新読手テキスト私的対応

先日、新テキストになって初めての「読手講習会」がYouTubeにUPされましたね(「2020こうち総文 小倉百人一首かるた 読手講習会」より)
https://youtu.be/hRHlXZB59Ko

伸ばしの位置が変更になったりして混乱している読手の方もいらっしゃるかもしれませんが、私個人的には、実はそんなに気にしていません。
いや、気にしてないと言ったらウソになるんですが、何もかもが変わってしまったとかそういう特別なことでもなく「一部」変わった部分が出来たというくらいのものなので、あまり構えなくても良いのかなと楽観的に考えているだけです。

と、いうのは。
「本当の意味で伸ばしが変わった歌は何首あるのか」ということです。
明確に「こういう伸ばしにしましょう」という風に変わったものはどれか、旧テキストと見比べてみます。
まずは上の句の三句目の伸ばしが変更になったものから。三句目については、どうやら「○○○○ー○ー」という風に伸ばすのが主流になったようですが、明確に「こう読みなさい」と変更された歌は以下の通り。

む・つき・しら・もも・ちぎりお・ひさ・ひとも・これ・わすら・なにはが
の10首については、旧テキストでは「こっちで読んでもいいですよ」となっていた方がメインになりました。
つまり、「今この瞬間に突然生まれたような新しい伸ばし方というほどのことでは無い」ということなわけです。実際、ありあけ等で聞いてみると、元々こちらで読んでいる専任読手の先生もいらっしゃいます。

そして、新テキストによれば「三句目を必ず二字前で伸ばす(○○○ー○○ー)歌」は「わがい・よのなかは・よのなかよ」の3首、「一字前でも二字前でも伸ばして良い歌」は合計22首、とあります。

実際の所、旧テキストはどうだったのでしょうか。 
旧テキストで三句目の伸ばしが二字前(○○○ー○○ーの形)になっていた歌は35首です。・・・と、いうことはですよ。
先に「明確に変更になった歌は10首」と記載しました。そして新テキストで「必ず二字前で伸ばす歌が3首」+「ニ字前で伸ばしても良い歌は22首」=「合計25首」です。

ということはつまり、三句目については変更になった10首だけ気を付けておけば良くない?

と、私は思ったわけです。そう思って10首だけ狂ったように読み続けて、ある程度読めるようになりました。でも習慣とは恐ろしいもので、時々ふと前の形の読みが口に出そうになるので、まだ自然に出せてるとは言えず、もう少し練習が必要だなと感じています。

元々読手をしている方には違和感バリバリという方もいらっしゃると思いますが、これから読手をやってみようという方は逆にあんまり難しく考えないで新テキストを覚えていけば良いと思いますし、迷ったらとりあえず「○○○○ー○ー」という形で読んでおけばいいというお話になります。必ず二字前で読みなさいと指定された「わがい・よのなかは・よのなかよ」だけ気を付けていきたい所です。

もちろん、変更はその10首だけではありません。
上の句については、二句目が変更なった歌もあります。

よのなかよ:「つねに-もがもなー」→「つねにもがもなー・・・」
おおこ:「たえてし-なくばー」→「たえてしなくばー・・・」
この2首については元々旧テキストには無い変更です。
ただ、二句目で途中に伸ばしが入るのはこの2首だけだったので、二句目は全部同じになったと考えるようにしていけば良いのかなと思っています。
若干伸ばしが入る感じ、地味に好きだったんですけどね(個人の感想です)

最後に、下の句の変更。変わった歌は以下の通りです。

ちは:「からくれないにー」→「から-くれないにー」
ちぎりき:「すえのまつやまー」→「すえの-まつやまー」
この2首が大きな変更で、それぞれ軽い伸ばしが入りました。
個人的には「から-くれないにー」の方がまだ慣れてないせいか少しぎこちないです。「すえの-まつやまー」の方はもう少し自然に読めているような気もするのですが、この辺ももう少し練習かなと思っています。

まとめると・・・

【上の句三句目の明確な変更】
む・つき・しら・もも・ちぎりお・ひさ・ひとも・これ・わすら・なにはが

【上の句二句目の明確な変更】
よのなかは・おおこ

【下の句の明確な変更】
ちは・ちぎりき

の合計14首です。これだけを集中して練習すれば後は今まで通りに読んでもそんなに支障は無さそうかな、というのが私見です。「ち」に関しては3枚とも変更が入りましたので、読み札を引いた時に思い出せるようにしておけば良いと思います。

最後に、「4-3-1-5方式」から「5-3-1-6方式」に変わった件について。
「下の句4秒台→下の句5秒程度」
「上の句5秒台→上の句6秒程度」

と、表現が異なっています。要約すると「今までとそんな変わりないけどゆったり読めばいいと思うよ」ということになるかと思います。かといって余裕ぶっこいてゆったり読みすぎると、うっかり上の句が6.7秒とかになるので、あまり冗長にならない程度に読もうかなという感じです。
個人的には「読みが早め」と言われがちだったので、こういうタイムを意識することで少し余裕持った読みをしていけばいいかなと考えています。
今までゆったり気味だったという人は、そんなに変えなくても問題は無いと思います。私みたいに生き急いだ読みをしている人は、気の持ち方を変えると丁度良さそうです。

以上、新テキストに対する私の個人的な対応について書いていきました。
お気づきの点、不足などがあればお知らせください。

お付き合いいただき、ありがとうございました。

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