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10月1日に発した、僕の三言

オフをずっと独りで過ごしていた為
気づけば僕が今日人と話した言葉は

『コー、水で』

『それなら多分ナンプラーですね!』

『別のうぐいすパン持ってきましょうか?』

の三言でした。

昨晩大阪でミルクボーイさん主催デルマパンゲ、金属バット、ツートライブと言う渋面白い面々の『お笑いブーム』というライブにゲストで呼んでもらった。
打ち上げがあり、辞めた元同期の友達と会い。
ホテルに泊まって10時にチェックアウトした。

今日は丸一日オフ。
なんばの喫茶店でコーヒーを飲みながら、せっかく大阪にいるのだし何かして帰ろうと、今日一日する事を考えた。

だが、全く何も思いつかない。

知らない方もいると思うので説明しとくと、僕は18歳の時に大阪芸術大学に通いながら芸人活動を始め、大阪の劇場に所属して活動し十年間大阪に住んでいました。
現在活動している東京に越してきたのが五年前。

十年住んでた大阪でわざわざ観光したい所もない。

誰か大阪の後輩をランチに誘おうかと頭を巡らせる。

僕は後輩との交友関係は広く深くはなくと言った感じで。
当時の劇場メンバーの後輩で僕とご飯に行った事ない人は一人もいないという自信と一番お世話になった先輩は?という質問で森下さんと答える人も一人もいないという自負があります。

飯に誘う後輩に頭を巡らせるも、その距離感から五年経った関係性の風化具合と11時頃という絶妙な時間帯のせいで、誰もなんばに呼び出す勇気が出ませんでした。

それにホテルの朝食バイキングを9時過ぎに食べたのもあってせっかくご飯に誘っても、自分が無理して食べる感じになっちゃう。

逆にまだ行った事がない後輩はどうだ?と考え、大阪では全く面識ないが、東京出てから、何回か共演し楽屋で仲良くなったビスケットブラザーズの原田の存在を思い出す。

LINEも交換してるし、今度飯行こうと口約束を交わしてる。
今何してる?と書いて送信ボタンを押しかけた時、いや待て、最近決勝行ったし忙しいか。そもそも家聞いてないな、岸和田とかなら正直に断ってくれるだろうけど、大正とかギリ行けるけど遠い感じだったらどうしよう?
とネガティブな思考に襲われて、文章を削除し画面を閉じた。

また頭を悩ませて大分仲良かったけど、最近ご飯は行けてない、爆の介の事を思い出す。
前は近ったけど引っ越したんだっけ?
仕事かな?意外と寝ててこれで起こしちゃったらどうしよう?

躊躇すればするほどどんどん臆病になっていく。

誘う相手を探して誰も誘わずにかれこれ小一時間。

いや無理だったら断るか!文打つのも面倒だ!勢いで電話かけちまえ!

40歳近くのおじさん芸人に対して学生好きな女の子に電話する時くらいの勢いで
『え〜い、ままよ!』と心の中で言いながら。(本当は言ってなかったかも)
電話をかけた。

しかし電話が取られる事はなく、(後で連絡来て結局時間が空いませんでした。)

もう諦めて、何もせず東京に戻る事に。

喫茶店を出て駅に向かって歩いている時映画館の前を通る。
ドラマも観ててずっと観たかったけど行けてなかった『劇場版おっさんずラブ』が12時開演

時刻は11時50分
待ち時間なしでいける!そう思ってすぐさまエレベーターに乗り8階の受付に行く。
発券しようとした時、財布を開けると金を下ろし忘れてて残金が1200円。

やってしまった。。

と思ったら今日は映画の日で1200円だった。

めっちゃ気持ちいい!!!

喫茶店のグダグダが一気に挽回され、無駄なくスマートに鑑賞。(作品も面白かった)

このままスマートに過ごそこうと、昼飯も食わずに銀行経由で金降ろし駅に向かい電車に乗り新大阪駅へ。

新幹線乗り場の途中にあった、大阪名物の串カツだるまで昼食を。

カウンターに案内されるとすぐにお飲み物は?
と飲み物メニューを出される。

飲み屋みたいな所でご飯を食べる時、酒があまり飲まない僕は空気的に申し訳なくて、ソフトドリンク(お冷とあまり変わらない烏龍茶はもったいないから、より水に遠いお得感のあるコーラ)を頼んでしまう。
ソフトドリンクが200円なら躊躇なく頼むのだがここは350円だった。

