコレートを食べてご満悦である。30円の借金依頼を父親に咎められても「はあ、んー」と首を傾げる。夫の「善作の甲斐性なし」でおばあちゃんは微笑み、千代が善作と駆け落ちしたことが語られる。千代さんは平気でチョコレートを食べ続ける。
「おもろいもん見せたり」とおじいちゃんに言われ、従兄の勇くんが船と地球儀を見せてくれる。糸子は目ざとくドレスの人形をぱっと摑む。「ほなもっとええもん見せたげる」と連れて行かれた糸子は、舞踏会を見てドレスと出会う。ドレスの裾がスローモーションで映る。舞踏会の人たちに見つかって勇くんはさっと逃げ、糸子はその場を去らずに座り込む。やがて中に入り、ドレスの人と踊る。髪には赤いカーネーション。

4)糸子がドレスの間を歩き、カーネーションをさしてもらうところに場面が戻る。下駄を脱いで踊る糸子。岸和田に帰り、「ぜんざい」を出されて千代さんは「甘いもんようさん食べましてん」と返し、善作は怒る。糸子は髪につけたカーネーションを机に飾る。翌朝、相変わらず糸子を無視する奈津だが、「あんたやったら知ってるか思て」と言われて機嫌が良くなる。ドレス、洋服、という言葉を知って帰った家ではおばあちゃんがイワシを炊き、おやつはサツマイモである。
 糸子はお団子屋に集金に行き、団子を二本取った勘助と友だちを追いかけて取り戻し、「いつでもうちに言うてや!」と胸を叩く。集金には成功するが、仕返しの喧嘩を売られ、水に入ってお金を流される。泰蔵に助けられるも、お金を落としたといって善作に「そんなしょうむない喧嘩、なんで買うた」と問い詰められ、「女なんかって言われた」と答えた途端にひっぱたかれ、「これが男の力じゃ!女が男とはりおうてどないする!」と叱りつけられる。

5)修身では女は男に仕えて、と習う。だんじりに近づき、泰蔵兄ちゃんに山車に乗せてもらうが、糸子が求めているのはこれではない。動かないだんじりに乗っても仕方がない。吉田屋では奈津が「結婚なんかするもんやあらへん」と言われている。糸子は女であることに「だんじりも引かれへん。年がら年中家におって、男に叱られて、それがすんだらイワシばっかり炊くんや。しょうむなさすぎる。」と嘆くが、そこに甘んじず、「おもろいこと」を探す。そこにおばあちゃんからのドレスが届く。「おばあちゃん、箱くれた!」「きれいな箱やなあ」と満足する糸子は慎ましくも可愛い。しかしもちろんおばあちゃんがくれたのは箱ではなく、その中身はドレスだった。糸子は狂喜乱舞するが、なんということか、自分には小さくて着られない。糸子は「手に入りそうで入れへん。」と嘆きながら、だんじりと違って「女にもいつかは手に入るかもしれへん」と思う。

6)おばあちゃんからのドレスを見たおばちゃんたちが「うちらこの顔でこんなん着てみ。獅子舞やで」と言い、アッパッパくらいやったら、「簡単やでー、きれビャーッ切ってピャーッ縫うたらおしまいや」と言う。アッパッパも洋服の一種と知った糸子は、おばちゃんに見本を借りて帰り、余っている布を出してもらう。そこで綺麗なだけで布を決めることはできない、とハルおばあちゃんに教えてもらい、直接肌に触れる布、肌から遠い布がある、と知る。借りたアッパッパをお手本に、糸子は一晩でアッパッパを縫い上げ、「うち、洋服縫えた」と思う。着たアッパッパを大人の前で披露し、お父ちゃんにも「こらあ将来有望やな」と言われ、ますますお裁縫が好きになる。そして「本物の洋服を縫えるようになるんは、まだまだ先のことです」というチビ糸子のナレーションから、伝説の「8時!?」。女学生になった糸子は鉄砲玉のように支度をして駆けていく。雨が降り始め、傘をさす奈津を見つけて糸子は「入れて!」と言うが、奈津は足を早める。しかし突然足を止め、「糸ちゃん、入り」と言う(奈津が糸子の名前を呼ぶのはこの時だけ)。それは泰蔵兄ちゃんが現れたための「芝居」だった。泰蔵兄ちゃんを見送りながらの糸子のナレーション、「うちの夢はもう大工方やありません。」でこの回が終わる。





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