公認読手体験記~未公認の部第2話

初めての読手講習会に出てから、2年の月日が流れました。
日常にただ埋没する日々を送っていた私が、やっと本当に公認読手を目指そうと思う出来事が訪れます。それは、支部管内で行われた読手講習会のことでした。

あぁ、読手講習会が近場であるのか、しかも気にかけてくださっている先生が講師だなぁ、じゃあ物見遊山で行ってみよう

と思った私は、参加だけすることにしました。
この頃は会の中で練習の際に読むくらいのものでしたし、読手になるために頑張ろう、というよりは、まず選手を育てていかなきゃ、自分がまず選手として強くならなきゃ、ということばかり考えてたので、読みの録音を送るなんて自信も無く、本当にただの参加者として申し込みをしました。

講習会当日、専任読手の先生にお会いしてまず言われたのが「何で録音送って寄越さないの(怒)」でした。色々言い訳したりとかしていたのですが「講習会でどうやって引きずり出そうかな~」と言われたので、何をされるのやら、ビクビクしながら講習会に臨むことになります。
しかし講習会では録音を出した人の添削がメインになっていたので、私は「時間的にもそろそろ終わるしなぁ」と楽観視し、完全に油断していました。
するとその時「最後にもう一人くらい誰か読んでみないかな~?」
目をそらす私・・・でもこれ、手を挙げなかったら殺されるやつだよね?と思ったので、よく分からない使命感に駆られて、仕方なく手を挙げたのであります。

読みは3首。読み札が並べてあるので、その中から選んで読んで良い事になっていたのですが
「あ、読み札は『いまこ』と『あけ』と『おく』ね」
と指定されてしまいました。どうやら選択権などは無いようです。

この日のテーマは「一音目を強く発音しすぎないようにしましょう」
一音目が強すぎると、二音目がよく聞き取れません。バランスよく出していくことが大事です。
わざわざ「いまこ・あけ・おく」を選ばせたという事は、おそらく私にとってこれらに何かがあるということ。私はどちらかといえば一音目を強く出してしまう方だったので「きっとこの3つは特に強く出るものなんだろう」と警戒しながら読みに臨みましたが・・・

「難波津にー」
「ストップ」

ダメ出しです。序歌5文字でダメ出しです。

「読みが早い」
「・・・・・・難波津にー」
「だから早いって言ってるでしょ」

何という事でしょう、序歌5文字から進んでいません。
この時点で私の中ではパニックになります。
「えっ、ちょっと待って、まだ5文字しか読んでないのにダメ出し!?うそでしょ!?早い!?えっ!?ゆっくり読まなきゃいけないよね!?ゆっくり読む・・・ゆっくり・・・」
と混乱しながら思ってるこの時点で、最初の警戒はスポーンと頭から抜けてしまいました。

けぬればー」

やりました。やってしまいました。
一音目、ガッツリ行きました。
ますます動揺してしまった上に、クセなんてものはその場でサッと直せるものではありません。

まこんとー」
くやまにー」

全部、OUT~!(デデーン)
キレイにやらかしました。
あーもう、一音目警戒してたというのに、これはもう明らかにダメなやつじゃないか・・・としょんぼりしながら礼をしたら、ニコニコしながら指摘する専任読手の先生。

「今日ず~~~っと講習の中で『一音目は強く発音しないようにしましょう』って言ってきたのに、なぁ~んにも聞いてないんだから~」
「ち、違うんです違うんです;;」

何が違うんだか分かりませんが、とっさに答えた私。すると・・・

「そうだよね、だって今読みながら『しまった』って顔していたもん。・・・っていうことを、失敗しないと直せないでしょう。でも、今分かったよね。分かったら今度は直せるでしょう。せっかくなんだからさ、公認目指してちゃんと頑張ってみなさいよ」

この時、ようやく「今度こそ本気で公認読手を目指して頑張ってみたい」と思えたのです(単純)

会に帰った時に相談をしたら「みんなにかるた楽しんで取り組んでもらいたいっていつも言ってるけど『みんな』の中にいっつも自分を入れてないじゃない。自分がやりたいこともやりなよ。それで『みんなで』楽しくかるたに取り組んでいこうよ」と後押しをしてもらい、やっと本当に公認読手になるための練習を始めることになったのです。

・・・が、ここから半年ほど、読手としての苦労が始まることになります。
続きは次回のお話で。

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