ミリ・エーゼルさんへ（ゾーンAネタバレ有）

ミリ・エーゼルさん。

私は大昔に、道を歩いていたら「空が綺麗ですね」と言われたので、
空を見上げたその瞬間に、大きな看板が頭に　ガンッ！　と、落ちてきて
そのまま死んだ女です。
息も絶え絶えな視界の先には、可愛らしい金髪ボブの女性が、澄んだ青空を背景に、
今すぐにでも泣きだしそうな歪な笑顔で私を見つめていたことを覚えています。

死んだことに対しては、特に後悔はしていません。
泥のような、ゾンビのような毎日を送っていたので…。
寧ろ良い区切りができて良かったな、と思うぐらいです。
（天国で過ごす日々は本当に充実しています）


30年前、びっくりすることがありました。
それはミリ・エーゼルさん、貴方がアイドルをしていることです。

私は天国に来てから、天界アイドルにハマり、
BZT48の阿修羅のあっちゃん推しでした。
忘れもしない、BZT48の対バンライブに参戦した日のことです。
対バン相手の「ぶれえめん」のことは正直あまり知らずにライブを楽しんでいました。

そして、ステージに立つ、貴方を見つけました。
私はすぐに分かりました。貴方が、あの時の空の女性だと。
天国に来てからだいぶ長い期間が経っており、地上のことなんて一切忘れていた私に
あの時の、地上での出来事が走馬灯のように駆け巡りました。
正直そのあとのライブは放心状態で全く覚えていません。

その後、貴方のことが気になってしょうがない私は、さまざまなインタビュー、
SNS、動画などを探して情報収集をしました。
そして、空の女性は“死神”だったと知り、ようやく理解しました。

私は貴方に殺されたのですね。
気づいた瞬間に全身に鳥肌が立ち、手が震えました。
死んだ事に対して後悔はしていないはずなのに、死んだ事も忘れていたのに、
この感情はなんなのだろうと不思議に感じた事を覚えています。
そしてその日から、私はミリ・エーゼルさんのファンになっていました。

ミリ・エーゼルさん、貴方は私の運命の人です。
対バンライブから私は幾度となくライブに通い始め、狂ったようにチェキも撮り、
色々な話をしましたね。
まっすぐ前を向いて、「アイドルをやり切りたい」とキラキラした瞳で語る貴方には、
あの空を背景にした、歪な哀しい笑顔はもうありませんでした。

ミリさんも気を使うんじゃないのかなって思っていたので、
ライブで死神大王からの発表があるまでは、
貴方にこの話をするつもりはありませんでした。
地上へのファストパスの発行、すごいことだと思います。本当におめでとう。
ぶれえめんを、そしてミリ・エーゼルさんを推していた私はとても誇らしかったです。


けれど、私は天国のステージで輝く貴方の姿を永遠に見ていたかった。
手放しで喜べない駄目なオタクでごめんね。
地上でもミリさんのキラキラ最高の笑顔でたくさんの人を幸せで包むのでしょう。
死神を負い目に感じている分、“生かす”ように頑張るんだろうなと思います。
無理はしないでと言っても無理してしまうのだろうけど、無理はしないでね。
今地上ではコロナという感染症が大流行していると聞きました。
体には本当に気をつけてくださいね。



貴方との出会いと別れ、私は死ぬまで忘れないでしょう。

（まあ死んでるんだけど！）

ミリ・エーゼルさん
今までありがとう、大好きです。

ととと　〜天国より〜