オフ対戦のすゝめ

 初めましての方は初めまして。そうでない方はこんにちは。関西でBBTAGをプレイしているなのは先生と申します。

 さて、12月1日より始まったBBTAGアドベントカレンダーもついに最終日となりました。

 トリを努めさせてもらう僕が綴ります記事は『オフ対戦のすゝめ』。数多のBBTAGのオフ対戦会に足を運んだ僕が、ただただ感じたことを書き連ねただけの内容となっているでしょう。

オフ対戦に行こうか迷われている方も、そうでない方も、どうか最後までお付き合い下さいませ。

1.オフ対戦の場ってどんなとこ?


 さて、本文を書き始める前に補足をさせて頂きますと、僕の格ゲー歴はめちゃくちゃ浅いです。とあるアクションゲームにはまり、ゲームセンターに通っていた時期はありましたが、ついでに格ゲーもプレイしようかななどと思ったことは一度もありませんでした。

 格ゲーに興味が全く無かった訳ではないんです。ブレイブルー本編なんかは家庭版を買って友達と浅くポチポチ遊んでいましたし、なんなら家にはストリートファイター2の国技館で行われた大会のビデオテープなんかもありました。

 では、なんで格ゲーをゲームセンターでやらなかったのか?その理由は"なんか怖そうだから"という曖昧でありシンプルなもの。イメージ的にはバッチバチに火花散らした熱き戦士たちが台パン椅子蹴り日常茶飯事、場合によっては場外乱闘も起こっちゃうよ!みたいな印象でしたね(あくまで僕の偏見にまみれた過去のイメージです。流石にそんな場ではないはずです)。となれば、その延長線上にあるようなオフ対戦も同じような場なのでは?と、正直少しビビってました。

 そんな僕でしたが、ある日、とある切っ掛けで上手くなりたいという感情が爆発し、単身、大阪某所にあるプロチームのオフ対戦会に突撃します。

 まぁ、明らかに場違いだったなら途中で帰ればいいか、そんなへっぴり腰で会場に足を踏み入れた僕はそこで衝撃を受けました。

「えっ?みんなメッチャ優しいやん」

 とにかく人が明るく、そして温かいのです。その場の説明をしてくれたチームのスタッフさんを始め、自分と同じく対戦会に慣れていない人間も、明らかに上級者な方々まで等しくです。いい雰囲気のまま雑談しながら対戦も出来ましたし、上手いプレイヤーの方に教えて貰いながら対戦も出来ました。とても充実した文句なしの一日です。 

 勿論、そのオフ対戦会はプロチームの開いてる場だったのて、サポートは手厚かったのもあります。ですが、どのオフ対戦にも共通して言えるのは、決して殺伐とした怖い場所ではなく、初心者だろうと初見の方だろうと、誰でもウェルカムな空間だということでした。


2.どこにでもある幸運


 行きにくい場所ではないないということが分かり、躊躇う理由の無くなった僕は毎週対戦会に通うようになります。火曜日が対戦会の日になっていたので、その日に仕事が遅くならならいよう調整もしていました。

 この毎週通っていた対戦会で僕は二つの幸運を感じます。一つが"質問したら答えてくれる上級者"で、もう一つが"実力が同じくらいのライバル"です。

 まず一つ目の質問したら答えてくれる上級者。こちらは全国どの対戦会に行っても必ず存在しました。

 格ゲーを始めたての僕はまず『上手くなりたいけど、何を練習したらいいかが分からない』という悩みの壁にぶち当たります。もしかしすると、本文を読んでくれている読者の方にも、同じような悩みを抱いた方もいるかもしれません。

 そんなとき、上級者の方は自分の欠点を指摘してくれました。その上で解決法のヒントや、時には答えまで教えてくれる優遇っぷり。さらに、ここでオフならではの利点として、実演つきで教えてもらったことを自分が出きるかも確かめてくれたのです。教えてもらったことがトレモで出来たのなら、実戦形式で試させてもくれましたし、なんならその知識や技術が必要な盤面にわざと仕向けて、ちゃんと自分が学んだことを実戦で活かせれるのか確認してくれたのです。