しかし、他の見える範囲のお客は全員飲んでるし店員さんも横で待たせてる。

空気に耐えきれない、正直水でいいけどもうコーラ頼むか。

ここで今日最初の僕の言葉が放たれる。

『コー、水で!』

ギリギリで旋回した。

はい!お冷一丁!やはりこちらの気にしすぎで店員さんは嫌な顔もしてなかった。

いつもなら流されて飲みたくもないコーラを頼んでた。

人の目なんか気にしないで頼めた。
成長した。
そう一瞬自分が誇らしくなったが、
350円なんか気にしないで頼めるくらいの財力に成長してたかった。

その代わりに串カツを思ってたより二本多く頼んだ。(美味しかった)

そして新幹線に乗り東京へ。
自宅に帰り、借りてたDVDを観たりして一人で過ごす。

22時過ぎに夕飯を食べようと表に出た。

無性にラーメンが食べたくなり、歩いてこの時間でも空いてる近所のラーメン屋に行くが今日は閉まってた。

ラーメンの口を変えられないまま最寄り駅の方に向かうと、毎日看板は見るけどそういえば一度も行ったことなかったラーメン屋の電飾が光っていた。

店に入るとギリギリラストオーダー。

醤油ラーメンの大盛りを頼む。

店入った時わかったのだが、ここはラーメン屋ではなく、ラーメンも出してる本格アジア料理のお店だった。

美味しそうな見た目の本格アジア風の醤油ラーメンが運ばれてきた。

その時、言葉が悪いが『クサッ!』と思ってしまった。
僕はアジア料理でたまにある匂いがあまり得意じゃない。

僕は基本的に食の好き嫌いはない。
唯一苦手な食べ物は「生アナゴ」だけ。

一口食べてわかった。「うわっ、これ苦手」

フォローしておくが、ラストオーダー前なのに繁盛してたし、本来は美味しいのだろう。

単純にそのラーメンが僕の口に合わなかった。

具材は美味しいと思った、ただスープに入っているナニカを僕は受け付けないなようだ。

頑張って結構食べたがスープと大盛り分の麺を残してしまった。

そして会計の時に残してしまった謝罪と共に苦手なものが何か知りたいからと説明をして勇気を出してスープの中身を聞いてみた。

親切な店員さんは答えてくれた。
入ってるのは「チキンと…醤油と…それとナンプラーです」

『あ!それなら多分ナンプラーですね!』

ピン!ときて失礼な内容なのにテンションが上がってしまった!

ロコモコとか他のメニューは好きそうなのでまた絶対に食べに行くと心で約束し店を出た。

ラーメン半玉分お腹が空いてたので、その足でコンビニへ。

置いてるのが珍しい「うぐいすパン」を手に取り缶コーヒーを適当に選びレジ列に並ぶ。

二つのレジの内一つが空く。
パンと缶コーヒーを置き、店員さんがまず「うぐいすパン」のバーコードを読み取る。

『ピーーーーーーーーー!』

僕がコンビニ初めてでも絶対失敗しただろうとわかる。わかりやすいエラー音が流れる。

店員さんが首を傾げ、もう一度「うぐいすパン」のバーコードを読み取る。

『ピーーーーーーーー!』

そんな悪い事したか、といくらいオーバーなエラー音が再び店内に響きわたる。

店員さんがまた首をかしげる。

僕はこのあたりで何となく「うぐいすパン」が恥ずかしくなってきた。

感覚の話です。
僕が「うぐいすパン」というイレギュラーな商品を買ったという事はを手に取った時「うぐいすパン」だ懐かしい!と思ってテンションが上がって買ったという動機が潜在的に丸見えな気がするからです。

あんぱんやカレーパンならば小腹減ってたんだな。くらいで何も恥ずかしい事はありません。

明治の板チョコなら恥ずかしくないのに
「パックンチョ」なら恥ずかしい。ならわかってくれますかね?

まあ、そんな恥ずかしさを僕が覚えだした頃これから僕のものになる「うぐいすパン」を隅から隅まで見つめて、バーコード付近のシワを伸ばしたりしてる。

僕の「うぐいすパン」が。
恥ずかしい。。。

そして、店員さんがレジの画面の方に目を向けてハッ!と何かをわかった顔をした。

ああ、このパターンね!みたいな顔でレジを操作し、もう一度「うぐいすパン」のバーコードを読んだ。

『ピーーーーーーーー!』

得意げな、店員さんの顔が一気に曇る。

ゴメンね、僕の「うぐいすパン」のせいで。恥ずかしい。。
店員さんが横のレジのベテランっぽい人の方に助けを求め顔をするが、ベテランさんも他のお客さんの対応に手一杯。

『ピーーーーーーーー!』

何も状況が変わるわけないのに、投げやりに二回ほど「うぐいすパン」のバーコードを読み取る。

人によってはイライラしかねないこの状況。
僕は恥ずかしさしか感じてなかった。

『ピーーーーーーーー!』

度重なるエラー音のおかげで僕の「うぐいすパン」が店内の視線が集まってる気がする。

あれ……これ通らないの「うぐいすパン」のせいじゃないか?
もう販売停止になってるとか。
みんな買わなくて賞味期限切れてるパターンじゃないか?
とにかく「うぐいすパン」のせいだ!他のパンならこんな事にならなかった。
恥ずかしい。。

もう一方のベテラン風の人がレジを終え応援に駆けつけてくれた。

そして一瞬安堵の表情を見せた店員さんがベテランさんにはっきり言った。
『このうぐいすパンが通らなくて…』

「うぐいすパン」って言った!!!
このパンで良くない?
やっぱり「うぐいすパン」って強めに思ってたんだ!

