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盆踊りという輪

夏まつりといえば何を思いおこすだろうか。

提灯の穏やかな灯り。浴衣。
無限かき氷。無限流しそうめん。
走り回る子どもたち。それをうちわ仰ぎながは眺める大人たち。流れる夏の民謡。
子ども向けの出物してくれるおっちゃん。
飲み物配ってくれるおばちゃん……

地域の夏まつりは小さくも温かく。
私が”この地域に育ててもらった”と
思えている所以の一つなのかもしれない。

今、コロナ禍を終えて。
そうで無くても少子高齢化は進んでいて。地域の子ども会なんかは消滅していっていて。そんな大切な記憶を持てない今の子どもたちが増えてしまっていること。

「新庄郷育館」という元小学校という場に関わっている中で、やはり地域の未来は子どもたちだと意見が交わされている。

ならば、やるしか無い!

…そしたら、盆踊りも復活させたい!

すでにうちの家がこの地域に越して来た当時で廃れかかっていた盆踊り。
ずっと盆踊りを皆んなで輪になる輪踊りに憧れのような気持ちを抱いていた。

そしたら、それに賛同してくれる近くに住む友人達もいて。

まずは、地域の中で丹波音頭を踊れる人、歌える人がいるのか聞きまくる。
唯一、この地域の中で盆踊りを区のお祭りで続けておられる地域に音源などを持っておられる方がいた!

聞くと、ある方の亡くなった旦那さんが本当に踊りが好きで、いつも音頭も取っていたような人だったらしい。その方も踊るの好きだったけど、心臓の病気をしてしまって今は全然動けないの…と、残念そうな表情。

他にも音頭とりしてた人、もう高齢で外にほとんど出てない、施設に入られてしまった…
そんな情報ばかりで、気が滅入る。
復活させるには遅かったのか。

周辺地域に目を向けると「丹波音頭」は亀岡、南丹、京丹波、京北、丹波篠山、、とかなり広域に伝わるものらしい。
保存会として、活動されている所に幾つか足を運ばせてもらった。

京北山国での丹波音頭練習会

周辺にはまだ活発に活動されているところがあった。
生歌で、太鼓でリズムとって、三味線の音色で。
子どもたちが習っていて。
あぁ、なんて素敵な風景なんだ!!

日吉五ヶ荘にて練習会

新庄での練習会。
これでいいのだろか…と思いながらも隣の区での練習会映像をひたすら見ながら覚える!

一緒に試行錯誤出来る同志がいてくれる事は、本当に心強い。
1人だったらもしかしたら途中で諦めていたかもしれない。

振興会、理事会で運営を決めて、ようやく実感が湧いてくる。


すいか割り、かき氷、ラムネ、スーパーボールすくい、、
そして屋台で来てくださった、焼きそば、亀焼き、ドリンク、

多くの方々の協力があり、なんとか夏祭りらしく開催できそう!

盆踊りといえば浴衣!
地域に、浴衣ぐらいなら着付けしてあげるで。
と言ってくださる方がいた。

ありがたい!家にあった浴衣かき集めて。
どれだけの人たちが来てくれるだろう、、とドキドキしながら準備をする。

夕刻になってくると、いつも間にかたくさんの親子連れで校庭は賑わっていた。

スーパーボール掬い、スイカ割、かき氷、、
振興会としての企画は、どこもたくさんの子どもたちで大いに盛り上がっていた。

中には小学校ぶりの同級生や先輩方が子連れで遊びに来てくれていたり。
地元出身の方が帰ってきてくれていたり!
本当に懐かしい再会がたくさんだった!

でも多くは知らない顔ぶれ。
どうしても地域でのイベントごとって知った顔が多くなってそれで安心したりもするのだけど。

こんなにたくさんどこから来たんだろう!
運営側はきっとみんな思っていたと思う。笑

18時スタートのはずだった屋台もすでにお客さんたくさんで、準備出来次第並び出す、、という状況に!
しかも数読めず、かなり少なめに伝えてしまった…

盆踊りはじまる前には、完売するところもあり、仕込み直してもらったり、、
臨機応変な対応力は、皆さんさすがというところだが、ほんとすみません。。という気持ち。

いよいよ盆踊り!
立派な櫓は、唯一盆踊りを続けておられた区から借りさせていただいた。

台風が近づく気配を孕んだ風が、櫓の竹を、ちょうちんを揺らす。
宵も少しずつ進み、あたりは綺麗な青色に染まっていく。
この時間帯がなんとも心地よく、それと相反するような電球や人の発する熱くも心地良いエネルギー。

盆踊りスタート!
はじめは輪の外から伺っていたひとたちも少しずつ輪に入って一緒に踊り出す。

南丹市はじめ、近隣に住む知り合いたちがこんなにも集ってくれるとは!!
そして、貸し出しの浴衣と着付けを大いに利用してくれ。
浴衣姿の女性たちは、どこかいつもより凛とした佇まいを纏っていて。我ながらナイス企画だったな。日本人だな。浴衣、やっぱいい!

気づいたら、輪の周りには浴衣姿の人々の輪ができていて。

その光景は、待ちに待ったというか。
懐かしくも、新しい光景で。

地域外の人でも来やすい場としては、元小学校という場は適役なんだろう。

地域の小さなお祭りと、テキ屋さんが並ぶような大きな花火大会のちょうど間ぐらい。
そういうお祭り感を求めてやってきた人には、屋台も5店舗で物足りなかったかもしれない。

でも、これでよかったと思えている。
顔の見える、有機的なつながりのなかでつくる、地域の夏祭り。

そこには、参加する人も、運営サイドも、屋台の人も。
いろんな役回りはあれど、そこに動いているものがあるのは、
そこに人がいるからなんだとわかる、豊かさが確実にある。

そんな皆んなの想いが、温かいエネルギーとなって、宵闇に浮かぶ提灯の橙色の光と共に、粒子となって夜空に吸い込まれていくような。

輪踊りってそんな色々な想い、祈り、エネルギーを渦巻くような、あったかい場なんだな、と。

皆で、音に合わせて身体を動かす。
一人、また一人と輪に加わり、櫓を一周できたときは感動したなあ。

古くも新しい、懐かしいけどはじめてできた光景!
それは、田んぼはじめて、今は見る事も少なくなってしまった、稲木干しの風景をつくれた時の感動に似ている!

多くは、心強い、南丹市周辺に移住してきたメンバー。
そこに振興会や地元の方々、子どももいて。

この光景は、これからの地域を表すような気もする。
これまでは地縁で培われてきた関係性。
それだけでは回らなくなってきている現状。
どれだけ開くか、でも地域らしい大切な部分は大切に。

来年!どうなるかなあ〜〜
とにかく!出来てよかったなあ。

皆んないいお祭りだったね!て言ってくれるのが何よりうれしい。
そして子どもたちの地元の夏の思い出になってくれたら、そんな嬉しいことって無いなー!

本当に、まだ余韻に浸れる。
音頭の歌詞が脳内を巡る。
ただ、皆さん、ありがとう。

着付け部屋に残されたメッセージ!

来年に向けてやりたいこと
*丹波音頭、踊りこむ!
もうちょっと歴史とか知りたい
*音頭も練習したい。生歌でするの目標!
*浴衣、着物をもうちょっと日常的に着る
*和裁もできたらいいなあー!自分で縫った浴衣とか!
*こういう動きの出来る若手のチーム?をつくる
(やりたい!のエネルギーをやろう!て言い合える仲間がいるのは本当に大事!)
*祈りについて。五穀豊穣、日本の祈りや文化、お祭りについて!


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