 この流れを見て、上級者にメリットなくない?こっちばっかり教えてもらって申し訳ないよ……と思われる方がいるかもしれません。ですが、実はちゃんと上級者にも得るものがあるのです。

 つい先日、BBTAGの師弟杯が開催されました。そこで僕は一人のプレイヤーの師匠となり、二週間ちょっとの期間を共に練習しました。そのプレイヤーはかつての僕と同じように、格ゲーそのものの初心者であり、コンボも立ち回りもお世辞にも上手いとは言えないプレイヤーでした。そんな弟子に立ち回りの基礎を指南をしていると、

(あれ?この部分ってちゃんと自分は出来てたっけ?もしかして雑にしてるんじゃないか?)

 そういった自分への見直し部分がいくつも見つかったのです。他にも自分と違うキャラを使うことで、一層自分のキャラへの理解が深まったり、上級者にも様々なメリットがあるのです。

 ここまで利を説いておいてなんですが、そもそもBBTAGの上級者の方は損得関係なく教えてくれる優しいプレイヤーが大半で、むしろ教えることが好きな方が多いくらいではと思えるほどです。なので、オフ対戦に来たけど上級者の方に色々聞くのは気まずいな。そう考えてる方は是非、質問をしてみましょう。遠慮する必要なんてありません。優しい上級者の方はきっとあなたの力になってくれるはずです。


3.恵まれた幸運


 次に二つ目の幸運である、実力が同じくらいのライバルについて語るとしましょう。これについては、僕は相当恵まれていたと思います。

 僕がオフ対戦会に通いだした日、ちょうど僕と同じく対戦会に来るようになったプレイヤーがいました。そのプレイヤーとは野試合をすると戦績は決まって五分。それも二、三週の話ではなく、数ヵ月に渡ってずっとでした。彼はキャラを変えたり、連携を作ったり、試行錯誤の努力をして強くなっていきます。そんな彼に負けないよう自分も自キャラの練度を競うように上げていきました。

 ですが、対戦会で行われるトーナメントでは毎回僕が勝利していました。野試合では毎回五分なのに、トーナメントになると試合内容は良くとも最後は僕が勝つ、そのような展開を何度も何度も繰り返します。

 そんなある日のことでした。いつも通り対戦会に足を運んだ僕は、イマイチ自分の調子が上がらないことを感じます。野試合をしてもあまり変わらず、結局そのままトーナメントが始まってしまいました。早々にルーザーズに落ちてしまい、二回戦で当たったのはライバルの彼。二先の試合を1-1で迎えた最終戦、僕は投げからの簡単なコンボをミスしてしまい、勝ち確の状況から逆にコンボを貰って死亡、ついにトーナメントで彼に初敗北を喫した瞬間でした。

「よっしゃあああーーー!!」

 ルーザーズの二回戦、彼はまるで優勝したかのようにガッツポーズしながら歓喜の声を上げていました。その光景は二年経った今でもハッキリ思い出せます。それほどまでに悔しく、そして同時にこう思ったのです。

こいつにだけは敗けたくねぇ

 オンライン環境でもライバル関係を築き、切磋琢磨出来る人はいると思います。勝手に誰かをライバル視して、独りでに競うことも可能かもしれません。ですが、僕は断言します。目の前で自分を負かして喜ぶライバルを見て湧き出る闘争心こそ、最も自分を成長させてくれるものであると。

 実際、この敗北から僕はそれまで以上に頑張るようになり、成長速度は明らかに上がりました。悔しさも大きかったですが、当時の彼への感謝は計りしれません。

 このような関係の人間を見つけるのは稀であると思います。でも、もしそんな人間を見つけれたのなら、こいつにだけは勝利してやる!そんなオフ対戦だからこそ生まれる闘争心を抱き合う関係になれるのかもしれません。


4.オンではなくオフということ


 ここまでは上達を主題に置いた内容を綴って来ましたが、オフ対戦会とは別に上達を目標にした人間だけの環境では断じてありません。むしろ、エンジョイしたい人間にこそお勧めの場所と言えるでしょう。

