小売・流通がわかる本 レビュー

今日は、
「手にとるように小売・流通がわかる本」かんき出版 2015年改訂
のレビューです。

この本の著者は上原征彦さん・坂上眞介さん・中麻弥美さんによる共同著書で、この3人のうち2人が私の大学にゆかりのある方だったので親近感湧きつつ読みました。


概要は、急速に変化する流通の歴史をもとに、小売業・卸売業の役割やシステムの変容を説明しつつ、流通の重要性と今後の課題を記した内容でした。


私が特に興味を持ったのは、マーケティングの営業・販売に触れている6章で、従来の営業と近年の営業のアプローチを比較しています。

まず、製品コンセプト製品アイデアという考え方があります。
顧客が何か問題を抱えている時、例えば「明日デートなので石鹸でデオドランドしたい」という要望があったら、「デオドランドできる」ことが製品コンセプトであり、「デオドランドを実現するために界面活性剤を何%含む」ことが製品アイデアにあたります。

つまり
製品コンセプト…顧客が欲するもの(目的)
製品アイデア…そのために顧客が欲するもの(手段)

次に、従来の営業が1人でも多くのお客さんに会い売り込む「がむしゃら営業」だったのに対し、近年は、営業の成果に対して「どれだけ頑張るか」よりも「どのように頑張るか」といった質の部分にスポットが当てられるようになりました。

そのため、販売員はお客さんが置かれている問題を理解し、適切な対応をとることが必要になってきます。この本ではそれを宣言的知識による対応といっています。これをクリアした上で初めて、お客さんの問題を解決できる製品は何なのかを提案しなければなりません。このスキルを手続的知識による対応と言います。

まとめると、営業パーソンは、お客さんの問題は何なのかを把握し(製品コンセプト)それを解決できる製品を薦める(製品アイデア)というように、宣言的知識から手続的知識へ連ねていくことが定石であると説明しています。

この章を読んで、流通の変化に伴い、顧客がその店舗へ足を運ぶ動機も変わるため、特に総合スーパーや百貨店においては、製品コンセプトや宣言的知識による対応がより販売員に必要とされる営業スキルになってきているのだと思いました。


この本は、各ページ右に2段落で文章、左にイラストといった特徴的なつくりで読者を飽きさせない工夫がなされています。見開き全て文章のページは序論を除き1ページしかなく、本を読むのに慣れていない私でも抵抗なく読み進められました。

大学の授業で教科書としても使われているようで、専門用語はその都度説明があったり、アマゾンの流通戦略を例に出したりと、非常にわかりやすかったです。

流通の歴史を知ることで今後ビジネスの動向を掴むための基礎知識として有効活用できそうです。

今日も読んでいただきありがとうございました😌

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