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8 笛の二重奏がしたい ~その2

ちがう笛で協和する音を出す

前述の合奏法は、長さのちがう笛で相対ドレミ吹きをした時、同一の音を鳴らす方法です。音を合わせると言った時、同一の音を鳴らすこととは別に協和する音を鳴らすということもあります。
長さのちがう笛で同じ楽譜を吹いた時、音程はずれていてもそれぞれの音が協和して美しく聴こえるということです。ここではどの笛とどの笛が協和するかを見つけます。二つの音が心地よく響く(協和する、ハモる)のは、一番は同一の音程とオクターブのちがいの音程、その次は完全4度と完全5度の音程とされていて、ある程度協和するのが、長3度、短3度とされています。これは、音と音との離れ具合によって、協和のし方がちがうということです。同一の音とオクターブの音は良いとして、次の完全4度、5度や長短3度は音程の開きからすれば前者が2音半と3音半(逆からは2音半)、後者は、1音半と2音です。すなわち残る半音と1音は2つの音が接近しすぎていて、協和しないということです。これを半音記号の少ない管種だけを
取り出して並べ、その音程差を見てみます。

           C~F~G管との協和性

その管種の両隣とは1音差で不協和となり、その次の両隣とは1音半と2音である程度の協和となり、両端は2音半で協和となります。
これを表にしてみました。
              

表3-協和する笛

表の見方:
たてを列、よこを行とします。最左列から自分の持つ笛を選び出し、そこから右へ見て行き協和する〇印を見つけ、そこから上へ見て最上行に相手の笛の管種があります。例えば、自分の持つ笛がF管なら、最左列からFを選び右へ見て行くと、〇△×〇×△〇と並んでいますが、×は除いて、△もここでは除くことにして、〇印だけを選び、上を見ると、CとFとB♭があり、これが協和する相手の笛の管種になります。

―閑話ー

祭笛の協和
祭笛の注文を受けた時、使われている笛を調べて、調子を決めようとしたのですが、古くから買い替えたり、買い足したりしているため、色んな篠笛や明笛があって、調子も様々でした。結局一番多かったC管にしたのですが、B管もD管もあって、これも一緒に使われます。獅子舞いや御輿まわしの時に子供たちが吹くのですが、BやDが鳴っても半音や1音のずれは気になりません。むしろそのずれが、御輿まわしの時には力強い喧噪を、獅子舞いの時には悲哀感を醸し出し、祭の雰囲気を大いに盛り上げます。日本の祭には、美しい協和音は似合わないようです。