見出し画像

【散文】愛がなんだ

今泉力哉監督の「愛がなんだ」は強烈だった。

好きな男のために仕事に身が入らなくなりクビになるヒロインのテルコ。好きな男が、適当に「なりたい」と言った象の飼育員に本当になってしまうテルコ。お風呂で泡だらけになっていても、着信があれば電話に出る、テルコ。そこまでいくと、怖い。多分、怖いと思う人は多い。私は怖いとは思わないが。ただ、この映画を見た後は、好きというものがなんなのか、愛とはなんなのかよくわからなくなる。本当に。
どう考えてもおかしいのに頭が回らなくなって、信じたいことだけ、例えば耳触りが良くて都合のいい言葉だけを信じてしまうのはなんなんだろう。どう考えてもおかしいし、その「好き」に値するほど、その男は素晴らしい人間なのだろうか?多分違うのに。

落胆してみてはじめて、「こんなに期待していたのか」と驚くことがある。
ダメなものはダメなのに。ただ、必ずもう1人の自分が空中で俯瞰していて、大泣きしている自分を真顔でみている。

愛ってなんだろう。
後ろから抱きついた時に、損得勘定ゼロ、下心ゼロで
「このひと幸せになってくれたらいいな」と、ふと思ったことはある。
あれではなくて?正解はとくに、なさそう。

やれ清潔感、経済力だなんだといわれても、ニキビだらけでも歯並びが悪くても魅力のある人はいる。たぶん知性だと思っている。
人が自分にないものを求める生き物だとしたら、私が求めるのは知性だと思う。優しさとか外見とか経済力とかどうでもよくて、知性。と、品性。

人から見られている自分、ではない自分も存在する。
明るくないしつまらない。感情があまり表に出るタイプじゃない、と言われていた。数年前までは。夏々はあんまり感情が表に出るタイプじゃないから。そう言った百合子の顔を今でも覚えている。

ほんとうは百合子のことは、好きだった。
aikoが好きで、ずるくて賢くて、かわいかった。
仲良くなりたいと思っていた。
夏々、のふた文字に載せてくれた感情。感受性が素晴らしい子だった。

時々全てがどうでもよくなる、そんな時は正直しにたくなる。が、
痛そう、という理由でしんでいない。痛いのはいやだ。

書いたら満足したので終わろうと思う

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?