もりのしごと
今日の森での見つけもの。
父と久しぶりに森で木を倒した。
立ち枯れした立派なクヌギ。
もう枯れてボロボロになった枝を木に登って落としてゆく。
反動で根元から倒れる可能性だって拭えない。
今は父がしている行程を眺めるだけ。ハラハラ。
下から細く見えても落ちてくるとそこそこの太さ。
その度に空が開け、陽が差し込む。
私の仕事は落とした枝を細切りにしていく作業。
この枝を切っても大丈夫か。慎重に慎重に。
でも思わぬところに力がかかっていたりして、チェンソーいれたら私よりはるかに大きな存在が頭上でうごめく。 身が引き締まる。
いよいよ幹を倒す行程。
受け口をつくって追いをかける。
森に斧の音が響き渡る。
立ち枯れした木は中がどんな状況になってるか見えない。
一動一動が緊張。
こんな時、木の横に立って斧を振りかざす、いつもは頼もしい父の存在は怖いぐらい小さい。 「カーーーン」最後の一撃で、幹は大きな音を立てて倒れる。
静けさが戻り、二人とも安堵の息をつく。
この行程を全て私がする時が来るのだろうか。この手で。
狩猟や、林業、農業、経験ないけど漁業も。
第一次産業と言われる分野は、その人の「真摯さ」がまっすぐに問われている気がする。
常に自分の命を意識しておこなう労働。なんて誇り高いものだろう。
どれだけIT化や便利な世界になったとしても、これは人間として忘れてはいけないものなんじゃないかなあ。
そんなことを、背中で子どもに伝える親父の背中。
いつもの森の作業。でもなんだか、文書に残しておきたくなった。
とりあえず、一仕事終えて森で飲むコーヒーは、いつもと違う味がする。
2015.10.13
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