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「有意義な時間の使い方」という考え方に苦しめられていた大学生の頃の私へ

 今回は時間についての話です。私は、暇な時間があると今でも時折無性に焦ることがあります。(周りからはのんびりしているように見えると思うのですが、実は焦燥に駆られているのです。)

「このままではいけない。時間があるなら○○(※別に急ぎの用事ではありません)をやらなければ。今の時間をもっと有効に使わなければ。」と思えてしまい"今"に満足できないのです。

 これはある意味とても立派な考え方なのかもしれませんが、最近になってようやく私は、この考え方こそが私を苦しめてきたことに気づきました。

この思考が強過ぎてしまうと、「今の自分のままではいけない。時間があるならもっと違う自分にならなければ。良い方へ変わる努力をしなければ。」そんな風に思い気持ちが休まりません。時間があるのに努力を怠っている気がして、ただのんびりと休むことに罪悪感すら抱いてしまいます。

私の場合、さらに「誰かに怒られる……!」という思いに襲われるのです。別に暇な時間に私が何をしようと誰にも迷惑をかけていないのに、そして別に何もおかしなことをしている訳でもないのに「世間から見て"まっとう"なことをしていなければ誰かに怒られる。」と思ってしまうのです。誰に?

"まっとう"なことというのは一言で表すと"自己研鑚に励む"ことです。「ダラダラと休むのはいけないこと。誰に見られても恥ずかしくない時間の使い方をするべきだ。」と、私を否定する言葉が私を責めてきます。

常に自分を高め磨き続け、余暇も自己研鑚に充て、誰が見ても"隙の無い充実した"生活を送らなければならないという、強迫観念にも似た思考です。目に見えない何者かからの圧力に苦しくなります。

しかし、何者とは一体誰なのでしょうか。私は何と戦っているのでしょうか。その時々の自分の心に従って生きるよりも、時間を有意義に使って自己研鑚に励み続けることの方が大事なのでしょうか。自分のためになる(自分の心を満たす)時間こそ、有意義と言えるはずなのに。

そして「有意義なことが何もできなかった。」と感じた日は、そのことを悔い自分をダメな奴だと心の中で罵りながら一日を終えていくのです。今日も時間を無駄にした、と。……何て惨め! 

そもそも有意義な時間の使い方とはどんなものなのでしょうか。

「時間を有意義に使うべき。例えば本をたくさん読むとか、旅行をして見聞を広めるとか、美術館や博物館で本物に触れるとか。」

他にも運動をしたり、料理をしたり、自己研鑽、自己研鑽……。

自分の力を伸ばすために様々な経験を積むことが大事なのは分かります。今挙げた例はどれも魅力的なことです。ですが正直、私が心からやってみたいと思うものとこれらはちょっと異なるのです。

上記の例はどれも有意義な時間の使い方にあたると思うのですが、私が本当にしたいことと、「しておいた方がいいこと(上記に挙げた、時間を有意義に使う行動の数々)」が微妙に違うのです。上手く伝わりますでしょうか。

自分の好きなことをしていいのが自由時間のはずですが、「しておいた方がいいこと」を優先しなければ、と思ってしまうのです。故に、「時間があるのに美術館へ行かない自分はダメな奴だ。」とか「旅行の計画もせず家にいるだけの私は時間を無駄にしている。」とか、極端な思考に陥るのです。

 時間がたくさんあった大学生の頃、私は有意義な時間の使い方ができない自分を責めていました。今なら、「そんなこと考えている暇があったら、毎日浴びるほど好きな漫画を読んだり大好きなラーメンを食べ歩いたりすればよかったのに。」と思えます。(毎日がそんな生活ではいけないと思いますが。笑)

自分の時間なんだから好きにさせてよ! 時間を有意義に使うことばかりを重要視していたら(実際には行動に移しきれていないものも多いけど)、自分の好きなことをするのに罪悪感を抱くようになったよ! そもそも私の好きなことって何だっけ?! 

私の心の叫びです。大学生の頃、私は毎日をそれなりに楽しんでいましたが、自由な時間に自分は何をしたいのかイマイチ分からなかったのです。あぁ、大学生にもなって……!

最も有意義な時間とは、自分が幸せを感じる時間のことだと思うのです。これ、最近になってようやく分かったことです。

「○○した方が有意義みたいだから私も……。」という考え方では、自分を幸せにするのは難しいと思います。自分が幸せを感じる瞬間がたくさんあってこそ、充実した生き方ができるのだと思います。

「何によって幸せを感じるかは人それぞれ。だから有意義な時間の使い方というのも人それぞれ。」

そんな簡単なことをこの歳になるまで分からなかった私が、大学生だった頃の私に「もっと自由でいいんだよ。」と声を掛けてあげたくなって、この度思いを綴ってみました。

私の人生、私の好きに使わせていただきます。

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