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糸島ショローのお出かけ日記・長崎編


長崎がんばランド

海チャプの友ジュンさんと朝7時に長崎に向けて我が家を出発。
こういうとき、ご近所同士はむっちゃらくちんである。
週末のわりに車も少なく、スイスイと2時間弱のドライブ。

最初に行ったのは産直市を併設した長崎がんばランド。
それにしても長崎のみなさんは全員マスクしとる~。
マスクなしは県外者とすぐ分かる。

さて、店内に並ぶものも糸島とは明らかに違う~、ワクワク、キャワキャワと見て回る我々。
特に「ここでしか買えないもの」にアンテナを立てる。

長崎と言ったらカステラ、だが他にもいろいろあるっちゃ。
こわれチャーメンをふたりともゲット。

お惣菜コーナーで買ったネギ入り卵焼き、かしわめしのおにぎり、揚げたて平天をぱくつく二人。
やっぱり旅の初めは産直市と軽食やね~。
食べるのに夢中で、写真を撮り忘れた。

遠藤周作文学館

がんばランドから車で18分。
2023年は遠藤周作生誕100年だそうである。

外海(そとめ)に面した遠藤周作文学館

実は「道の駅夕陽が丘そとめ」が目的で行ったところ、思いがけず歩いてすぐの場所に遠藤周作文学館があったんである。
まずそのロケーションに圧倒された。
「ここまで来た甲斐があった」
と満足してしまうほどの美しさ。
展示物の充実度は半端なかったし、建物自体の素晴らしさもある。なのに、我々以外の閲覧者はなく、もったいないこと限りなし。
来場者が少ないせいだろうか、スタッフは我々にも終始無関心であった。遠藤周作に対しての思い入れもあまり感じられず、そこはちょっと残念。

ともあれ長崎から車で50分でも訪問価値はある。まぁ、ワタシが有名観光地が苦手と言うのもあるが、遠藤周作ファンでなくても、ここは間違いなく長崎の穴場と断言できる。
ありきたりの観光では味わえない、外海の空氣を、これを読んだ皆さんにはぜひとも堪能してほしい。
なんといっても海の風景が格別なんである。
遠藤周作が初めてこの地に来たとき
「神様がぼくのためにとっておいてくれた場所だ」
とたいそう喜んだそうである。

ステンドガラスの蒼

つい先日再読した河合隼雄の『影の現象学』の解説文が遠藤周作だった。
彼はこの本によって、長年自分の中に抱えてきた悩みから解放され、無意識が深い洞察力や将来を見通す眼を与えてくれ、多くの芸術家に力を貸してくれる協力者であることに氣づいたという。
また河合センセも、遠藤周作の『沈黙』について、多数の著作において言及している。いずれ読んでみようと思っていた作品、ここに来たのは、読むタイミングが来たということのように思えた。
キリスト教と日本人、これはワタシのなかで、ずっとこころにひっかかっている課題で、この夏、平戸、長崎とキリスト教関連の土地を訪れたのも、「そろそろちゃんと取り組めよ」とのサインかもしれない。

併設の思索空間「アンシャンテ」(フランス語で「はじめまして」)からの眺めにも息を呑む。
まさに絶景、さぞや夕日が美しいであろう。
座り心地のよい椅子、床のタイル、天井、照明、『沈黙』をイメージしたアート作品、書庫、ピアノなどなど、どれをとってもセンスの良い選りすぐりばかりである。
遠藤周作夫人の熱意の賜物。

文学館は有料(360円)だが、こちらのアンシャンテは無料スペース。
近くだったら毎回のイベントに参加したいところ。
アンシャンテのドア
この石積みが効果的に使われていて見とれた。

「隙あらば猫 町田尚子個展」長崎歴史文化博物館

そもそも、今回長崎行きはコレを観るのが目的だった。

2016年出版された絵本『ネコヅメのよる』のワンシーン、うじゃうじゃの猫たちが迫力ありすぎて笑いがこみあげてきたのを覚えている。

通称「れきぶん」、会場の立派さにまずびっくり。
お城ではないか!
地下駐車場もこれまた立派。
駐車料金は1時間300円のところ、個展を見れば3時間まで1時間110円の割引がある。
ちなみに長崎市内は無料駐車場のところが少ないらしいので、観覧後は車をここに置いて歩いて回ることとする。

