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深夜三条京阪

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あさはかでうすい→トワイライト→深淵→アンチテーゼ(new!)
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#小説

あさはかでうすい

物事の全体像は常にピラミッド構造になっている。初めは皆底辺からはじまって、もちろんこの層が最も多い。その事柄につき深く踏み込んでいき熟練度が上がるにつれ、人数の少なくなる上の層に足を踏み入れるが、この層においてはまた底辺からのスタートとなる。その層においてトップを取って気持ちよくなったとしても、上の層に足を踏み入れることでまた底辺の気持ちを味わい、上には上がいるということを嫌というほど体に染み込まされ、必然的な挫折を経験することとなる。この恐怖で人は挑戦をやめ、自分のいる層の

トワイライト

顔がよし、背よし、ノリよし、加えてカリスマ性があって、女はもちろん、男も皆、彼のことを好いていた。それでも自分のポテンシャルに胡坐をかいて適当に女で遊びまくることもなく、決して誰にも調子に乗った発言をぶつけることもなくちょうどいい距離感を保っていて、その他人や人生に対するほどよい無頓着さに皆また惹かれていった。 彼と飲み会でたまたま隣の席になった。 綺麗なEライン上の唇から発される、心地よい低さの声とスピード、不快さを一切与えない抑揚。目を伏せたときの長い睫毛が、目をあげたと

深淵

 お前に出会ったのは内定先の懇親会だった。高身長で筋肉質、爽やかな顔に話しかけやすいいかにも好青年な雰囲気を纏っており、グループの女だけでなく男からもすぐに好かれた。見た目がよく愛想のよい人が多い総合商社の内定者の中でも、お前は特に周りからの印象が良かった。慶應の体育会、御三家からの東大卒など綺麗な経歴を持つ人たちは話もうまく愛想もよく、しかし根底から滲み出る自信というものを感じる度に胸焼けがし、まあこういう人が多いだろうと想像の範疇だったしなんとなく興味がわかなかった。それ