 オフ対戦では当たり前ですが、相手は隣にいます。場所によっては対面の可能性もありますが、だいたいは隣でしょう。となると、何が起こるかと言うと、お互いのリアクションが見えるのです。

 対戦相手のプレイヤーが上手い連携をしたとしましょう。家でのオンライン対戦では「この人やるなー」と呟いて終わる場面です。ところが、オフ対戦で同じ場面に遭遇したとき「うわっ、すげぇ!」と言ってみてください。相手のプレイヤーは内心めっちゃ喜んでます。すると、自ずといい雰囲気で対戦が出来ますし、その後の交流も円滑に進むでしょう。

 何もよいしょするだけがオフ対戦ではありません。SNSで呟くと悪口なのか凹んでるのか冗談なのか分かりにくい言葉があったとします。それすらも、相手に笑いながら言ったり、オーバーなリアクションと共に言ったりすることで、相手に不快感や余計な気遣いをさせずに済ますことが出来るでしょう。ネガティブな言葉も、オフ対戦なら誤解なく笑いに変えてくれるのです。

 最近ではDiscordなどで通話しながら対戦を行っている方も多いと思います。ですが、通話しながら対戦する相手とは、大概決まった相手ではありませんか? 

 オフ対戦では全てのプレイヤーと顔を合わせながら対戦します。SNSで知り合っただけの人との距離を縮め、新たな関係を築く一歩を踏み出しやすいのもオフの良いところだと僕は感じます。


5.動かなければ始まらない


 上達も出来る、ライバルが見つかるかもしれない、人間関係も広げれる、身内と楽しく対戦も出来ちゃう。良いとこだらけのオフ対戦会ですが「じゃあ行くだけで楽しいですか?」こう質問されたとき、僕は一概に首を縦に振ることは出来ません。

 優しい上級者は上手くなり方を教えてくれます。ですが、待っているだけで勝手に教えてくれるのを期待してはいけません。あなたがアドバイスを求めることで、上級者の方は教えてくれるのです。

 実力が同じくらいのライバルが近所の対戦会にいるかもしれません。ですが、そこで対戦待ちをしてるだけでは見つからないかもしれません。あなたが色んな方に対戦を申し込むことで、ライバルが見つかるのです。

 Twitterでの知り合いと対戦会で会えるかもしれません。ですが、そこで対戦をしたからといって距離が近づくとは限りません。対戦は切っ掛けに過ぎず、あなたがコミュニケーションを取ることで、相手と仲良くなれるのです。

 友達と行けば、その友達と対戦してる間は楽しいかもしれません。ですが、その友達が別の相手と対戦している間はどうしますか。ぼんやりと友達の対戦を見るのもいいでしょう。スマホを弄って時間を潰すのも手でしょう。オフ対戦会では色んなことが出来ます。別にしたくもないことを無理にする必要はありません。何をするのか、何をしないのか、最終的に動くのは"あなた"なのです。


6.最後に


 対戦会とは、当たり前ですが色んな人が対戦をしていて、色んな対戦が行われています。上級者同士であったり、初心者同士であったり、本気の対戦であったり、笑いながらの対戦であったり。

 それは時に自分の求めているものと違うものかもしれません。

 真剣にやろうとしている時、冗談混じりにプレイされて肩透かしに合うかもしれません。

 笑いながらプレイしたい時、ガッチガチの雰囲気で息苦しい対戦になるかもしれません。

 近場のオフ対戦会に求めているものが無かったのなら、オンラインに隠りきってもいいでしょう。

 僕はオフ対戦が好きです。それは僕の"結果"なのでしょう。

 これを読んでいるあなたの"結果"はどうでしょう。

もし結果が出る前に敬遠してしまっているのであれば、一度くらい試してみるのも悪くないかもしれません。


 最後になりましたが、素敵な企画を発案してくださったダイソンさん、とある僕の失敗談を綴るかどうかの助言をくれたTさん、そしてここまで読んで下さった読者の皆様に感謝を。

 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。