トニー賞授賞式2003まとめ

複数ページに分かれていたものを1ページにまとめました。

NHKコードに引っかかったトニー賞授賞式2003

 久々の「生放送でない」トニー賞授賞式。内容を把握するのにはやっぱ字幕に限る。けれど、残念ながら今年のCM時間(?)はBW周辺情報一切なし。で、日本人のインタビューだけ。なんでこんなの入れるのかなぁ(怒)
 そして、私が注目していたスピーチは見事にカットされていた。
 以下引用。

 [ニューヨーク 9日 ロイター] 8日夜に行われた第57回トニー賞の授賞式は、同性愛者が登場する作品が主要部門で賞をさらい、米演劇界の同性愛者にとって祝福すべき一夜となった。
 公私ともにパートナーであるマーク・シャイマンとスコット・ウィットマンは、ロックミュージカル「ヘアスプレー」でオリジナル楽曲賞を受賞。
 シャイマンは受賞スピーチで「ぼくらは結婚を許されない仲だけど、一生一緒に暮らしたい」と宣言し、ウィットマンとキスを交わした。
 また、「Take Me Out」で同性愛者の会計士役を演じ、助演男優賞をさらったデニス・オハラは、今回の授賞式で同性愛がこれほど肯定されていることに驚きを表明。
 「ヘアスプレー」で主演男優賞に輝いたハーベイ・フィアスタインは、同性愛に寛容な演劇界の人々と共に活動できることを光栄に思う、と述べた。
 フィアスタインは20年前にも、同性愛がテーマの「トーチソング・トリロジー」の脚本・主演でトニー賞2部門を制している。(ロイター
/6月9日22時36分)

 私は見てみたかったんだけど、生放送でなかったのはNHKにとって幸いだったみたいだね。


 一番の楽しみであるパフォーマンスの観想はというと…最近は舞台熱が完全に冷め切っている状態なので、観たいぞ!と叫ぶほど楽しめなかったなぁ。つーか、「特に観想なし」というパフォーマンスが半分(泣)。
「ヘアスプレー」が人気ある作品だというのは納得。とても楽しげで、日本でも翻訳上演しそうだなぁと一瞬思ったけれど、人種差別の問題とかも描かれている作品なので日本人onlyでの上演が難しいことを忘れていた。来日は?とも思ったけれど、ほぼ単一民族の日本で上演しても意味が無い気がする。
「ムービン・アウト」の、こーいうキビキビしたダンスは好き。だけれどビリー・ジョエルの曲なんてほとんど知らないし、台詞なしのこのダンスだけで2時間近く椅子に縛られるのは辛いかも。
「ラ・ボエーム」…WOWOWで放送された舞台中継、まだ見てないや(^^;
でも…うーん、苦手な作品、かもなぁ。元々オペラ調が苦手だし。それにバス・ラーマンはビンセント・ミネリと同じで「天鳶絨の作家(作風)」だと思う。「天鳶絨の作家」の作品は素晴らしいものが多いけれど、私にとってはNO.1にならないという直感があって(「バンド・ワゴン」も私にとってのアステアのベストではないし)…抽象的すぎる説明で誰も判らんなぁ、きっと(笑)
(じゃあアステアのベストは何だと聞かれても答えられないんだけど)
「ジプシー」。映画でいいから一度通して見てみたい作品ではある(「ジェローム・ロビンス・ブロードウェイ」でのシーンはコミカルで面白かった)。でも、今回の""ROSE'S TURN""を見ても、バーナデット・ピータースの舞台を観たいとまでは思わなかった。それよりもエセル・マーマン! 「アイ・ガット・マーマン」の中で同じ曲を諏訪マリーが歌うシーンがこの舞台のハイライトであり、一番印象深いシーンなのだけれど、そのマリーさんとバーナデットの演技が(ソロ曲で、感情の高ぶりがそのまま詩になっているとはいえ)似ているなと思った。「~マーマン」は「ジプシー」と同一作品ではないけれど、「~マーマン」のそのシーンは「ジプシー」から引用している。そして「~マーマン」は「ジプシー」のオリジナルキャストであるエセル・マーマンの人生をなぞる作品だ。このことから、二つの作品は別個のものだけれど、マリーさんは作品の質から当然としても、リバイバルで自由に演技が出来る立場であるはずのバーナデットも、エセル・マーマンの演技に強い影響を受けているんじゃないかなぁ。ってことで、マーマンの偉大さを感じた一瞬でした。

