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nanuk note #3

僕は犬が苦手だ

かわいいなと思うけど どうしても怖いし
どうやっても仲良くなれる気がしない

苦手な原因は幼少期にはっきりとある



僕の家は古川スキー場のふもとでユースホステルを経営していた
スキー場はとてもコンパクトな大きさで
リフトはひとつ 急傾斜もないから
初心者や子供たちにはぴったりなスキー場だった

町の中心地からも車で10分程度なこともあり
地域の人たちからは身近で親しみのあるスキー場だったと思う

もちろん僕も物ごころついた頃から
スキーを楽しんでおり
スキーを履いて家から出てそのまま滑り降りて
家に帰ってくる特別な環境だった

誰かのお土産でもらったゴジラの帽子をかぶって
直滑降で滑りおりてくる様子は目立っており
当時を知る人からはいまだに
「ゴジラぼうしくん」と呼ばれることもある

その後僕が小学校に入学する前くらいに
古川スキー場は営業を終了した
残ったのは広い庭 というか山
ここがしばらくの間の遊び場になる

山なのでいろいろな生き物がいる
うさぎ、ねずみ、まむし、
モスラと呼んでた大きな蛾
大きなガマガエル、サンショウウオや
いろんな昆虫

不思議なもので当時は熊を見たことも
近くに出たという話も聞いた覚えがない

熊を頻繁に見るようになったのは
40歳を超えてからだがそれはまた別のお話

我が家は山が近く日照時間も少ないため
微生物カビの被害もひどかった

洗濯物は乾かない上にタンスにしまうと
翌日カビている
折角きれいに洗ってやっと乾いたのに
一日でカビるのは母も辛かったとよく話している

そんな微生物から小型動物に囲まれて暮らしていた

ある朝目覚めると「コケコッコー」と鳴き声が聞こえた
声のもとを探すとスキー場の駐車場の一角に鶏がいた

僕と妹はその鶏に安易だけど「コッコ」と名付けかわいがり
散歩したり一緒にプールに入ったりして遊んでいた

数日一緒に遊んでいたある日コッコは突然姿を消した
多分キツネやイタチに襲われたんじゃないかと思う

驚くのは同じような出来事が覚えているだけで2回はある事だ

当時大人が話していたのは
祭りの出店で買ったひよこが成長してしまい
鶏になり面倒みれなくなって山に捨てたという内容だった

それを聞いて子供ながら勝手だなと思っていた



山の中で暮らすには番犬がいたほうが安全ってことで
当時は犬を飼っていた

名前は「コジロウ」である
当初は「コタロウ」だったんだけど僕の名前「ケイタロウ」と
宿泊者が間違えるから「コジロウ」に改名されたようだ

改名を強いられたかわいそうなコジロウ

僕に対しての憤りなのか自分には全く懐かなかった
むしろ近づくと「ウーッ」と敵意を向けれらるし
何度か噛まれたからあまり接することはなかった

犬が苦手な原因のひとつが「コジロウ」だ
散歩に連れった記憶もない
でもなんかかっこいい顔してんなとは思ってた

ある夜、野犬が3匹くらいやってきた
野犬なんているのだろうかと思うのだが
繋がれていない犬が徒党を組んでやってきたのは確かだ

外に出ると危険なので僕は家の2階から様子を見ていた
繋がれていたコジロウは逃げることが出来ず攻撃を受け
ぐったりしていた

この恐怖は今も覚えていて思い出すと
脳内で雷の演出まで追加されている
とにかく怖い夜だった

幸いコジロウは無事でその後も元気だったのだが
このトラウマは僕の犬苦手の原因のひとつとなった

あとは学校の下校途中
近所の(多分)マルチーズによく追いかけられた
その家の前を通るときはいつも怖かった

小型犬が寄ってきたと思えばかわいいのかもしれないが
上記2つの理由ですっかり犬が苦手になっていた
僕にはただただ恐怖しかなかった

長くなってしまったが私が犬苦手な原因は幼少期にある
いまでは触ったりも出来るのだけど
いつ威嚇されるか心中穏やかではない

長男の最後から二本目の乳歯が抜けた夜に


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