するとベテランさんがこれ本当にはっきりと言った『え?うぐいすパン?』

珍しがってんじゃん!
今、何パンかはいいじゃん!

恥ずかしい!早くしてくれ!!

ずっと「うぐいすパン」と闘ってた店員さんがベテランさんに何やら細かく説明している
小声でちゃんとは聞き取れなかったが「☆¥<%+%〜〜e#n〜〜うぐいすパン¥%ehuw」

また「うぐいすパン」って言った、説明の過程で!!!

それを聞いたベテランさんが頷いてピピピピピッと軽やかにレジを操作し得意げに「うぐいすパン」のバーコードを読み取る。

『ピーーーーーーーーーーー!』

もうええわ!!!

コントならそう言って終わらせれたがこれは現実。

ベテランさんがはっきり言った
『ゴメン!わかんない』

もうその頃には僕の後ろに列ができ始めて来た。
横目に後ろの人の貧乏ゆすりの足が見えた。

店員達は二人で「うぐいすパン」を落胆した顔で見つめてる。

恥ずかしすぎる。。本当にもうええわ。

この時は気のせいじゃなく店内全員の視線は僕の「うぐいすパン」に集まっていた。

さっきも思ったが、やはり賞味期限じゃないか?昔コンビニバイトの経験もあるが確か廃棄時間とかそんな理由で通らない時あった気がする。
僕が棚から「うぐいすパン」を取った時まだ奥に二つくらいあったはず。別のうぐいすパンなら大丈夫じゃないか。
店員さんから見たら、コンビニ素人の僕が発言するのは勇気がいる、でもそのパターンに違いない。

僕の後ろの列を見かねたベテラン店員さんが自分のレジに戻って案内する。

僕のレジの店員さんはまだ「うぐいすパン」を困り顔で見つめている。

僕は勇気を出してついに店員さんに向かって発言した。

『別のうぐいすパン持ってきましょうか?』

別の同じパン…でよかったのに、僕もつられて言わなくてもいい、「うぐいすパン」を言ってしまった。

すると店員さんは『いや、大丈夫です。少々お待ちください。』
そう言い残し。「うぐいすパン」を持ったままパンの棚とは別方向のバックヤードに消えてった。

恥ずかしい!!!
せっかく意を決して意見したのに!!!

別の「うぐいすパン」がある棚に行くわけでもなく。

……………

……………

……………

一人にしないで!!!

恥ずかしい!!

振り返ってないけど、僕の後ろに多分三人くらい並んじゃってるよ!

僕が「うぐいすパン」を買おうとしたばっかりに!こんなに沢山の大人を困らせてる!!

…………………

ベテランさんが一つのレジを捌いてる中

僕と缶コーヒーがポツンと取り残された

…………………

あれ、今気付いたけど

俺が適当に選んだ缶コーヒー

「モーニングショット」だ。

23時なのに。

恥ずかしい!!!

黒と白じゃなきゃ微糖だと思ってパッケージ見ずに買ったけど、「モーニングショット」だった!

恥ずかしい!

別に「モーニングショット」が売れるのは、人間の心理的に逆に夜の方が買ってしまうって事も知ってるけど。

なんかこっちのが恥ずかしくなってきた!

しかも「ルパン」デザインじゃん。

普通のやつじゃなくて。

「ジゲン」じゃん。

目あってんじゃん。

恥ずかしい。。

………………

そんな事を考えてたら「うぐいすパン」を持った店員さんが戻ってきた。

バックヤードで休憩していたであろう店長風の男を連れて!

するとその店長風の男はレジを店員に教えながら華麗に操作し。

「うぐいすパン」のバーコードを読み取ると

「ピッ!」と正常にレジが読み込まれた。

店員二人は「さすが!店長!」の笑顔を店長に向けていた

僕も店長をカッコいいと思って見惚れてた。

「うぐいすパン」は格段に美味かった。

*書いてたらめちゃくちゃ長くなっちゃいました。
最後まで読んでくれた方ありがとうございます。
後、思った人いるでしょうが、厳密には三言ではなく。
喫茶店と串カツの注文、ラーメンのスープ聞いた時の質問、各ご飯屋でのご馳走様でした!は発しています。

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