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今日の夏子さん 2023.10.10


深夜の排泄サポート

寝床で本を読んでいると、夏子がいつものように本と腕の間に入って来た。
肛門にウンチが付いているのが、ちらっと見えた。
見えてしまったら氣になって仕方ない。
深夜2時過ぎ、台所から使い捨てのビニール手袋を取り出し、コットンにバイオウィルクリアを含ませ、夏子のおしりキレイ作戦開始。

昼間排泄困難のため、動物病院に連れていき、処置を受けていた。
「肛門付近に指1本分のウンチが残ってますね。細かくほぐしておくので様子を見て下さい」
獣医さんにそう言われたのだった。
帰宅後、吐き氣は治まったものの、ウンチは出ていないかった。
眠るが、まったく食べない。
水を飲もうとはするが途中で諦める。
そっと様子を見守るしかなかった。

さて、話を深夜の排泄サポートに戻す。
体重が1.8キロしかなくなってしまった夏子のからだを左手で保定し、ビニール手袋を装着した右手で、夏子の肛門に着いたウンチを取りにかかる。
固い。
が、コレをとらなければ開通せぬ。
夏子が痛がって、悲鳴のような鳴き声を上げた。
一瞬ひるむが、グズグズして長引かせるのはかえって酷だ。
指先でもみほぐし、よし、取れそうだ、というタイミングで、えいやッとバイオウィルクリアを含ませたコットンで剥がした。
かさぶたを剥がすような感じである。
すると、フタが取れたからか、今度は親指の先ほどのウンチが顔を出した。
お、逃すまじ!
すかさず、2枚目のコットンでもって、引っ張り出す。
案に相違して、あっけなくポロリと取れた。
左手で腹部を触ってみると、もう腹中に残っている塊はないようだった。
夏子は放心している。
よかった、よかった、これならまた手伝えそうだ。
もう排泄をスムーズにする薬にのみ、頼っている状況ではなかったのだ。
その後、夏子は大仕事をやり遂げたという感じで眠りについた。

朝、排便したことで食欲が戻るのを期待したが、一向に食べようとしない。
やむなく部屋中の換氣と掃除にかかった。

リビングに来た夏子

猫嫌いの夏子は、プライベートルームの寝室を出ることはめったにない。
ところが、今朝はひょいひょいとリビングにやってきた。
あら、珍しい。
薪ストーブの台座に置いてある水を飲もうとした。
他の猫たちが遠巻きに様子をうかがっている。

水を飲んでくれてホッとする
一休みする夏子19歳

デッキで風にあたる

続いて、デッキに出たがったのには驚いた。
春先、庭に日向ぼっこに連れ出したときは、ほとんど長居せず寝室に戻りたがったのだ。
暑くもなく、寒くもない。

だいぶ、庭の様子が変わったわね

すぐに戻るだろうと思っていたら、まったく戻ろうとしない。
コーヒーを飲みながら付き合った。
コーヒーを飲み終わっても、まだ戻ろうとしない。
なので朝食のトレイを持ってきて、デッキで食べた。
お、デッキの朝食もなかなか素敵、なっちゃんのおかげである。

この朝食を食べ終えたころ、彼女は庭に降りた。

庭のチェック、ご近所回り

シティガールの夏子はこれまで土や草に触れることを嫌がっていた。
ところが今朝は平氣で土の上を歩くではないか!
どうしたの?

庭の見回りはすぐに終了し、玄関のほうにスタスタ、歩くのが早い!

駐車場で追い付くと、彼女は愛車きっちぃの匂いをクンクン。
車の匂いを、丹念に嗅ぎながらぐるりと一周。

その後、右隣のKさん宅方向にずんずん進む。
不思議と少しも躊躇したところがない。
排水溝に興味津々。

まもなく小学生の登校時間だ。
探偵のような雰囲氣である

放っておくと、どんどこ隣家の敷地内に入っていこうとするので、背後から抱え上げて、庭に連れ戻した。
が、庭にはやはり興味がないらしく、再度公道に行こうとする。

ここはたいして面白くないわ

夏子のお外探検に付き合っていたら、いつしか11時。
おかげで庭に草取りやら、板敷などの作業がはかどった。
あれ、これデジャブ……。
あ、そうか、猫楠舎で福ちゃんのお散歩と同じだ。
福ちゃんは生まれて初めての土に触れて、地面からエネルギーを貰ったようだった。からだはどんどん痩せていくのに、瞳が放つ光は強くなっていく。からだじゅうに透明なオーラの層が増していった。
夏子も、なのか?

なにも食べていないにも関わらず、歩みは軽やかだ。

10/12で、この地に越してきてちょうど1年になる。
和歌山から大阪に向かう車中、キャリーケースから出た夏子は助手席で前方を注視していた。
ワタシの相棒夏子、今日の変化は冥途の土産なのか?
であれば、そうだな、思いつく限りたっぷりの土産を持たせてやろうぢゃないの。
続く



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