 その他、司会のあんちゃんがカッコイイとか、「お姫様」サラ・ジェシカ・パーカーがお母さんになっててビックリとか色々ありますが、まぁ大きな観想はこんなものでした。

(初出:2003年6月16日)

「2003トニー賞授賞式の完全版オンエアを観せてくれ!運動」について

 この6月16日付けの感想をご覧になったミソッパさんが、ミュージカル楽曲賞とミュージカル脚本賞の受賞者であるマーク・シャイマンとスコット・ウィットマンのスピーチが放送されないのはおかしいとして、当時運営していたサイトでNHKにノーカット完全版のリクエストキャンペーンを開始されました。
 これを受け、私もNHKにノーカット版放送のリクエストを送りました。(本来ならばここに当時書いたNHKへのリクエストメッセージを貼り付けたいのですがそのデータが見つからず……)

 他にも何人かの方がこのキャンペーンに賛同し、NHKにリクエストを送ってくださった結果、NHKは9月15日深夜のノーカット字幕版の放送を決定しました。

ノーカット版トニー賞授賞式2003

 夜中に放送された分を朝から見ております。
 とりあえず、最初の20分の感想。

 私は気がつかなかった脚本賞と、放送からカットされたことに気がついてここの日記でも書いた作詞作曲賞のスピーチがいっとう最初にあった。
 全体を見渡しても一番ノリノリで面白いスピーチじゃん、2つとも。これを放送からカットするなんて。
 そうそう思い出した。6月のカット版を見て、なんでこんなに「ヘアスプレー」ばっかり客席が乗ってるんだろうって不思議だったんだ。ノリのよい作品だから、という割には盛り上がりすぎだなって。
 今回の放送を見て謎が解けた。パフォーマンスの時に客席が大盛り上がりだった空気は、作品賞の最有力だからというだけではなく、実演の直前にあった「ヘアスプレー」関係者によるノリノリなスピーチからの一連の流れだったんだね。

 やっぱNHKのやったことは愚行だった。
 スピーチという授賞式の中で一番重要なものをカットするという意味でも、盛り上がっているショウの流れをぶった切るという意味でも、それが作品賞をとった注目作だったという意味でも、そしてその作品のテーマと照らし合わせてみても。

 書いている間に更に30分以上が経過。
 NHK側の編集が一切入っていない授賞式は、いたってシンプル。
 NHKが放送するときに挿入していた受賞作品の解説は、多少はあってもいいと思っていた。でも、実際に現地で放送されたママの状態のものを見てしまうと、それすら無用のような気がしてきた。日本人の無意味なインタビューは論外ね。
 現地に行けない人間としては、現地の情報も知りたいから、そういった挿入はありがたかったんだけど……NHKさん、これからは「前夜祭」と称して別番組として放送しませんか?(笑)

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 結局忙しくてきっちり見れてないんだけれど(^^;

 こまかーく、たっくさん切り刻まれていたのね。
 なんだか唐突に始まった「ロンドンの2人組」のパフォーマンスも、カットされていたインタビューがあって初めて理解できたよ。

 今回のを見ると、6月の放送分がいかに酷いものだったのかがよくわかる。
 ほんっと、NHKの暴挙。
 ちょっと前にフジテレビのバラエティで起こった、糞コントを何のためらいもなく垂れ流しする感覚に近いね。「悪いものを流す」「良いものを流さない」という逆の行為ではあるけれど、問題の根底は一緒。
 モノの本質の良し悪しを判別する能力がまったく出来ていない。

「単調」と「シンプル」は違うんだよっ!!

