「ちいかわ」とミルクボーイの強烈な名詞センスの話〜コーンフレークとしるこサンド〜

2023/12/11更新されたちいかわにおいて、「いなりあげもち」という食べ物が登場した。
実在するローカル寄りな食べ物であり、それを販売する代表的な会社の通販サイトは人気のあまり鯖落ち。
ちいかわの圧倒的な人気を物語っている。

つい先日のいわゆる「セイレーン編」のエピソードでは、人魚をおびき寄せる餌として葉っぱちゃんがしるこサンドを地面に並べたシーンも話題になり、しるこサンドもまたそののち爆発的に売れたらしい。

ちいかわがキャラクター的人気があり、かつストーリーや狂気性が面白いことこの上ないのは今更だが、私はここで
ちいかわにおける名詞の選択センス
を褒め称えたい。

ここで名詞の選択センスと聞いて思い出したのが、かつてM-1グランプリを征したミルクボーイの「コーンフレーク」のネタである。
何かの番組で見た話だと、この
「オカンが何かを忘れた」
「ほな○○やろ」
のようなテンプレートは、爆発的ヒットの前から原型として出来ていたらしい。
あるとき、そのネタ内の名詞を「コーンフレーク」に変えた時に大ウケが取れるようになった。

こういっちゃなんだが、そもそも「コーンフレーク」という存在は面白い。

主食面してるけど、一番好きな食べ物がコーンフレークである人間なんていない(はず)。
また、コーンフレークのことを考えずに平気で人は2、3年くらい過ごす。
ポジションもなんか面白い。

そうしたセンスもあって、ミルクボーイのネタは漫才として非常に面白みを孕んだのだろう。

さてちいかわに話を戻すと、仮に人魚をおびき寄せる餌が「小魚」だったらどうだろう。「イカのくんせい」だったらどうだろう。
両者は爆発的に売れたりはしないことは想像に容易い。そりゃ固有名詞じゃないから…、というのもそうなのだが、敢えてあの場で固有名詞を選ぶナガノ先生のチョイスには脱帽である。

ちいかわ本編には、癒し系エピソードとも呼べる食べ物ネタがいくつかあるが、その中でも固有名詞を伴うものは選択センスが非常に高いと言えよう。

ミルクボーイの内海氏は同作の大ファンであることを公言しているが、こうした似通ったセンスのものが惹かれあったのだとしたら何か喜ばしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?