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コンポーネントとしてのプラ板

プラ板って懐かしい響き〜子どもの遊びね〜と思っていたら大間違い。
意外にも優秀なボードゲームコンポーネントだったので私の浅い知識でご紹介したいと思います。
大量ロットじゃないとなかなかオリジナルコンポーネントを作るの難しいよね〜って時の、一つの選択肢になればと思います。

つーてもプラ板じゃろ、という方には、まず私が「え?プラ板ってこんなものも作れるの???」と目玉が飛び出た作品をご覧いただきまして・・・


プラ板で作れるもの

プラ板といえば透明なプラスチック板にマジックで絵を描いて、好きな形に切って、トースターで焼くと縮んで固くなる、くらいのイメージでいましたが、今はご家庭のインクジェットプリンタで印刷できるタイプのプラ板が売っています。

お試し用には100円ショップでハガキサイズのものがありますし、本番用にはコスパと作業効率のいいA4サイズのものもあります。なお、購入の際は「インクジェットで印刷できるタイプ」かどうかよく確かめてください(自分が失敗したので)。

ダイソーさんのハガキサイズ(白)

プリントプラ板(A4・白)

セリアさんにも白と半透明があるそうです

インクジェットプリンタで作れるものなら手描きしなくていいのでそこそこ均一なものが作れます。
ただし、プラ板の切断や焼き作業は手作業になるので個体差が発生しやすく、均一性が必要なもの(裏返しの状態で区別がつくとゲーム性が損なわれるなど)には使用しないほうがいいと思われます。

形は手作業で切ることと、焼いて縮むことを踏まえると複雑すぎる形状は難しいかもしれませんが、木ゴマでできる程度の形状は可能と思われます。

工程1:データ作成

①大きさ
プラ板は焼くと縮みます。縮む率は商品によって違うようで、パッケージに書いてあったりします。
ちなみに上で紹介したA4サイズの場合はパッケージに「約1/5に縮むよ!」と書いてありましたが、これは面積比のようでした。サイズ的には1/√5 =44.7% 程度になると考えればいいと思います。試してみてください。
* 伸縮率に関して参考になる動画はこちら

②色
プラ板は焼くと色が濃くなりますので、データ作成時には好みの色より薄めに作っておく必要があります。これは多分ご自身で試行錯誤すべきところかもしれませんが、私はIllustratorで欲しい色で作ったデータの上に白・不透明度27%のレイヤーを重ねたのが一番いい感じにできました。

③切り取り線
後の工程でプラ板を切ることになりますが、この時の切り取り線を薄く細く入れておくと切るときに楽だと思います。薄く細くしておけば焼いた時は十分見えなくなります。
とはいえ薄く細くしすぎるといざ切る時に見えなくてストレスなので、その辺はいい感じの匙加減で…

工程2:印刷

インクジェットで印刷するタイプのプラ板は、プラスチック板の表面に白い膜が貼ってある構造になっています。
このまま印刷すると、この白い膜がインクジェットプリンタの紙送りローラーに引っかかって、とても剥がれやすいです。もし印刷部分が剥がれるとプラ板側は使えなくなりますし、そうでなくても剥がれた膜はプリンタ内で悪さをします。(ローラーに張り付いたり、内部に散乱したり)

端の剥がれたシート。剥がれたカスはプリンタ側に貼り付くことも。

対策は、プラ板の端をマスキングテープで保護することです。これだけで問題なく印刷ができるようになりますのでちょっとだけ手間ですが、絶対にやってください。私はこれを知らずに印刷し続けてプリンタが動かなくなり、泣きながら中身を清掃する羽目になりました。
(なお、このテクニックは師匠の橙華堂さんから教えて頂きました。感謝…)

工程3: 乾燥

印刷したプラ板は、よく乾燥させてください。印刷したばかりの面は他のものにくっつきやすく、くっつくと印刷がよれたり剥がれたりします。
私は場所節約のために、洗濯干し用のピンチに干していました。

乾燥時間は実験していないのですが、1晩〜1日くらいで十分かと思います。乾いてからも重ねると汚れたりしやすいので、できる限り重ねないで置いたり、きれいな紙を挟んだりしておくといいと思います。

工程4: 切る

普通のハサミを使って切れます。
工程1の③で述べたとおり、あらかじめ切り取り線を印刷しておくと、さくさく進みます。

あと、ずっと切っているとそれなりに疲れるので、持ちやすい小回り効く中では大きめのハサミの方が楽でした。タミヤのハサミのおすすめという情報もあるみたいなのでご興味ある方は見てみてください。
ちなみにボードゲームは人がたくさん触るものなので、鋭角のものを作ると危ないかなと思います。鋭角のものは焼いた後も痛いので、角を丸く切っておくか焼いた後にヤスリをかけたほうが良さそうです。

なお、十分乾燥させてあっても焼く前の印刷面はデリケートなので、印刷面が強く擦れたりしないようにご注意ください。(これも失敗しました)

工程5:焼く

トースターが早くて綺麗に焼けると思いますが、我が家はポップアップタイプのトースターなのでオーブンレンジのオーブンでやりました。
後述のとおりトースターの方が楽で早いと思いますので、お手持ちの機械とか投資可能額とかで考えられたらいいと思います。トースターも安いのは2000円くらいで買えますからね。

焼く工程でいろいろ失敗して学んだのは、温度が一定の方がうまく焼けるということです。その意味で、庫内の広さに比して電熱部の面積が広く、温度が上がりやすいトースターは優秀だと思います。
オーブンを使う場合には空気の温度で焼くので温まりにくく、プラ板の出し入れで冷たい空気が入るとすぐに温度が下がるので不安定になりやすいです。私はトースターで焼いたことがないのでその辺は別途調べていただくとして、オーブンを使う場合にやった工夫を少し。

①温度と焼き時間
基本的に160℃~170℃で1分半で焼きました。焼き時間が30分を超えてくると不安定になる感じがしたので、そこからは焼き時間を2分に延長すると不良率が改善しました。

②出し入れ時間の短縮
出し入れで庫内温度が下がると不安定になるので、最速で出し入れできるように工夫しました。
・各プラ板をクッキングシートで包んでトングで取り出す。
→ これにより、プラ板が掴めなくてワタワタすることがなくなります
・出し入れ係と受け取るって抑える(工程6)係を別にする。

キッチンペーパーで包んだプラ板

③まるまり抑制
焼いているプラ板は各部の温度上昇のムラから一旦湾曲してその後平らに戻るのですが、焼きの失敗例のほとんどは丸まった状態から平らに戻り切らないものでした。
そこで、(②の対策にもなっている)袋状にしたクッキングシートで包むことで丸まりすぎることを抑えて不良品率を下げました。
正直これがどのくらい効いているかは未知数ですが、一応ご紹介まで。

平らにならなかったパン

工程6: 押さえる

焼き上がったプラ板は熱いうちに押さえてきちんと平らにします。冷めると固まってしまうので、さっとやる必要があります。
そんなに力は要りません。むしろ厚い本とかを上から置くだけの方がいいという説も聞きました。

熱いプラ板と接触するので抑える材質によっては変色したりするかもしれません。大事なものは避けましょう。(私は本の表紙に跡をつけてしまったので…)

おしまい

もうちょっと写真があったらよかったですが…すみません。何かしらのお役に立てば幸いです。

最後にお時間あれば、この製法で我が子が作ったプラ板コンポーネントを見てやってください。

ゲームはこちら:ドキドキッチン?!