 こーんな糞達が創るTVなんて、もはや見る価値もない。
 糞達に牛耳られて糞番組を垂れ流しされ続けられては、ただ受け入れるだけの視聴者は哀れだ。

(初出:2003年9月16日)

 追記。
 亜門版「太平洋序曲」の製作がラウンダバウトというところだそうで、色々と調べてみると内外で実績ある良質な作品を、招聘というか引越しというか、とにかく「呼んで」手堅く上演するのを得意としているらしい。今回の亜門版も衣裳や装置は変わらないらしいので、言葉の問題以外、ほぼそのままの形での上演になるんだと思う。
 だけど現地採用の役者は、たまて役をちゃんと表現できるかな?

 おっとっと、脱線した。
 役者が変わる亜門版「太平洋序曲」がどれだけの出来になるか今の段階では未知数だけれど、トニー賞に絡んでくる可能性が全くないわけではない。となると、数年後の授賞式で亜門やワダ・エミさんや松井るみさんの姿が拝めるかもしれないわけで……
 ……というようなことを、今年の授賞式を見ながら考えてしまった。なんせラウンダバウトは「キャバレー」とか「リトル・ミー」とか「ナイン」とかでトニー賞の実績を残しているところなので、余計に、ね。

 トニー賞を受賞する事が全てではないけれど、数年後の授賞式で日本生まれ(?)のパフォーマンスが観られるかもとか、日系や現地育ちではない、日本で主に活動している日本人のスピーチが聞けるかもと考えると、今からワクワクしてしまう。
 先の長い夢物語だけどね(笑)

(初出:2003年9月17日)

やっぱり根が深いかもトニー賞2003

 週刊新潮9月25日号、つまり先週号の、林操という人のコラムが、高島忠夫の5年ぶりのTV復帰に絡んで、NHKをぶった切っている。

 曰く、高島パパの本格復帰となるはずだった番組『お宝映像クイズ 見ればナットク!』の放送予定は9月14日。その前の週にはちゃんと予告も流れていた。しかし当の14日、内容は急遽差し替えられ、高島パパ出演分は翌週21日の放送へとずれ込んだらしい(見ていないので実際に放送されたかは知らん)。
 問題なのは、その差し替えられた理由というか内容というのが、大河ドラマ「武蔵」の番宣だったこと(翌週が巌流島決戦という大ヤマだったのだ)。

[NHKの民放化はいまに始まったことじゃないが、いや、ここまで馬鹿で無様で恥知らずだったとは眼から鱗。(中略)前回予告まで打ったラインナップをあわてて組み変えるド素人級の仕切り、ブランク長い高島のカムバック番組と知りつつ、まともな説明もなく放送を延期する無神経。
 特に高島本人や鬱病患者、その関係者に対する配慮のなさは、もはや冷酷の域。]

 わたしゃ滅多にNHKなんか見ないから、14日の放送差し替えってのも、その内容が「武蔵」だったってのも、21日にホントに高島パパ出演分が放送されたかってことは見てないし知らないし、今の段階で確認する術もない。
だけど、カッコでくくった上の指摘部分って、6月のズタズタ授賞式の問題と通じるものがかなりあると思った。

 こりゃ徹底的に叩いていかなきゃ、来年のトニー賞もダメダメかもしれん。もう受信料払うのがバカバカしくなっちゃうねー(怒)

(初出:2003年9月22日)

トニー賞授賞式に関するNHKへの手紙2003年9月19日分

 15日深夜の放送を見て、6月の放送がいかに酷いものだったのかがよく判りました。
 字数制限のあるなか数ヶ月前の批判をしても仕方がないので、今後への要望です。
1)CMのカット以外、オリジナル映像に一切手を加えないで放送して欲しい
2)生中継・同時通訳ではなく、式の数日後でいいから字幕で放送して欲しい(同時通訳だと特にスピーチで誤訳が多いようだし、ネットが発達した今生中継である必要性はない)
3)今まで式と一緒に放送していた内容(式前後のパーティーの模様、BW情報やBW周辺情報など)は、関連番組として別枠で放送して欲しい

 6月放送分に対しての苦情は罪が多すぎて書ききれません。ともかく、「番組を作る人」としてのレベルを上げてください。

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