織り合わさった光のゆらめき
-夜が明ける、人々よ、見よ。幾千万回繰り返されてきた夜が、また明ける-
自然の理を超えた大きな群れを、
災ひ起こさず治め得る知恵など、
いまだ人は持たず。
哀しきかな。
小さき群れの貧しき平和。
大きな群れの諍ひ多き豊かさ。
自然の摂理。理(ことわり)
産まれる。育まれる。食べる、寝る、愛する、子孫を残す。
生きるとは。
ただシンプルにここに在る、ということ。
この世に祝賀を受け生きる。
しとしとと森に雨が降り注ぐ。命のめぐり
小さな虫は、小さなヒナは、
小さきいのちがめぐる。
生を受け人の営みの傍で果てる。
耕す畑に虫たちの蠢き、そこに鳥たちが集まる。
虫たちを咥え、巣に運ぶ。
生後数日ほどのか弱い存在で巣から落ちてしまったヒナ。
目も開かず、口も開かず、ただ呼吸を全身でしている。
土の上に運ぶ。生を受け、こんなにも早く死を迎えようとしているひとつの命。
この儚い命の巡りを想わずにはいられない。
生きものたちにとって産まれてくる"意味"など本当は存在しないのだ。
とやかくそんなことを思案してしまうのはヒトぐらいなのだろう。
巣から落ちて目も開かぬ時期に最期を迎える。
そこにこの命の産まれてきた意味を問うことは無駄なこと。
生をまっとうできぬ命によって生かされる他の生命。
土に還ることで産まれる生命。
そう思うと野にある生命は点ではなく、
全てが織り合わさったさざなみのように、
うごめき、ゆらめきながらヒカリをはなっているのではないか。
それぞれがそれは紡ぐ糸のような存在で、まさに多様性のそれで。
すべては個であり全であり、全であり個である。
あなたはわたし、わたしはあなた。
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