読唱法・余韻の呼吸~弐の型「い」

性懲りもなく世間のネタを引っ張ってみる。

さて、前回は余韻「あ」の音で伸ばす時の自分のことについて語りましたが、今回は「い」の音について自分のことを振り返ってみたいと思います。

個人的に「い」の音に関しては「いかにキレイに出せるか」ということが永遠の課題という気がしている音です。と思うのはなぜかというと、5つの母音の中で一番響かせるのが苦手と感じるから。
他の音に比べたら口の中の縦の空間が狭い・・・横に広げるんだから当たり前なんだけどとにかく狭くなるので、「あ」みたいに考えなしにガッと音を出せないから、何となくの苦手意識を持っているところがあるわけです。

もちろん、響かせることができないという訳ではないのですけど、響かせる場所の問題と言いますかね。「あ」を発するときは軟口蓋にぶつけていくような感じで出していれば勝手に響くのだけど、「い」でそれをやるとノドにリキみが出てしまうから、イメージ的には前に出しながらぶつける感じ(歯茎部に向けている)で出すわけですね。
そうすると、歯茎~歯がめっちゃ振動するんですけど、口を横に引っ張りすぎて発音中にうっかり上下の歯と歯がちょっと触れちゃうときがあって、それがものすんごいビリッとくるんですよ。口の開き方へたくそか!
というわけで、発声時に一番「気を付けなきゃ度」が高いと思っているのが「い」の音な訳です。

と、ただでさえ神経使うのに、実は余韻で伸ばす母音の中で一番多いんですよ!「い」が!!何とまさかの100首+序歌=101首のうち、最後の音を「い」で引っ張るのは29首。およそ1/3が「い」なんですねコレが。
内訳としては、「けり」8首・「しき」「なし」各3首・「なくに」「なり」「まに」各2首・「さじ」「せき」「なみ」「べき」「まし」「めり」「もり」「ゆき」「ろぎ」各1首で合計29首。「けり」あたりは多い印象ありますけど、「しき」なんてそんなあるか?と思いましたが「人の恋しき」「今は恋しき」「秋は悲しき」と案外しきしきしてました。

で、余韻の時に何が難しいかって、「あ」みたいな大きさで音が出てこないことなんですね。「い」の波形がドカーンと大きくなることは無くて、振れ幅は大体小さいわけです。小さめのところからフェードアウトさせていくって結構難儀だなと思うんですね(※個人の感想です)
大きいものを小さく絞るのはある意味分かりやすい形だけど、小さめのところから小さくしていく加減がなかなか出来ない。上手にフェードアウトできると細長く鋭角な波形になってくれるのですが、そこのところ下手くそマンなので、同じ厚さのままビーッと引っ張られてブチッと切れちゃうような形で余韻が終わってて美しくないのですよ。

一番最悪なのが、フェードアウト中に音が切れちゃうパターン。2.7,8秒あたりで音切れしちゃって「ぎゃあああああ」と心の中で悲鳴を上げつつ、3.0秒くらい伸ばしたつもりでしれっと1秒間を取ると「異様に間が長い・・・?」と思われちゃうかもしれないし、かといって音が切れた瞬間に慌てて1秒の間を入れると「えっ!もう!?」みたいなタイミングになっちゃう。
どっちにしても、それじゃ選手が良いパフォーマンスを発揮できるような余韻&間にはならないので、そんな事案はできるだけ起きないようにしたい所ですね・・・(苦笑)

そんなわけで、今後もしっかり頑張りたいと思う「い」の音でした。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?