さて、こちらの学芸員さんは先ほどの遠藤周作文学館とは対照的に、かなり積極的にあれこれアピールしてくる、いや、正直ありすぎるくらい。
とはいえ、町田尚子さんの個展は二重丸だった。

猫の絵はいわゆる客寄せパンダで、実際には風景や動植物の描写が
おそろしく素晴らしかったんである。
これまで猫の絵しか知らなくて、誠に申し訳なかった~
と、作品群の前で、頭を垂れたワタシ。

こちらの展示は基本撮影不可。ただ数点撮影可の作品があって、それを常設展の中に紛れ込ませるあざとい手法に乗せられ、常設展まで見る羽目になった。
「ちっ」と舌打ちしたが、すぐに反省。
なんと常設展の波佐見焼コーナーでどっぷりハマってしまい、ジュンさんとふたり、小鼻を膨らませて「次は波佐見に行くべし」と言い合ってしまったんである。

描きおろしの長崎バージョン
ジュンさん即買いの町田尚子猫手ぬぐい、色がいい!

そして、長崎歴史文化博物館のミュージアムショップ、好みのグッズが多くて困った。悩みぬいたワタシは町田尚子の絵本『だれのものでもない岩鼻の灯台』と、ストライプの手ぬぐいをセレクト。

下記、「ねこのわ文庫」でも所蔵していた『ネコヅメのよる』と、今回の展示で一番心惹かれた灯台の物語。

アングルを変え、季節を変えて描かれた灯台のお話。


粋なデザインですよね。
イケメンの龍馬像がどーんと。

𠮷宗(よっそう)の茶わん蒸し押しずしランチ

実は先日「唐津ランチ編」で書いた「SとN」に掲載されていた「鯛政寿司」が本旅の真の目的であった。本音は寿司、建て前は美術展。
がしかし、町田尚子展&常設展に予想外の時間がかかってしまい、炎天下汗だらだらで店にたどり着いたら、すでに暖簾がなかった。
恐る恐る戸を開けると、大将が
「すいません、閉店時間で……。今は予約のお客様だけです」
なんとかならないか、粘ってみようかとも思ったが、どうやら無理そうな雰囲氣。
しゃぁない、ではプランB・茶わん蒸しの𠮷宗に変更だ。
店を目指して、炎天下を再び坂の道長崎を歩くふたり。

改めて長崎という街、急斜面に住宅がびっちり建っている。
おそらく地震や大雨にも耐えられる地盤なんだろうが、平地の平屋族としては「住むのはとても無理」と思ってしまう。
日本だけど明らかにここは異国だわ。

また最近は閑散としたアーケードも多い中、長崎の延々と続くアーケードは活氣にあふれ、商店街の人たちは陽氣で明るい。観光地というだけでなく、なんか異国のマーケットっぽいのだ。

そうこうして、なんとかたどり着いた老舗「𠮷宗」。
赤い提灯がずらりと並んだ店先、ちょっと『千と千尋』チック。大正時代とかにタイムスリップしたような店内。
ありがたいことに、すぐに2階席に案内され、着席するなり出された冷水を一氣飲みするジュンさんとワタシ。
やがて、名物の茶わん蒸しと蒸し寿司セットが供された。

なぜかずっと卵ばかり食べていたことになる。
色彩が鮮やかなのも異国っぽい。

汗ダラダラ流しながら食べる茶わん蒸し、なんか懐かしい3色ごはん。
ふたりとも完食して一息。

こんなに暑くなるとは思わんかった~。
今日なら、海チャプできますねぇ。

帰りますか?
そうですね~。

こんな橋を何回も渡った

15時に長崎歴史文化博物館を出て、帰りも約2時間で帰宅。
欲張らんくらいがちょうどいいんである。

とはいえ、帰路に狛犬撮影のため2か所の神社に立ち寄った。
こちらは後日「ハロー狛犬紀行」にてアップするです、はい。

車を降りて別れ際、ジュンさんに分けてもらったかんころ餅はがんばランドで買った抹茶入り煎茶とともにパクリ。

素朴な旨さが一番。

長崎まで行けた今回も、美味楽なお出かけやったわ~。
さて、次は波佐見か、はたまた武雄か。
乞うご期待。

続く

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